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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2017年11月1日

2.3泊4日の入院生活スケッチ


 ひっそりと8月の下旬に入院しました。2015年の乳がん発病以来、あまりにもお騒がせ?が続きましたので、我ながら「ここはひっそり、こっそり済ませてしまおう」と決めました。不整脈治療のためのカテーテル・アブレーションを受けるための入院でした。
そこで垣間見た病院の風景をスケッチしてみました。

 

@増えている男性看護師
A処置室で流れていたビートルズ
B委ねるということ
C隣の人

 

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@増えている男性看護師

 

 今回は3泊4日の入院でした。なんとなく3泊4日の小旅行に行ってきたような感覚でした。面白いことに私が滞在した病棟は混合フロアです。そしてすべての病室が2人部屋、でも入院している患者さんはそれぞれ全く病名が異なります。現にわたしのお隣は皮膚科の女性でした。わたしは循環器内科です。それぞれの担当ドクターが、入れ変わり立ち代わり訪れました。

 

 

 私が感じたことは「看護師さんがいろいろな病気の患者さんがいて、大変だろうな」と。
今回特に実感したのは男性の看護師さんが確実に増えていることでした。わたしがいた4日間のうちで、3人の男性看護師さんと会話しました。「男性看護師は何人位いるんですか?」というわたしの質問に「さあー。このフロアだけでも約30名中、男性は3名ですからね」という答え。全体の1割といってもいいかもしれませんね。3人の看護師さんは一様に真面目で、優しく、かつテキパキと動いていました。

 

 

最初のAさんは、とても採血が上手で助かりました。「あまり、最初から“わたし血管が細くて採りにくいです”といわない方がいいかな、と思って遠慮していたんですが、これってどうですか?」と訊いてみました。
「うーん、そういう配慮はありがたいです。でも僕はすぐに、患者さん本人に“いままで、どうでしたか?採りにくかったですか?”と訊いてしまいますけどね。そう会話があるとやりやすくなりますから」と。いろいろ会話しているうちに「平井さんって、面白い人ですね。いや、とても強い人ですね」と言うコメントをもらいました。その理由は?ちゃんと聞かなかったが悔やまれます。(笑)

 

 

 「患者さんは男も女もいるんだから、もっと男性の看護師さんが増えてほしいですね」と伝えたら「そういう言葉を聴くとすごく嬉しいデス、励みになります」と素直な反応が返ってきました。おそらく、何らかのきっかけがあって志をもって看護師になった若者たち、どうか大きく羽ばたけーとエールを心の中で贈りました。

 


A処置室で流れていたビートルズ

 

 わたしが受けたのはカテーテル・アブレーションです。
ちょっと驚いたのはこの病院では<手術>といわず、<処置・施術>といっていたこと。それほど、ポピラーで数も多いということなのでしょうか?
 今さらですが、2年前の乳がん手術がいかに大がかりのものか、こちらのカテーテル施術をうけて実感しました。自分で歩いて施術室まで行き、手術台に乗ったとき「ああービートルズの曲が流れている」と気が付きました。何の曲だった思い出せませんが、その時「ああ もしかしたら、あのニコニコDrがビートルズを好きなのかしら?」と思いました。そんなことを思っているうちに麻酔が、、、。そして、目覚めてみるとざわざわと人の声が聞こえて、終了していました。

 

 

「実質の処置時間は7分くらいでしたね。麻酔の関係で70分くらいベッドにいましたが、、」と後で説明をうけました。この日は朝から絶食、夜 自分の病室に帰ってから遅くにいただいた“梨”の美味しかったこと、そのみずみずしさに思わず感動しました。

 


B委ねるということ

 

 ニコニコDrとは、わたしと一緒に診断を聴いてくれた友達となんとなくつけたドクターのニックネームです。いつも、ニコニコしているおそらく40歳前後の若いドクターです。説明はクリア、こちらの質問には必ず納得のいくまで答えてくれます。―現状はこうデス。したがって僕としてはこういう治療をお薦めします。でも、今ここで決められないでしょうから お考えの上、次回までに決断してください。―実に明快に、説明してくれました。

 

 

 「あのですね、実は先生のことをわたしと先日一緒だった友人もニコニコDrと呼んでいるんですよ。いつも先生はニコニコしてこちらの話も聞き説明を下さるから、、」
「そうなんですか? でもどうなんですか、患者さんとしてはニコニコしているのがいいのか、もっと医者は真剣な顔で患者さんと接するべきなんでしょうか?」と逆質問されました。

 「もちろん、今のようにニコニコした顔で接していただけるのが最高です。なぜって、患者は不安な気持ちで病院へ来て、緊張してDrの前に座っているのですから、先生にように明るい表情でお話をしてもらえると、それだけで安心できるんです」と率直に私は答えたのです。これ以来、すこしDrとの距離が近づいたような気がしました。もちろん、診察を受けるたびに、今でもいつもと変わらない笑顔で接してくれます。

 

 

 この2年間の病気とのつきあいで、“わたしは本当についているなあ”と実感しています。その大きな理由は、信頼できるDrと出会えたことです。乳腺外科の女医さんのことは以前にもこのHPに書きました。そしてまた、全くの偶然に!?緊急外来で運び込まれたわたしの主治医が循環器内科のY・T先生でした。

 年齢が高くなるほど、私の周辺には病院とのおつきあいが増えてきた友人・知人が多いですね。病気のこと・病院のこと・医者のこと・これらは大きな話題のひとつです。こういう話の時、かなりの部分が病院のシステムや医者に対する不信感が語られます。そういう話を耳にすると「それは、アンラッキーで お気の毒なことだなあ」と思います。

 

 

 率直に言って病気になることはそれだけ弱気になるし、医療者(ドクター、看護師)に対して無意識に卑屈になってしまう面がありますね。逆にそういう気持ちを怒鳴る、不機嫌になる、ごねるという形で表現している患者さんをしばしば見受けます。

 <人間と言うのはかくも弱い、存在なのか>と実感します。だからこそ、信頼できる存在に巡り合ったこと、そしてそういう人に自分を委ねることができる幸せをつくづくと実感できるのですね。


C隣の人

 

 わたしの隣のベッドは同世代の女性で、皮膚科の患者さんでした。すでに窓側のベッドに滞在して、わたしが入院したその日は2Hほどお見舞い客が話し込んでいきました。聴けば「もう入院して1か月です。原因がわからないので、それがわかるまでお世話になる予定です。隣のベッドは入れ替わり立ち代わり短期入院の方がきて、あなたで4人目ですよ」とのこと。全身にかゆみ、痛みが出て本当にお辛そうでした。わたしの入院の初日にお見舞い客がありましたが、それっきりぱったり。私の方はわずか3泊4日でしたが、毎晩のように友人が顔を見せてくれ、少しお隣に対して“申し訳ないなあ”という気持ちになりました。ごくごく少数の人にしか入院の件は伝えていなかったのですが、切れ間なく訪問客がありました。

 

 

 「毎晩、やかましくして申し訳ありませんでした」と退院の日にご挨拶したら「いいえ、そんなことありませんでしたよ。でも、とっても羨ましかったですよ」と返答がかえってきました。その言い方があまりにも自然で、この女性の穏やかな優しい人柄がわたしの心に染み入ってきました。

 素直に率直にこの人は自分が感じたことをそのまま表現したのでしょう。それが、すっとわたしの心に入ってきて、私自身も「なんてわたしは、シアワセ者なのか」と思ったのでした。ご自身の感じたことをそのまま、飾り気なく言ってくれたので、私のほうが彼女の人柄につつみこまれたようなやさしい気持ちになりました。

 

 





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