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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2016年1月1日

1.ワークライフバランスの取り組み


WLBという言葉を知っていますか?
わたしがこの言葉を知ったのはおそらく15年くらい前のことでしょうか。

ナビゲートビジネス基本用語集の解説には次のように書かれている。

ワーク・ライフ・バランスとは仕事と生活の調和」と訳される。もともとは1970年代以降の欧米で、働きながら子育てをする人や長時間労働によるストレスで健康を損ないつつある労働者が増加したことを背景に、こうした人々に必要なものとして用いられた言葉。近年の日本では、個人のライフスタイルやライフステージに応じた多様な働き方の実現を目指す考え方の意味で用いられる。企業にとっては、時間生産性の向上や人材の確保などにつながる側面がある。ワーク・ライフ・バランスを推進する企業では、基本となる意識改革のほか、次のような取り組みを行っている。(1)所定外労働時間の削減(2)年次有給休暇取得の促進(3)キャリアや能力の開発支援(4)仕事と育児の両立支援(5)心身のヘルスケア


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ここ10年来、お付き合いをしている東京都北区のE社からメールがきた。E社の業務内容は区内の図書館業務を受託している。「2015年度北区WLB推進企業認定制度に応募してみたら、認定されました」というものだった。
びっくり!!なぜならば、E社は10年前にAさん夫妻が数名の仲間(Aさん夫妻以外は30歳前後の女性)と起業した会社で、立ち上げの時からマナー・コミュニケーション・リーダーシップ・プレゼンテーションなどのテーマで人材育成のお手伝いをしてきたご縁があったのだ。現在は社員・パート総勢50名余の立派な中堅企業に成長した。
 そのE社が、、が!! と考えると、正直言って感慨深いものがあった。早速、ナンバー2のミセスAに会って、いきさつや苦労話を伺った。



1) 認定応募のきっかけは?

「実際にWLBを意識したことはありませんでした。北区のホームページを見て、今後会社にとりいれなければならないことは何か?という思いで読んでみました。すると、今まで当社でやってきた労働環境の改善などが該当しているように思えたんです。具体的には、当社が経験を重ねた社員の継続勤務を促すために、培ってきた雇用体制は、まさしくWLBを推進してきたことなのだ、と改めて認識したのです」


2) 具体的にやったことは? その成果は?

「特に子育て中の女性社員にとってはやむをえないことなのですが、シフト勤務にもかかわらずドタキャンが発生します。こういう場合でも対応できるように<多能工化>に努めました。“これしかできない”という人をなくしました。これは業務の見直しや効率化にもつながりましたね。
それから シフトをつくるのも、そこに働くものが自分たちで話し合ってつくるという体制にしました。それまでは本部が作成していたのですが。結果、職場の各人の状況についてお互いが理解する場になり“おたがいさま”という気持ちが社員の中に生まれました。
それと社員とのコミュニケーションを重視していますので、最低週に1度は本部のマネージャーが現場の図書館を巡回に行きます。そのときに社員から“ちょっといいですか?”と声がかかり、積極的な提案や自分の状況を話してくれることが非常に多くなりました。
アルバイトに関しても、各自の働ける時間でシフトを調整しているので、これが長期間雇用につながっているようです。また夫の転勤や、介護で社員・アルバイトと雇用形態を変えて就業する人も多いです。会社としては、やはり経験者が助かりますから、できるだけ本人の希望に添えるようにしています。その結果、長く働き続けることができる職場であるという安心感を社員がもつことができたと思いますね」



3) 苦労したことは?

「限られた予算の中での制度の運営と推進ですね。たとえばボランテア休暇をとることを推進していますが、実際こういう場合でも現場をまわすためにアルバイトに働いてもらう。当然のことですが、人件費がかかります。あくまで受託事業ですから、売り上げがあがるということはありません。一定の予算の中で、どう分配するか経営として一番頭の痛いところですね。積極的に外部研修(司書資格をとるための)にも派遣しますが、そのときも多少なりとも、本人にあまり経済的負担がからないように 補助を行っています。こういうことは、すべてお金がかかることですから」


4) 嬉しかったことは?

「役所の中は異動が多いです。かって図書館でご一緒に働き、今は他部門にいる区の職員の方から“認定おめでとうごだいます、がんばりましたね。嬉しいです”なんて言われて、こちらが びっくりすることもありました。
それと今回のように平井先生からすぐメールの返信がきて、いまさらながら“やりとげたんだな”という実感がわきました。
そして何よりも、認定を受けたことで社員の中に“一緒にこの体制をつくってきたという一体感が生まれてきたこと”が大きな収穫でした」


インタビューの最後に伺ったお話がわたしにはとてもインパクトがありました。
「実は図書館の仕事って、とても奥が深いし面白いんですよ。それを働いているみんなに味わってほしいと思います。ただ、これだけできればいいというのではなくて、、ね。それと実務をやるだけでなく、自分の会社をどうしていくか、どうしていきたいかという視点をもって一人ひとりが仕事をやってほしいですね。会社を初めて10年、今がそういうとき、と感じています」

イラストはいずれもDesigned by Freepik


 



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