2017年5月1日
4.「思い込み」に気づく!? ー2つのオペラ
「あーそういうことだったのか」と自分の思い込みに気づく、ということはありませんか?最近立て続けに、こういうことがありました。何十年と、、間違った理解をしてきたのです。
オペラの話です。
「カルメン」を知らない人はいないでしょう?でもどんなストーリーか ご存知ですか?
わたしは、情熱的なジプシーの女性・カルメンと闘牛士のエスカミューリョの恋物語とばかり思っていたのです。
実は違うんですね。
主人公はもちろんカルメンではありますが、もう一人の主役はドン・ホセという真面目な一途な男です。軍隊の伍長だったのに、カルメンの誘惑に負けて人生を狂わせてしまうのです。だから、エスカミューリョはむしろ、主役の2人を際立たせるための脇役でした。自由奔放なカルメンに翻弄されるドン・ホセは、陰影のある役どころです、彼の存在が大きなカギになっています。が 全くこれまで、わたしにとってはインパクトのないものでした。自由な女に振り回される、ドン・ホセ。むしろ彼の心理的な葛藤が物語の軸であることに最近、気が付きました。
もう1つ「蝶々夫人」についても、再発見がありました。
明治の頃、長崎を舞台にしたプッチーニの作品です。いつかどこかで読んだことがあるのですが、もちろんプッチーニは日本に来たことがない、誰かからあるいは本で日本の情景を知り、この作品を作ったとか。それにしても、よく当時の日本それも地方の状況・慣習など調べたものだと感心します。もちろん、時を経て演出家による功績も大きいのだと思いますが。まず、蝶々さんは15歳という設定であること。そして、ピンカートンはほんの軽い気持ちで、日本にいる間の現地妻として結婚したこと。が、蝶々さん自身は子供を産み、一途にピンカートンの帰りを待っていたのです。大筋は、わかっていたのですが、ピンカートンに「軽い気持ちで結婚をするな」と忠告する領事や、「もう帰ってきませんよ」と蝶々さんをいさめる役どころ女中のスズキの存在が このオペラに大きな深みを与えていると気付きました。
ミュージカル「ミス・サイゴン」のストーリーはこの蝶々夫人のパクリ!!ですね。パクリというより、いつの時代にも支配する側とされる側の悲劇は普遍だなあ、と思います。「蝶々夫人」も「ミス・サイゴン」もラストシーンは、子供を愛する人の正妻に託して自殺してしまいます。
<時代が変わっても場所が変わっても、文字通り古今東西人間の営みは、、そう変わらないなあ、だからこそ芸術に心が奪われる心が震えるのだ>と納得して私は帰途につきます。
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写真はいずれも各公演のチラシより |
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