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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2009年7月1日

3.工夫と改善 P−D−C−A をまわす

 「実はね、この解説の部分は、最初と全然違ってますよ!」と友人が声をあげた。そして彼女が知っている舞台裏の話を教えてくれた。

 1年ぶりに国立劇場で<歌舞伎鑑賞教室>を観たときのこと。
この日の演目は「西遊記」。わかりやすい内容ではあるが、それをさらにコンパクトに1時間にまとめ、あのスーパー歌舞伎の市川猿之助が演出した超スペクタクル作品だ。

 誘ってくれた友人は大の歌舞伎ファン、特にスーパー歌舞伎が大好きで今回の
<歌舞伎鑑賞教室>には1ヶ月の公演期間の間8回!!通うという熱の入れよう、だからこそいろいろ詳しい情報をしっているのだ。

 初日に来たときの<解説>部分は、ほとんど盛り上がりにかけ観客もシンーとしていたそう。観客も高校生や専門学校生など「授業の一環として」来ている人がほとんどのようだ。だから、私が行った日も花道のすぐそばで、もったいないことに!?堂々と居眠りしている男子学生もいた。


 西遊記上演の前の<歌舞伎のみかた解説>部分に大幅な工夫・改善があったという。歌舞伎の歌、舞、伎について具体的な説明があった。中でも伎の説明のとき 黒子の役割について興味深い説明があった。たとえば、火とか蝶など動くものは長い黒い棒の先にそれらをつけて黒子が絶妙なタイミングで動かす。これも大きな“伎”のひとつであること。観客はこの黒子や黒い棒をあたかも存在しないがごとく鑑賞してほしいーこれは歌舞伎の決まりごとですと。

 この説明のあと、驚いたのは実際に黒い棒の先にバレーボールをくっつけたものを取り出し、観客と黒子でキャッチボールをしたこと。つまり 観客の高校生がちょっと手を触れただけでも 上手なトスをしたように、黒子がボールを大きく弾ませてまた次の人へーと。
数回、バレーボールが観客席と舞台を往復するうち、すっかり観客は舞台の虜になっていた。

 「このバレーボールも 最初はなかったんですよ、でも どうやったら観客に“伎”を理解してもらえるか、考えて考えて 今日のような演出になったようですよ」と友人が教えてくれた。

 当たり前のことだけど、どの世界もあくなき工夫・改善をしているのだーと思いながら、舞台を見つめました。



写真はいずれも6月歌舞伎鑑賞教室「華果西遊記」 のチラシより





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