2018年9月1日
1.人の成長、組織の成長
数年ぶりに、某企業へ研修で伺った。ご縁があって、その企業の立ち上げ時期から10年ほど人材育成のお手伝いをした。スタート時の社員は創業者のご夫妻と20代後半の女性が数名だった。そのときの女性は今や立派な本社スタッフになって活躍している。
そのうちの一人から「最初の研修で先生から怒鳴られたことは今でも忘れられません」と言われた。それは次のような場面だった。「誰か代表して発言してください」と促した時に、その発表者を決めるためにジャンケンをしようとしたのだった。それを見て「これから会社を興していこうとしているリーダーのあなた方がジャンケンなんかで決めてどうする、本当に会社をやっていけるの?自ら発言しようとする人はいないのですか」と声高に私は怒った。叱咤激励をしたつもりだった。
そして10数年の時が流れた。スタート時数名の社員が今や60名となった。事業の規模も拡大し、仕事の幅も広がり多様化してきている。特筆すべきことは、女性社員比率が高い企業なので、<常に産休・育休をとっている社員が数名はいる>ということだ。「人材育成には時間もお金もかかります。せっかく1人前になった人材を、辞めさせたくない」という明確な方針が社長にはある。こういう経営者に応えようという社員が少しずつ増えてきているということだ。ワークライフ・バランスの施策を実施している優良企業として区からも表彰された。
「もちろん、まだまだ課題はあります。特に対お客様の対応は標準化され、レベルアップしてきました。一人一人は個人プレイができます。これからは組織人としての感覚を身に着けてほしいのです」と社長夫妻は強調した。
その通りだと、わたしも感じている。が、しかし10数年の時間の中でこんなにも人は成長するのか!!と思った。個人としても目を見張る変化を遂げた人が何人もいた。
研修場面で「特に指名しませんから 積極的に発言してください」と言った途端に、何人もの人の手があがった。以前のこの企業の風土では考えられない光景だった。
さらに個人の成長を促してきた組織の成長もあるのだと実感できた。組織を形成する人間・個人が成長したから組織も成長できたのか!? 組織の成長が個人の成長を促進したのか!? おそらく これは両輪の輪のように切り離すことのできないものだろう。
長いおつきあいをしている企業が成長していくさまを目の当たりにすることはー 私自身にとっても大きな喜びである。
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