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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2020年1月1日

4.ロゴセラピーの学びと実践 脇坂盛雄さん 執筆

 

平井ゆき子からひと言

2015年の夏に乳がんが発覚しました。この時、友人である脇坂さん(かって製薬会社に勤務していた)に「どこの病院がいいでしょうか?」と訊きました。すぐに調べてくれて「日医大のY先生が優秀だそうです」とアドバイスをもらい、先生との治療が始まりました。 さらに、抗がん剤治療でヘタっているときに「参加してみませんか?」と ロゴセラピーのセミナーに御誘いをうけました。これが私のロゴセラピーとの出会いでした。
 

 私自身もまだまだ十分な理解にいたっていないのですが、強く印象に残っている言葉があります。「人はそれぞれ、人生において自分の物語をつくる」「どんな時にも、それには意味がある」 これらの言葉が大きな支えになりました。

 

1、ロゴセラピーとは?

 

1)勝田茅生(ロゴセラピスト協会)先生の挨拶からの引用 

ロゴセラピーというのは、ごく簡単に言いますと、「意味」(ギリシア語でロゴス)を軸にする心理治療(セラピー)法のことです。

人間には誰でも、「何か意味あることをしたい」「何か世の中に役立つことをしたい」という自然な意志があります。けれども、その意志が長い間満たされないでいると、色々な心の障害が生じてくるのです。

100年ほど前にウィーンに生まれたヴィクト−ル・フランクル(Viktor E. Frankl)は、臨床治療の体験を通じて、「意味」を軸にした生き方が人間の精神保健にとってどんなに大切かということに気づきました。そして従来の、心と体のみを分析する心理治療法だけでは、広範囲にわたる人間の本質的な問題には対処しきれないという事実につきあたりました。
フランクルは、人間の心身を超越する精神的な次元でクライアントと出会い、精神的な力を強化することによって、初めてその人の生き方全体の癒しが可能になることを発見し、この新しい心理治療の方法を「ロゴセラピー」と名づけました。それによって体系的な心理治療の領域が過去分析だけでなく、老齢化問題、教育問題、親子や夫婦などの人間関係の問題、さらに様々な危機状況にまで広げられるようになったのです。

ところで「意味」というのはどのようなものなのでしょうか? 
またそれはどこで見つけることができるのでしょうか?
このような具体的な疑問に対する具体的な回答を、心理治療や看護・ホスピス、あるいは教育の場などで、多くの人たちが長い間探し求めて来ました。
日本では今までフランクルの著作に頼るしか方法がありませんでしたが、それでは理論的な裏付けは得られても、実践的な説明は得られません。フランクル自身は自分の弟子たちへの臨床の指導の中だけでロゴセラピーの適用を教示していたからです。
その弟子の中でもエリザベート・ルーカスは、フランクルのオリジナルな考察を変革することなく、ロゴセラピーを現代のセラピーに適応させることに成功し、フランクルを最も正確に理解したと評価されています。
私はこのルーカスのもとで研修教育を受け日本で最初のロゴセラピストになりました。また今もなおルーカスとの個人的な交流を通じて深い思索と生き方を学び続けています。
この日本ロゴゼミナール入門ゼミナールは、ロゴセラピーを日本に普及させるために2001年に開設され、私はこのゼミナールのためにドイツから年3回日本にやってきます。

ロゴセラピーに関心のある方はどうぞご参加ください。

 

2)ウイキペディアより 

ロゴセラピーは、ジークムント・フロイトの「精神分析」やアルフレッド・アドラーの「個人心理学」と並び、心理療法のウィーン学派三大潮流のひとつとして挙げられることもあるものである。

「ロゴ」は、ギリシア語で「意味」の意である。ロゴセラピーは、人は実存的に自らの生の意味を追い求めており、その人生の意味が充たされないということが、メンタルな障害や心の病に関係してくる、という見解を基にしている。(心的な疾患は、当事者に人生の意味に関して非常に限定的な制約を課していると言える。)ロゴセラピーは、人にその生活状況の中で「生きる意味」を充実させることが出来るように、あるいはその価値の評価の仕方を変えることが出来るように援助しようとするものである。

そのためロゴセラピーは手法として、実存主義的アプローチをとり、下記の3点を基本仮説とする。

  1. 意志の自由 - 人間は様々な条件、状況の中で自らの意志で態度を決める自由を持っている。(決定論の否定)
  2. 意味への意志 - 人間は生きる意味を強く求める。
  3. 人生の意味 - それぞれの人間の人生には独自の意味が存在している。

フランクルは、人の主要な関心事は快楽を探すことでも苦痛を軽減することでもなく、「人生の意味を見出すこと」であるとする。人生の意味を見出している人間は苦しみにも耐えることができるのである。

 

『流れる星は生きている』藤原てい・著 小さな子供2人を連れ満州より引き揚げたときの話をまとめた作品です。とても過酷な厳しい状況下で子どもは病気にもなり大変な思いをして日本に戻って来られました。自分が倒れたら子どもたちも助からない。子どもを元気に日本に連れ帰りたいとの強い目的があったからこそ乗り越えられた、いや乗り越えたのでしょう。夫は作家の新田次郎、数学者でエッセイストの藤原正彦は次男です。そこには大きな意味があったのです。障害があっても意味を見出すと乗り越えることができるのです。

