2015年1月1日
6.紅葉の美
わたしは5人兄弟でした。「でした」と過去形で書いたのは4人の兄(すなわち私は末っ子の女ひとり)のうち、すでに二人が他界しました。
一番上の兄とは16歳も離れていましたから、一緒に歩いていると親子のように見えたのでしょう。田舎(新潟)のお祭りに兄と一緒に行った次の日、小学校で「昨日の夜、お父さんと歩いていたね」と友達に言われたりしました。
この兄は生涯独身で“文学と禅”を愛して、少なからず私の思想形成に影響を与えてくれたように思います。この兄は50代でガンのため亡くなりました。闘病中によく、私にハガキをくれました。
そこに次の文章があったことを今でもはっきりと覚えています。
「自然の慟哭が聞こえる年齢になりました、、、」
ガンと数年向き合っていた兄には、燃えるような紅葉が“慟哭”に聞こえていたのですね。
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