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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2006年1月1日

1.働く女性の制服についての 一考察


25年前のショック!!

いまから25年前にはじめてアメリカへ行き、保険会社や銀行 TV局で 働く人々の現場をみて、一番びっくりしたことー それは制服がない、ということだった。
確か 某金融の会社では、当時の日本でいう「真夏のリゾート着」のようなドレスを着ていて、それを見た私はめまいすら覚えたものだった。そして、もう1ついわば象徴的な出来事として、忘れられないことがある。

 訪問企業の概要についてプレゼンテーションを受け、ちょっと一休みという時のこと。ガラガラとワゴンをひいて、飲み物をサービスする女性が部屋に入ってきた。そして「どうぞ、お好きな飲み物をつくりますので、おっしゃってください」という。そのときの私は半分添乗員のような、ツアーのお世話係だったので、20人あまりいたメンバーひとり一人にそれぞれ違うものをサービスしてもらうのが、、申し訳ない気がしたのだった。そこで「それでは、みんなアイステーでいいです」と言ったのだった。

 ところが、想像しない反応が返ってきた。「いいえ、みなさんの好きなもの 飲みたいものを提供しますから、どうぞ 一人ひとりほしいものを言ってください」と。
日本流の<みんな同じものを、、>というのは 通用しない。わたしがよかれと思って言ったことは、却っておかしなことにうつるんだ!!ということを実感した。
もちろん私なりの整理だが、ここは<みんな同じ>ではなく<自分のほしいものをきちんと主張する>ことのほうが大切であり、評価される社会なのだ、と。


現代日本の制服事情

 とはいうものの、現代のアメリカでも日本では 依然として制服を着て仕事をしている人もまだたくさんいる。主として、製造・販売・運送の第一線にいる人々である。衛生面・安全面からも制服は必要だし、何よりもサービスを受けるお客様から、この人はこの仕事に従事している人と識別できる。

 しかし、大きな潮流として 一般オフィスに働く女性の制服はなくなりつつある。
また 金融・販売などお客様と直接接する職場においても、管理職(総合職)は、むしろ一般職員と差別化をはかる意味でもきちんとしたスーツ姿が多くなってきている。

 ある金融機関では役席者(管理職)も、事務職の女性と同じ制服を着ていたため、トラブル対応などで出て行った時、お客様が責任者として見てくれず困ることがあった。そこで、一般窓口の女性の制服はそのままではあるが、管理職には制服を廃止した。結果、本人の意識も向上し、お客様のその人を見る目も変化して スムーズにトラブルが解決できるようになった。

 また営業職については次のような事例がある。制服といっても率直にいって内勤用の制服なので、外回りの際、寒い。スカートでは、自転車等にも乗りにくい。またお客様の中には、金融機関の制服で訪問してほしくない方がいるのも事実である。

 確か映画「マルサの女」にも出てきた場面であるが、地元の信用金庫の男性職員が集金にくるとき<明らかにそれとわからないような、名前がない自転車で来る>という場面があった。、、、ハッキリ――銀行とわかる 制服で訪問してほしい、というお客様は今やいない。

 検討の結果、営業職(お客様のところに直接訪問する職員)については 私服で、それもスーツ着用ということになった。銀行だけでなく、保険会社や証券会社にもこの傾向は広まってきている。おかしなもので「制服の人より、スーツ姿の人の方に信頼感を持つ」というお客様の反応もあるという。




「ポジティブ・アクション」推進のためにもー

 女性が真に男性と対等に働き、活躍するために企業が行う、男女差別の撤廃をポジティブ・アクションという。この観点からいえば、女性が能力を発揮する弊害となっているような制服着用は廃止の方向になっていくのが必然であろう。

 わたし自身は 制服のある学校に行かなかったので、社会人になりメーカーの事務職として勤務したとき、初めて「紺のうわっぱり」という制服を着た。同じ敷地内に工場もあり、研究所もあったので グレーの現場の制服を着ている人はブルーカラー、白衣を着ている人は研究者とひと目で区別がついた。それはそれで 必要なルールであったと思う。

 転職して、コンサルタントとして仕事をする場合、今度は「中身も大切、でも包装紙はもっと大切」とばかりに先輩から 服装・身だしなみについて厳しい指導を受けた。そして、制服を着ていたころよりも、一層身だしなみに気をつけるようになったし、<私という個>が評価されている、、という意識が高まった。

 25年も前にアメリカで受けた衝撃、服装も飲み物も一律ではなく「自らが何を欲しているか」を明らかにして、主体的に仕事に取り組む。ようやく、、日本企業もこの時代になってきたのだ、と実感する今日この頃である。
(2005・12・19記)



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