2017年7月1日
1.人材育成の理論、とは?
わたしが人材育成という仕事の世界に入ってずいぶん長い時間がたちました。振り返ってみると企業・組織の人材育成理論のほとんどが、アメリカのマネジメント理論が輸入されてきたものといっても過言ではないでしょう。グローバルスタンダードと言う言葉が広まってもうずいぶん経ちますが、それはすなわちアメリカン・スタンダードに過ぎません。
2000年に当時学んでいたアサーション(率直な自己表現)の仲間たちとオランダのアムステルダムに行きました。リーダーの女性が「女性のためのマネジメント講座というのをインターネットで見つけた。東ヨーロッパのブルガリアやポーランドから政府関係者の女性が参加しているらしい。面白そうだから参加しない」と誘われたのがきっかけでした。
日本から参加したメンバーも公務員、社会保険労務士、NPOのメンバーなど多彩でした。年齢も30−40−50代のバリバリ働いていた世代でした。ところが、行ってみてオランダ人の女性講師から聴いた理論は、そのほとんどが 1970年の後半に、すでに私が日本のコンサルタント会社で学んだ理論だったのです。つまりこのときから25年も前に知っていたことが、実はほとんどでした。率直にいって、ちょっとがっかりしました。オランダはヨーロッパの中でも北、そしてハーグに国際司法裁判所があるように当時の東ヨーロッパからも中立の印象を持たれている国。ブルガリアやポーランドからも参加しやすい、来やすいという地の利、、という条件もあったのでしょう。確かに ここでのセミナーはブルガリアの国家公務員の女性たちと合流して受けました。
この旅に誘ってくれた知人にはもちろん、今でも感謝しています。が彼女をはじめ他の参加メンバーが、イチイチ感動して講座の内容に取り組んでいたのを、やや白けた目でわたしは見ていました。
その後もアセスメント、インターアクションモデリング、カウンセリング、コーチングと、、めまぐるしくさまざまな理論が入ってきました。しかし、その根本にある考え方は一貫して不変だなあ、というのが私の根本にあります。
それは部下育成とは相手を信頼して、任せることが基本であること。そのためにはキチンと評価をすることが何よりも大切ということです。
このような背景があって、今でも企業・組織体からの要望が多いのは「コーチング」です。これは言うまでもなく、理論はきわめてシンプル。<問題を感じている本人自身が必ず答えをもっている。その答えを引き出す質問技法が何よりも重要である>とする理論です。必ず、コーチング・スキルを習得する場面があって はじめて学んだということになります。したがって、このプログラムを実施するときは、何よりも実習に時間をかけます。最初は シブシブ取り組んでいた受講生も、しだいに楽しそうにイキイキと実習にハマって!?いきます。この受講生の変化も 研修を運営するものにとって大きな喜びなのです。
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写真は管理職対象のコーチング研修の場面 |
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