2012年9月1日
3.よみがえった母の言葉
見るからにおとなしい若い男性が話してくれたこと
―コンビニにいって、嫌だなあと思うことは店員さんから「○○どうしますか?」と訊かれることです。たとえば「お箸使いますか?」とか「袋必要ですか?」と訊いてくれれば
こっちは「はい」とか「いいえ」と言えばそれで済む。だけど「―― どうしますか?」という問いかけには、こっちはもっとしゃべらなくてはいけないから面倒くさい、かったるいです。
まったくもって、彼のいうことは“ごもっとも”である。
この話を聴いたとき、私は昔母が話していたことを思い出した。
その昔、わたしが大学生になって家を出てからのことである。
両親は二人とも教員だったが、第2の人生として寮を経営していた。多い時は学生・社会人など数名が1つ屋根の下に暮らしていた。母は朝夕食事の支度をして「寮のオバサン」としてよく若い人の面倒をみていた。その母の言葉である。
「いろんな人がいるわね、無口な子、内気な子、人と話をするのが苦手な子。特にそういう子には“返事が一言で終わらないような言葉がけ”をしているのよ。はい、いいえだけでなく、自分の意思や気持ちをすこしでも言葉にできたなら、そこから会話が始まるからね」
そういえば何十年も前の話だけど、母はもう十分にコミュニケーションの大切さを理解して実践していたんだなあと。
冒頭の内気な男性よ!
あなたの気持ちはわかるけど、ここを乗り越えないとね
あなたはこれから苦労するよ!!
と心の中で、私は叫んでいた。
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