トップページのバックナンバー mailはこちらまで yukikoh@gol.com Copyright (C) 2006 Hirai Yukiko. All Rights Reserved. 2001年8月1日 その３　「屋久島　オカリナ　老夫婦」 あれ？この音は何だろう？ そう思いながら歩いていくと，どんどんその音が近づいてきた。 雨あがりの屋久杉の森で，一人の老婦人がオカリナを吹いていた。 そういえば，さっきわたしを追い越していった老夫婦だ。 年令は70に手が届く頃とお見受けした。 かたわらに彼女の夫が静かに腰掛けて，妻のオカリナを聞いている。 わたしもその音色に引寄せられて黙って切り株に座った。 懐かしい童謡を吹き終えて，，，私が拍手したので， 初めて私の存在に気がついたようだ。 「まあ人様にお聞かせできるほどのものではないんですよ， でもせっかく屋久島にきたから，この森で吹いてみたかったんです」 「素敵ですね。とっても音が澄んでました。ありがとうございました」 と私はお礼を述べた。 妻と私のやりとりを終始穏かな表情で聞いている夫。 子供のような純な心をもっている老妻を、とっても愛しく思い大切にしているようだ。 結婚っていうのも悪くないかも，と感じたワンシーン。 2001年4月春の終りの屋久島で。 << メニューへ戻る