2022年1月1日
2.あるマネージャーとの会話
― 現地に行く、現物に触る
コロナ禍でさまざまな仕事が影響を受けた。身近なところでは、社内打ち合わせだけでなく取引先との会議・商談などリモートでできることが増えたーという。
しかし、お客様と会って仕事をする場合はどうなのかしら?いわゆる企業間の取引ではなく、一般の人を対象にしている仕事はどうなんだろう? 素朴な疑問がわいてきた。
1)キッチンのグリルが壊れた
ある日のこと、突然にシステムキッチンのグリルが壊れてしまった。正確に言うと、「壊れた」と、私が思い込んでしまった。
結構、朝ご飯に焼き魚を食べる。納豆、味噌汁、焼き魚、サラダなどー 昼と夜はいいかげんになるが、朝だけはきっちり作っている。
グリル(魚焼き器)が使えないと、フライパンでソテーにしたりするのだが。 結果、わたしが「焼き魚が好き」ということが改めてわかった。アジとか、シャケとか 少し焦げ目のついたぱりぱりした皮の食感が好きなのだ。
そこで、半年前にお世話になったリフォーム会社の担当者SさんにSOSを発信した。
すぐに駆け付けてくれた。そして判明。「壊れていません。このグリルのお皿入れ方が 間違っていたので つっかえていただけです。直りました」と5分で直してくれた。
2)マネージャーSさんとの会話
この時のSさんとの会話である。
「平井さんからお電話いただいたとき、まず原因はなんだろうか?といくつか推測しました。もし、ガスレンジを全面とっかえならば、、今、在庫不足で困ったなあーと思いました。ただ、取り出したグリルを洗った後 納めるときにひっかかったということだったのでー まず現場現物をみてみなければと思ったのです」
結果、洗った後のお皿の入れ方が反対側だったにも関わらず、無理やり入れたので ニッチもサッチもいかなくて動かなくなっただけのこと。単純なことなのに、わたしはスッカリ パニックに陥っていたのだった。
「本当に、お役に立って良かったです。あと2-3年は使えますからご安心ください。ただね、こういうケースの場合に直面するとー-部下の対応能力が落ちているなあと実感します。どうやって現場の状況を把握して、解決していく・提案していく力を身に着けさせるかー 私にとっても大きな課題なんです。
たとえば、現場・現物をよく見ないままお客さまに”壊れたから取り換えて”と言われたからと、単に新しいものに交換してしまうーということが起こりがちなんです。本当に壊れているのかどうか? どのような対応がベストなのか?必要なのか? さまざまな現場をみて、それが自分の財産になっていく、、、こういう経験が 実はとてもできにくい状況になってきているように思いますね、今は」
「なるほどね。お客である私も、ついついこんなことをお願いして、いいかなあ!?と躊躇してしまいがちだけど、むしろ 早いうちに相談した方がいいってことなんですね」
と 私。
「そうです。今回のようなご相談をいただくと、また1つ私の中の経験・財産が増えたということになりますから。
それと、リフォームという仕事では実際に仕事をするのは職人ですから、彼ら自身がPCやIT機器を使いこなさないとリモート化は難しいですね。まだそこまでできる職人は少ないですね。
このリフォームという仕事は実際に現場に行って仕事の指示を出さないことにはー動けない面が多いですから。そういう意味では まだまだこの業界ではリモート化が進むーというのは 先のことになりますね」
かって企業研修の仕事をしていたとき、某大手企業の標語を目にしたことがあった。その中の一つ「現地に行こう、現物に触ろう」というフレーズが鮮やかに甦ってきた。
仕事の基本・生きていく上での判断の基準というのは 普遍なんだなあーと。
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