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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2017年5月1日

3.留学生から教えられたこと ―誰だって話したい、語りたい


YWCAの“留学生の母親運動”に参画して、1年がたちました。この間、さまざまなイベントに参加して、ようやく私自身がどういうスタンスでこの活動に関わっていけばいいかつかめてきました。
印象的な3つの出来事をお伝えします。

 

 

<その1・元留学生の話を聴こう>

すでに社会人となって活躍している、元留学生3人のお話を聴くチャンスがありました。

3人とも選ばれてスピーチしただけあって、とても優秀。そして これまでの努力、今現在の奮闘がヒシヒシと伝わってきました。

ベトナム出身のタイさん(40代・男性)は日本の大学卒後日本企業に就職、そして現在は独立して日本とベトナムの懸け橋になる会社を経営しています。

タイ大使館に勤務するテーラングーン(20代・女性)は高校生の時から日本に留学、日本人家庭にホームスティして「日本のお母さんから厳しく指導していただいた」と語っていました。

そしてネパールから来た医学生サッチャさん(30代・男性)はもちろん日本語で日本の医師国家試験もクリア、現在は日本の大学の医師として働きながらネパールの予防医療に貢献しようとデータベースつくりに取り組んでいます。
彼らの言った言葉で非常に印象的だったこと。会場からの質問の答える形で次の言葉を返してくれました。


「時代が変わり、社会が変化し若者像もそれに伴い大きな変化を遂げています。留学生が“日本のお母さん”に求めるものも変化してきています。だから、お母さん達も変わってください。変わらなくてはいけませんね」と。


ごく当たり前のことなのに、私にはガツンときましたね、この言葉は。
これまでのようにいままでのように留学生に接していては たぶんもう時代遅れになんですね。「やってあげる」「してあげた」だけでは、肝心の留学生にとってプラスとはいえないのではないか。では、現実にはどうしたらいいのか?今 目の前にいる留学生に「何をしてほしいか?」と率直に問いかける、そこから始まるのでしょう、、、ね。

 

 

<その2・卒業お祝い会にて>

語学学校・専門学校・大学・大学院など、3月は卒業の季節です。そこを卒業する留学生を招待してお祝いの会がありました。その席で、卒業する留学生19名のスピーチがありました。中には高校の時から日本に留学して10年ぶりに母国へ帰るという学生もいました。「一言どうぞ」と言われても、人によってはしゃべる、しゃべる、しゃべる、、、。15分以上も話が止まらない学生もいました。

それもダラダラした話ではありません。数年前に日本にきた時の心情、そしてその後の経験、最後に今の心境など。聴いている私たちの心に染み入ってきました。「10代で日本に来たとき全く私は子供だった、日本の生活で大きく成長できた。そういう学生がいた、ことを忘れないでほしい」と。
誰もが話したい、語りたいのだ。ただ そういう場が彼らにあるのか? 彼らの話を聴く場が不足しているのだろうか?あるいは聴く人が少ないのだろうか?

 

 

<その3・Wさんの目覚ましい成長>

組み合わせにより、わたしの息子?になったワーリットさんはこの春からS大学の土木科の新入生になりました。タイから来日して1年半、懸命に日本語を学び大学に合格することができました。4月3日に国際フォーラムで大学の入学式があり、わたしもお母さん気分で参加しました。

いやあー、今どきの入学式とは!! ビックリしました。オーソドックルな式は1時間足らず、その後は「歓迎の東京フィルハーモニーによるクラシックコンサート」最後に先輩学生からの大学のさまざまなサークル・自治会活動の紹介でした。

 おかしかったのは「コンサート」は 私の隣のワーリットさんはじめ主役の新入生はほとんどスヤスヤと寝ていましたね。極めつけは、途中の休憩時間にワーリットさんのところに寮の友人がやってきてボヤイタこと。「まいったよ。せっかく福岡から出てきたのに、うちの両親はコンサートの前に、“もう帰るよ”と途中で出ちゃうんだから、、、」と新入生本人がアキレテいました。おそらく大学側としては学生より、保護者の方にこそクラシック音楽を聴いたほしかったんじゃないかな!? 音楽が好きな私はとてもこの入学式に出て“得した気分”になりました。

 入学式の後、お祝いを兼ねて<帝国ホテルでアフターヌーン・テー>をしました。この時の彼の日本語・表情が1年前と大きく変化していました。
 格段に“しゃべる”ようになりました。単に量だけでなく、質も深まりました。
特に「タイ人って、、、」とメンタリテーに触れる内容を、私に丁寧に説明してくれます。
おそらく、“話したくても、説明したくても 語学力に自信がなくてうまく伝えられなかったこと”はたくさん あったことでしょう。それと“自分の要求・意思を率直に表現する”ようになったことです。「――が 食べたいです」「――がしたいです」と言ってくれるようになったのは、とても嬉しいことです。
 「大学では勉強以外に何をしたいと思っているの?」というわたしの問いかけに「弓道に興味があります。それと 自治会活動にも」とすかさず答えてくれました。
大学の寮がこれからの彼の生活の中心です。まだ引っ越して10日足らずなのに、もう寮の友人もできたようで入学式の会場では笑顔で話していました。どうか、たくさんの若者と接して、たくさんの刺激をうけてほしいなと願わずにはいられませんでした。
ワーリットさんが「日本に来て嬉しいこと。こんなにたくさんの国、日本以外の留学生と接して友達になれると思いませんでした」と話してくれました。これからは、日本の特に地方出身の学生とも接して広い!!日本を知ってほしいと思います。彼の成長、変化がとっても楽しみです。

入学式をおこなった東京国際フォーラムの前でワーリットさんと記念撮影




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