2009年5月1日
1.ビジネスマナーは仕事を円滑に行うための自己表現
― 09年春の新人研修で
わたしの人材育成の仕事は、時代の影響を色濃く受ける。今年はいつもとちょっと違う研修を担当した。新人研修といっても、いわゆる新卒者対象ではなく、すでに社会に出ている人あるいは学生ではあるがその企業の一員として働く人(対外的には社員の一人として)にビジネス・マナーを教える場が多かった。
新卒者は2割程度、あとはすでに仕事の経験がある人や学生アルバイトだった。これは どう考えたらいいのか? “厳しい時代”といっても、「企業にとって人材育成は重要な課題ととらえている」ともいえる。が、全体に組織内での指導力(先輩・上司からのOJT)が低下しているのではないかという印象を受けた。
なぜ企業が、新しい人を採用するのか? 組織に新しい人材を受け入れることによって仕事の知識・スキル・知恵を継承し、発展させていくーという側面がある。しかし現実には、景気に採用そのものが左右され、組織内に指導できる人材がいない、年齢・キャリアの差がありすぎるなどの理由によって、先輩の知恵が継承されないままになってしまっているようだ。
だからこそ、わたしのような外部講師の出番があるといっていいのだが。
今年度、わたしは従来にもましてクリアに話していることがある。
わたしに仕事を依頼するクライアント(企業トップ・人事)は「ビジネスマナーを 教えていただく講師です」と紹介する。その後、わたしは 開口一番「ビジネスマナーと限定せずに、本日学ぶことは、職業人・組織人として必要なヒューマンスキルです。そしてこれは 仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力・自己表現といってもいいです。単に“感じよくするため”ではなく、仕事をするために不可欠なことです。これらを身につけていないと仕事の相手に不安感を与えますよ」と言い切っている。
たとえば、身だしなみがだらしない人に仕事を頼みたくない、言葉使いがおかしい人にものを尋ねたくないでしょ?−と。
わたしが驚くのは、多くの人が他者から注意されたことがない、ということ。そして、注意されたがっているということ。学ぶべきは、先輩が“上手な注意のしかた”を身につけることのようだ。
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