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2002年5月10日
その6 ゆ・び・わ
残念ながら,「わたしの指輪」の話ではありません。
02年のゴールデンウイーク最後の日,早起きして8.30に羽田空港まで 15才の少女をお迎えにいきました。故郷・高知から帰省する筑波大付属盲学校高1の女の子をお迎えにいって,文京区護国寺にある寄宿舎まで送り届けるというボランテアでした。わたしが「文京区ボランテアセンターに登録」しているので,,そこから 時々依頼がきます。おそらく全国の優秀な目の不自由なお子さんがきているのでしょう。ものすごく礼儀正しくて,きちんとした敬語を使うのでこちらがびっくり。
羽田から浜松町までののモノレールの中での会話です。
「浜松町からJRに乗り換えて,そして有楽町から地下鉄に乗り換えますね。でも,T子さん,どこかせっかくだから行きたいところとかありますか?1時間位なら時間がありますから,,」と訊いたのです。
そしたら,,やや あって「あの,,,わたし 実は指輪を買いたいなあ,と思っているんですが」と小さな声で,でもはっきりと応えてくれました。
「そう,,指輪ねえ,,うーーん。有楽町で降りて,銀座も近いけどねえ」
彼女のいう指輪,15才の少女のほしい指輪はきっと銀座にはないだろう!?
そこでちょっとトチカンのある飯田橋の駅ビルに案内することにしました。
ある,ある,,,,わたしも買いたくなるような 可愛い指輪が,お値段も手頃なものが,たくさん 並んでいるお店がありました。
そこで,,ざっと こういう感じのもの
があるけど,,と説明して「T子さんはどんなのが欲しいの?」と訊いてみました。「色はシルバーで,,ダイヤみたいな石が埋めこんであるようなもの」という希望でした。
「じゃあ,,こんなのどうかな,こっちは?」と声をかけながら,,触ってもらいながら選んでもらいました。いくつか指にはめて「これにします」と本人が決めたのは シルバーのリンクの先にピンクと白のキラキラした小さな石がついているもの。丁度 今はめていたものが同じ色合いのピンクのチョウチョの指輪だったので思わず「今のとお揃いではめてもすごくイイ感じよ」とわたしも嬉しくなりました。
自分でレジでお財布をだして買い,大切にショルダーバッグにしまいました。
その後「お茶しようか」と誘って,一緒にファーストキッチンでアイスココアを飲んだ頃は すっかり彼女も緊張感がとれた様子でした。
「はじめて一人で飛行機に乗せます,今日がこの子の自立の第1日目です」というお母さんからの手紙を本人から羽田で渡されました。初めて一人で羽田に着いて,初めての見知らぬ私と会ってどんなにか不安だったでしょう。でも 欲しかった指輪を買えて,,今日が 記念の1日として思い出に残ってくれれば,,,。
遠い,遠い昔,私も,,,自分のお小遣いで買える「わたしの指輪」を求めていた頃のことを 懐かしく思いだして幸せな気持にさせていただきました。
嬉しかったのは,,実は 私のほうだったのです。 (お終い・5/6 記)
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