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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2001年8月1日

その2 「新幹線に財布を忘れた!」

「もしかして!」と心臓がドキドキする感覚を覚えたのはJR伊東駅の改札を出たときだった。急いでショルダーバッグの中を探る。やっぱりない。そして直ちに財布を新幹線の座席に置き去りにしてきたことを確信した。

JR中央線の高尾から東京駅までたっぷり1H余電車に乗って,そこから新幹線に乗り換え熱海まで「ゆっくりしよう」と思ってホームに駆け上がった。
ところが夕方19.00前の時間,なんと自由席のあたりは通勤客でいっぱい。「そうだ,こんなに疲れて移動するときはグリーン車で行こう」と自分を納得させてグリーン車へ。そこはガラガラ,大好きな電話のソバにある1人がけの座席に座って弁当を食べ始める。横浜を過ぎる頃,車掌が来てグリーン料金を払う…そもそも,ここで財布を片付けなかったことがポカの始まり。
弁当を食べていたこともあって,そのまま膝の横に財布を置いてしまったのだ。そして「熱海」という駅名を聴いたとたん,新幹線を飛び降りてしまった。

熱海で伊東線に乗り換えても全く気がつかなかった。でも…伊東の改札口で、ひらめいた!!



さて,このときスデニ時刻は20.30をまわっていた。瞬時に「わたしはこれからどのような行動をとるべきか」考えた。
まず,改札の駅員に事情を話した。「では,ホームの中ほどにあるJRの事務室で事情を話してください」とのこと。
たぶん,この人は伊豆急の人だったのでしょう。

「あー」と事務室に入っていったら2人の男性がいた。そのうちの1人がSさんだった。「東京駅19.07発のこだま,8号車座席はここ」と告げ,「とにかくできるだけ早くこだまに連絡をとりあるかないかだけでも教えてほしい」とお願いした。わたしの話を聴いたSさんはただちにどこか?(たぶん東京駅か名古屋駅に)に連絡をとってくれた。が「申し訳ありませんが,すぐにはわかりません。たぶん23.23に新大阪到着後でないとはっきりしたことはいえませんね」という。と、言うことは0.00近くまではっきりしないということか!もっとなんとかならないかしらと思いつつ,誠実なSさんの対応に全てを委ねるしかないかと腹をくくる。
「まず,すぐにこだまに連絡を入れますので後はこちらに任せてください」ときっぱり言われた。

「あのーところで,2000円ほどお金を貸していただけませんか?これから移動するタクシー代がありませんので」
「いいですよ,ここに私の名前を書いておきますので,ついでの折返してください。明日の夜ですか?私は勤務外なので,ここにいる誰にでもいいですから返してください」3000円を快く貸してくれた。

仕事先の研修センターに着いて,「さてどうしたものか?このわたしの失敗を話したものかどうか」と迷う。でもやっぱり言わざるを得ない。万が一財布が出てきたとしても,すぐに手元に戻ってくることは無理,となれば帰りの電車賃も拝借せねばならない。事の顛末を人事担当者に話したら即座に2万円をそっと渡してくれた。

この時点で時刻は21.30頃。部屋に入ってまず,<私の財布の中身>を全部書き出してみた。イチバン神経質にならなければならないものは銀行のキャッシュカードとクレジットカード。そして現金はいくらくらい入っていたか。その他には,デパートのポイントカード,スポーツクラブの会員証,美術館の会員証,JRや地下鉄,バスの金券カードなど。

次にもし,財布が出なかったときは,どこに連絡するか,その優先順位と手順を考えた。まめに銀行・クレジットカード会社の電話を控えておくタイプではない。ではそこへ,連絡するためには「まず114の電話案内で電話番号を訊いて。」と手順をフローチャートにしてみた。

しかし,「財布が出てくるかもしれない」のでこれらのアクションは23.30以降にと気持を落ち着かせる。
22.00過ぎにこちらから伊東駅のSさんに電話。「やはり,新大阪到着後でないと不明」とのこと「23.40に最終の電車が出ますので,23.45頃かけていただけませんか」という。

ジリジリしながら時を過ごし,深夜真っ暗な研修センターのロビーから再び電話。「ありましたよ!!車掌が見つけて名古屋駅に今あります,という連絡がはいりました。今から言いますから名古屋駅の電話番号を控えてください。そして明日朝7.00過ぎに直接電話を入れてどうしてほしいか話してください。もう1つ明日,伊東で帰りの切符を買うとき<紛失再発行>という手続きをしてください。財布の中の切符(帰り)とこの<紛失再発行>の切符を一緒に窓口へ持っていけば,料金を払い戻すことができますから」

翌朝,名古屋駅に連絡し<着払いの書留>で送ってもらうよう依頼した。ここでも<紛失再発行>の件を説明しようとする,「あ,それは伊東駅で聞きました」と答えた。マニュアルができているんでしょうね。
この名古屋駅の方もとても丁寧で感じが良かった。でも名前を聞きそびれた。

2日後無事に財布は届いた。改めてSさん,名古屋駅社員の応対の的確さに脱帽。
でも,ここであえて,ひとこと。名古屋の社員さん!ご自分の名前を名乗ってくれたら完璧!なのに。書留も丁寧に包装されていたけど,発信人が不明。
何も書かれていないので,お礼のしようがない。というか,<JRの社員として>というだけでなく,<JR社員の〇〇として>という責任の所在を明確にした仕事のやり方をしてほしいな,と思ったのです。そういう自分の仕事に誇りがもてる社員の集合体こそ,すばらしい企業といえるのですから。

でもこの一件でわたしはすっかりJRのファンになりました。
おしまい

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