Column コラム

パイパーの挨拶

パイパーの挨拶は、敬礼。
右手をおでこの横にビシッと当てます。
なぜかって、歴史的に言えば、パイパーは兵士でしたから。
ステージ上からお客様にご挨拶するときも、軍隊式の敬礼です。
決してお辞儀なんてしちゃいけません。
お辞儀は、相手に首を斬らせるために首を差し出しているポーズ。
服従することで相手への敬意を表現する姿勢なのです。
隊列の先頭に立って軍を導く誇り高きパイパーが、いきなり降参してどうしますか!

バグパイプの持ち方

バグパイプは左の肩にかけて持ちます
。 片側だけにものをかけるとどうなるか?
当然「落ちそう!」になります。
実際にはそんな簡単に落っこちるものではないのですが、初心者には「演奏中に落としたら」っていうのは恐怖です。
結果、左肩だけ肩パッドを入れようかと悩んだり、左肩を耳の横に来るほど上げたりするようなパイパーが出現することに…。
ではどうすればちゃんとバグパイプを抱えていられるのでしょう。
キーワードは「バナナ・バック」。
バナナみたいに反った背中と言う意味です。
肩がかかとより後ろに来るくらいに反らせば、落ちることはありません。

バール

練習中の初心者 Tちゃんが、突然腕をぶんぶん振り回しながら泣き出しました。
「指がつりそう」
バールとは、小指をすばやく2度動かす音の出し方。
小指は動かしにくい指なので、許された時間内に2回も穴を開け閉めするのは大変。
気づいたら3回くらいやってることもあるそうな。(←痙攣とちゃう?)
傍観者Y 「小指や薬指に合わせて笛のほうが曲がってりゃエエのにな」
Nちゃん その2 「リコーダーやったら、小指の穴、横についてますよね!」
Tちゃん 「なにも笛がまっすぐである必要もないよねぇ」
Nちゃん その2 「スコットランド人、もうちょっと考えてほしいわ!」
この後、長崎市グラバー・パイプバンドのバンドマスターK氏が来てくれました。
そよ風のように軽やかな小指の動き…。
T! N! スコットランド人のせいじゃない。
あんたら自身のせいだ!

音の止め方

初心者 Nちゃん その2 が、団長から音の止め方を習っていました。
バグパイプは袋に溜めた空気を管に送って音を出しますので、曲が終わるときに袋がパンパンに膨らんだままだと、空気の流れが止まらず音も止まらない。
本当の初心者は、ピタッと終われず「へにゃあぁぁぁ~」と音を垂れ流したりして、実にみっともない。
「終わりが近づいたら、この空気を絞っとかなアカンねん」
団長が、Nちゃん その2の抱える膨らんだバッグを、パン!と両手で挟みました。
その瞬間、アッパーカットを食らったように天を仰ぐNちゃん その2。
ブローパイプで空気を袋に送り込むということは、袋を押せば空気がブローパイプに戻ってくると言うことで。
「ブローパイプで口ん中、思いっきりどつかれました」
そんな努力が実を結び、この日初心者たちは初めて揃ってピタッと終わらせることに成功したのでした。

グレイスノート

バグパイプの楽譜は、普通の楽譜とはちょっと違います。
普通はおたまじゃくしのしっぽは上を向いたり下を向いたりするものですが、バグパイプの楽譜では全部下向き。
これは、グレイスノートを入れる指示を楽譜の上に書くため、しっぽが上に来たら邪魔になるから。
傍観者Y 「で、グレイスノートって何?」
Nちゃん その2 「ピッピッってやるやつです」
傍観者Y 「…よぉわかるわ~」
もう少し丁寧に説明しますと、いわゆる「装飾音」と呼ばれるもののこと。
チャンターはタンギングしないで吹くので、音に切れ目がない。
そこで穴をふさいですぐ指を離し、ごく短い音をピッと入れてアクセントをつけるわけです。
タンギングはわかりますよね? トゥートゥーってやるやつです。

ドラムの譜面

英国式ブラスバンドのドラマー、N氏が見学に来てくれました。
(この日は台風で練習キャンセルで、3人しかいませんでした、すみません)
英国式ブラスバンドってのは、木管楽器は使わず金管楽器と打楽器だけ使うそうです。
(しかし「ブラス」バンドなんだからそれが正式なんです。
木管楽器が入ってるバンドは正式には「ウィンド・バンド」というそうです)
このブラスバンドでバグパイプの曲を一曲演奏するそうで、少し勉強なさりたいとパイプバンドのドラムの譜面を見たN氏、
「なるほど、タッタ、タッタが多いんですね」
音楽やる人はみんな擬音で語るんでしょうか。

ダブリング

「Bダブリングって、どうやるんですか?」
Nちゃん その2が団長に助けを求めに行きました。
譜面で見るだけでは、どう指を動かすのかわからないのだそうです。
団長はすぐに返答しました。
「Bダブリング? チョンチョン」
これでわかるようにならねば音楽家になれないのでしょうか。

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