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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2001年8月1日

その1 「やさしい男と元気な女」

Fさんは40代の半ば,ケースワーカーとして前向きに仕事をしている女性。
高校を卒業してある大手メーカーに9年勤務,出産退職した。その後子育てが一段落したとき,公務員に挑戦,そしてケースワーカーになった。
結婚相手は同じ会社の人「その人のどこが気にいったの?」という私の質問に「そうですねやさしい人だったんです」という答え。
「やさしい」か。
女が結婚相手を見つけるとき,あるいは決心するとき,80パーセントの人が求める基準値のようだ。

久しぶりにFさんと会って食事をしたときのこと。イタリアンとワイン,程よく酔いがまわって,たわいもない会話の中で,わたしは最近あった後輩の話をした。その後輩は夫とのことで悩んでいた。後輩とFさんは,年齢も似ているし,仲良し夫婦であるFさんに多少「警告」の気持が働いたのかもしれない。
話の途中から,Fさんの顔が急に真剣になった。そして,食い入るように私の顔を見て聴く。
しばらくの沈黙の後,彼女はこういった。

「実はね,わたしも今ちょっと悩んでいて,明日大阪の主人のところに行こうと思っているんです」
昨年4月から単身赴任,でも彼女が大阪にいったのは今までに2回だけ。中学生,高校生,専門学校生の3人の子供を抱え,さらにケースワーカーとして人並み以上の仕事もしている。だから夫の方がほぼ毎月夜行バスで家族のもとに帰ってきているとのこと。

「正直いってほっとしている面もあります。夫がいたら,わたしはこんなに仕事に打ち込めない。わたしがこんなにいきいき働いているなんてたぶん夫は信じられないと思います。
さっきの方と同様に今,夫は何を考えて仕事しているのかしら?この人の生き甲斐は何なの?と訊きたくなります。そう,それでこの前訊いたんです.
そしたら家族だ!というんです。でも家族ってもうみんな巣立っていく世代なのに,それよりわたしを大切にしてほしいんです。」

そしてこうも言った。
「もちろん,子供にとってすごくいいお父さんでした。でも,もうその役割というか時代が終わったと思うの。だってウチの人はちっとも私を喜ばせること・楽しませることをしてくれない」
それってどういう意味なのか?
聴いているわたしにとってはハナシが見えない。
「たとえば,関西にせっかく夫をたづねても,どこにも出かけないんです。せっかく行ったんだから京都とか奈良に一緒に行きたいのに。行こう!といってもお金がもったいないといって。ちっとも私は楽しくないんです。」
そう,こういうことならよくわかる。
「ゆっくり話し合ってみます」といっていたけど,どうなったかしら?


画家・女屋玲子さん(新潟出身・パリ在住)の作品
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