バグパイプの歴史
いつ頃からバグパイプという楽器が吹かれるようになったのか。
文献など確実な記録は残っていないようです。
でも起源は中近東、おそらくはペルシャだというのが俗説。
日本においては、バグパイプ=スコットランドのもの、というイメージが強くあります。
でも、スコットランドでバグパイプが吹かれているのは、スコットランド人がケルト民族だから。
ケルト民族が住んでいた地域には、今でも広範囲にバグパイプの伝統が残っています。
アイルランドでは、吹奏楽器ではないバグパイプ、イーリアン・パイプが使われています。
息を吹き込むのではなく、脇に挟んだバッグを肘で押すのです。
フランス南部、スペインと国境を接するブルターニュではバグパイプはビニウ・コズと呼ばれ、国境の反対側、スペイン北部のガリシア地方では、ガイタと呼ばれています。
ブルガリアやマケドニアではガイダ、モラヴィア(チェコ、スロヴァキア)ではガイディ、ボヘミア(チェコ)では、ドゥディ、ハンガリーやポーランドではドゥダ。
スウェーデンやエジプトなど他の国々でも、それぞれの名前で、そして同じ国の中でも地方によって異なる形のバグパイプが異なる名前で愛されています。
スコットランドのバグパイプは、「グレート・ハイランド・バグパイプ」と呼ばれます。
他の地域のバグパイプと比べて音が大きいそうです。
その理由は、用途のせいだったのでしょう。
スコットランドにおいてバグパイパーと言えばイコール兵士でした。
バグパイプは戦闘時に敵を威嚇するために、そして自軍の存在を高らかに知らしめるために使われていたのです。
そのためパイパーは隊列の先頭に立ち、武器を待たないが故に真先に殺される運命にありました。
しかしパイパーが殺されるとすぐに、後に続く兵士がそのパイプを受け取っていっそう高らかに吹き続け、何事も無かったかのように進軍が続けられました。
相手には、不気味で恐ろしい敵と映ったことでしょう。
スコットランドの主要な輸出品が兵士だった時代、軍を先導するパイパーは名誉ある職業だったのです。