 


フランクルの写真。『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』より

 

 

3)精神⇔心と身体

ロゴセラピーは精神次元を心と身体の次元の上位に置いています。心と身体は病になるが、精神は病になることはないとの考えです。この精神に働きかける心理療法です。ほとんどの心理療法は心に働きかけています。「人は何のために生きているのですか?」とのといかけは宗教や哲学の分野になりますが、ロゴセラピーはそれに対する心理療法になります。

 

 

4)ロゴセラピーでは3つの価値をあげています。

  1. 創造価値
  2. 体験価値
  3. 態度価値

 態度価値は寝たきりになっても生み出せるものです。笑顔にいることで周りの人に大きな安心感をあたえることもできます。

 ロゴセラピーはフランクルが強制収容所の体験から創り出した心理療法と思われていますが、その前に創り出しており、フランクル自身が強制収容所でそのロゴセラピーを実践したのです。600万人のユダヤ人が殺害された強制収容所で体力のあった人よりも、その過酷な状況下でさえ生きる意味を持っていた人の方が生き残ったそうです。フランクル自身は、妻と母に会いたいとの一念でした。中にはナチスのやったことを生き証人として世界に発信するのだとの思いを抱いた人もいました。

 


『夜と霧』 みすず書房

 

 

5)ロゴセラピーの手法・考え方

(1)逆説志向 
ロゴセラピーの代表的な手法に逆説志向があります。外出するとパニックになる不安がある人が、パニックになってやろうと逆に強く思うのです。パニックになったらダンスしてやろうとかユーモアの気持ちを持って起きることを心配することを逆に願うのです。そうするとパニックが出なくなります。
 寝ないといけないと思うとますます目が覚めて寝られなくなります。寝られなくても構わない。明日会社であくびをいっぱいしてやろうとか思うと、知らない内に寝てしまっています。

(2)暗礁(心のトラウマ)の捉え方
 多くの心理療法が過去のトラウマ(暗礁)を見つけその影響を少なくすることを目的としています。ロゴセラピーでは、暗礁は暗礁のままにして、潮の高さを高くするとその暗礁が見えなくなります。見えなくなるとは日常生活に悪い影響を与えなくなります。言葉を変えると未来に向けた心理療法とも言えます。

 


『それでも人生にイエスと言う』 春秋社

 

 

2.ロゴセラピーとの出会い


 フランクル著「夜と霧」は読んで知っていました。またロゴセラピーの言葉も知っていました。それは電話相談ボランティアをしていた関係で心理学や心理療法の本をたくさん読んでいたからです。アドラーの個人心理学に惹かれてその関係の本を読みましたが、どうもロゴセラピーの方が自分に合っているのではないと思うようになりました。ボランティアで電話相談だけでなくネット相談を始めていました。その時の事務局の方が、「ロゴセラピーなら仙台のK先生がよくご存知です」と教えてもらいました。K先生はネット相談の講師もされていて、お会いした時にロゴセラピーの話をしたら、ロゴセラピーの論集をいただきました。

それを読み、もっとロゴセラピーを学んでみたいと思い、勝田茅生先生が主催されているロゴゼミナールに参加しました。このセミナーは2日×10回(4か月ごと)で開催されていました。もっと早く学びたいとの要望があるそうですが、それに対して勝田先生は、「ロゴセラピーはまずは自分がロゴ的に生きることで周りの人にロゴセラピーを伝えることができる。そのため、3年間学びながらロゴの実践をしてもらうために期間をもっている」と説明されています。これも私の好きな一つでもあります。心理療法を人に教えている人が教えている内容を実践していないことが多くあります。

 


ロゴゼミナールの勝田先生

ロゴセラピスト協会より

 

 

3.ロゴセラピーが私にもたらしたもの・私の中の変化


 ロゴセラピーを学んだから変わったかと言うと大きくは変わっていません。ロゴセラピーを学んでいなくてもすでにロゴ的に生きている方が多くいらっしゃいます。私もそれを実感しています。ただ、それまで何となくそう思って生きていた人生でしたが、ロゴセラピーの考え方を学んだことで、生きる指針がより明確になったように思います。バカボンのパパの言葉ではないですが“これでいいのだ!”とロゴセラピーが支えになった心境です。かつ今までよりも何かネガティブなことが起きた時に、「これにも何か意味があるのだ」、「どうするかを選択する自由がある」、「意味があるようにすれば意味が生まれる」などと考えることが以前よりもできるようになりました。

 

最後に
 河合隼雄先生は自分の物語を創ると言われていました。その物語に意味があると物語がより豊かになるように思います。ロゴセラピーは知識というよりも自分の生きるための手助けをしてくれるように思います。
 ロゴセラピーは人がその人の生きる意味を見出すお手伝いをする心理療法でもあります。
 少しでもロゴセラピーを知っていただき、人生に役立てて欲しいと思い、伝える取り組みも行っています。

 



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