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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2008年1月1日

2.鏡花の世界― 金沢の“とある場所”

 金沢といえば、兼六園と金沢城がつとに有名だが、金沢出張が決まったとき<ぜひ 行ってみたい場所>があった。1ヶ月前ほどの新聞に載っていた「暗闇坂」というところ。(写真:金沢ひがし廓 志摩のパンフレットより

夏に泉鏡花原作の芝居<婦系図>を見た。お蔦と主税、そして真砂町の先生の物語である。有名な湯島の天神さま境内での主人公の別れ話の場面がある。この湯島天神も私の散歩コースである。が、この物語を生み出した鏡花の故郷が金沢、そしてこの暗闇坂界隈が鏡花の世界の原点らしい。
 浅野川のそばにあるお茶屋さん(ひがし茶屋)でボランテアガイドをしていた男性に尋ねてみた。「ああ、それはここから歩いてすぐの主計町(かぞえまち)のことでしょう。川べりから1本奥まった道を行くと、すぐわかりますよ」と教えてくれた。

 夜はそれなりの風情をかもし出すであろうお茶屋が軒をつらねているが、昼間はほとんど人通りがない。その奥まった一角に「暗闇坂」があった。そこを登ると、脇の家から三味線の音が聞こえてきた。そしてお寺に出た。「昔は遊女の駆け込み寺でもあったようですよ」とガイドの方から聞いていた、お寺だろう。
金沢はこれで3度目。鏡花の文学の師が尾崎紅葉でどうやら、紅葉が“真砂町の先生のモデル”らしいということもわかった。念願の場所に行くことができて、また金沢の風景が色濃くわたしの脳裏に刻まれた。






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