2012年9月1日
4.手応え
大学で教える仕事について8年になった。喜びもあり、苦痛もあり、そして哀しみもある。一時はアップアップになって、さすがのタフを自称している私も投げ出したくなることもあった。それは こちらのエネルギー・時間の投資に対して、あまりにも結果が出ないことへのいら立ちだった。「だったら、テキトーにやればいいのに」というもう一人の私の声がする。が、そうはいかない。結果が出ないから、お金にならないから手抜きをする、ということができないのだ。何よりも私自身がやりたくないのだ。
そして、今年2012年の前期も終了。あるひとつの自分なりの結論<腹をくくるという気持ち>ができたように実感した。
人材育成という仕事に就いたとき初めに言われた言葉が今でも心に鳴り響いている。「教育とは、あるベき姿と現状とのギャップを埋めること。そのギャップが、教育ニーズである」これはもちろん 原則論である。
このギャップがあまりにも大きいとき、どうしたらいいのか?途方にくれてしまった。
あるべき姿をもちろん私自身の心に掲げながら、現実の目の前の学生が少しでも1cmでも1mmでもレベルアップすれば、“それでよし”としよう。
こういう気持ちにたどり着いたのだった。
繰り返し話しても変化がない学生。根気強く付き合うことで変化していく学生。
あきらめない、投げ出さない。そして切れない、むかつかない。誰が?もちろん私自身が。
そして4月から教室で出会った学生それぞれに、小さな、大きいな変化・成長がみられる。
ある学生が最後の質問票に「この授業をとって本当に良かった。前よりちゃんと話せるようになりました」と書いてあるのを発見した。授業を終えたとき、名残惜しそうに「先生 さようなら、後期も絶対この授業受けますから」と言ってくれた学生がいた。
概して、こういう反応・メッセージを発信する学生は、教室では目立たない静かな学生ばかりだった。それがまた、わたしには嬉しい出来事だった。
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