2020年3月1日
1.ボランテアから 得たもの
2年前に大学を定年になったので、いわゆる義務としての仕事はおさらばした。そこで 今 私の生活の中で時間とエネルギーを割いているのがボランテアだ。
実は、わたしのボランテア歴は長い。37歳のときに、地域の社会福祉協議会のボランテアセンターに登録したのが始まりだ。仕事も忙しかったし、出張も多かったので「どこかのグループに所属するより、一人でできることを」とお願いしてさまざまなボランテアをやった。今でも心に残っている出会いは筑波大学付属盲学校(高校)の先生であった全盲のH先生のところに週1回通い、対面朗読をしたことだ。先生のところにきたDMを開封して読む、多くは当時先生が開発していた盲人のためのPCの操作マニュアルをつくるーということなどをお手伝いした。
この時の体験が、ボランテアとは何かーを考える・気づく大きな原点になった。「自分がやりたいことではなく、相手が求めていることに応えること」が大切なのだと。
さて、現在2つのボランテアをやっている。今回は一メンバーとして参加している「浅草駅でのガイドボランテア」で、考えたこと・気づいたことを書いてみたい。
(1)人とのふれあいー なぜか?「ありがとう」を言わない日本人
やりがいを感じるのは、説明してその相手から「ありがとう」と言われた時だ。たぶん、日本語は「ありがとう」しか知らないのではないか、と思える外国人が、にっこり笑って「どうもありがとう」あるいは「サンキュウ」と言ってもらうだけで本当にほっとする。嬉しい。
ところが 概して日本人はこの「ありがとう」を言わない。それも男性は言わないのだ。なぜ? たぶんに日常的に、使ってないからだろう。悲しいことに。あまり男・女と区別したくないのだが、女性特に中高年の方は丁寧すぎるほど御礼をいう人もいる。「あのー 日本人ですが、訊いていいですか?」とわざわざ、恐る恐る尋ねる女性も結構いる。「もちろんですよ」とこちらが答えるとホッとしてそこから会話が始まる。
過日、素敵な民族衣装を着ていた若者が尋ねてきた。「どちらからですか?」と聞いたら「ブータンです」と言う。「幸せの国、ブータンですね。この着物も素敵ですね」と私が言ったら「サンキュウ」と満面の笑顔が返ってきた。
(2) 仲間からの刺激 -まず、私自身が オープンになること
・いろいろな仲間とー
少しばかり旅のお手伝いをして道案内をしただけなのに、「ありがとう」と感謝されることはやりがいだ。が、最近は 一緒に活動している仲間からも大きな刺激をもらう。
土曜日と日曜日、それも前半は11時から14時まで、後半は14時から17時まで原則2-3名でシフトに入って担当する。全くの自主活動で調整する事務局は存在するが、原則は個人が自分の都合のいい曜日・時間をインターネットで申請して決まる。
もちろん、常にメンバーならそのシフト表は見ることができるので、「この日は、○○さんと一緒に担当する」ということは事前にわかる。延べ、40名ほどメンバーがいるので、いつも一緒になる人もいれば、「今回初めて一緒になる」人もいる。
わたしは 全体の中のキャリアでいえば中堅。私より長くこの活動に関わっているベテランもいるが、最近は比較的キャリアの浅いメンバーと組むことが多い。
・問いかけてみたい・・・けど
そこで、私の好奇心がむくむくと起きるのだ。もちろん、誰にでも、、というわけではないのだが。「なぜ、彼は 彼女はこのボランテアに参加したんだろう?」「英語が好きなのか?」「海外へはよく行くのかしら?」など。質問したいことは山のようにある。(笑)
といって、質問攻めにするわけにもいかない。そんなことをしたら、おせっかいなおばさんとたちまち嫌われてしまうだろう。
・聴き上手になると
まず、相手に訊きたいことがあったら、自分の情報を先に言う。「わたしはB区に住んでいるから、ここまでドアツードアで40分位です、あなたは どちらから?」と言う風に。
2・3訊いてみて、その時の相手の反応で、<この人は自分の事、話したくないんだな>などは、、大体 わかる。もちろん、そういうときはスグに撤退する。また、そのうち折をみて話そうーと自分で自分を納得させる。
ところが、最近 新しく活動に参加した人、さらにこれまであまり話したことがないべテランの人も含めて、、、わたしの予想がいい意味で裏切られる場面に出くわす。
わかりやすく言うと、ちょっと突っつくだけで、本当によくしゃべる。時に「待ってました」と言わんばかりの面持ちで、セキを切ったように話してくれる。活動のきっかけ、仕事の事、英語への思いなど。
なぜ? 非常にシンプルに言ってしまうと<誰もが話したがっているのだ、タイミングと聞いてくれる相手さえいれば>ということに他ならないのではないか。
人はみんな、本当は話したい、語りたい存在なのだー 今更ながら思う。もちろん、当の私自身もそうなのだが。
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