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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2022年5月1日

4.<紹介します・私の友人>
         ー その21 H・Sさん


H・Sさんのことー

久しぶりにランチをした。彼女は今や子育ても卒業して、働き続けている女性。かって、私がコンサルタント会社を辞め独立した時に数年、秘書としてサポートをしてくれた。 「コロナでどうしていたの?」と何気なく訊いたら、驚くような体験(海外への一人旅)をほとばしる勢いで語ってくれた。「ねえ、それをぜひ、書いて!!」とお願いした。まだまだエネルギッシュな50代である。 (平井 記)



コロナにもめげずに 
ロサンゼルス・一人旅

~K―POPを追いかけて~
HSさん


〜もくじ〜

1 新しい上司が来た
2 上司との会話から
3 ロスアンゼルスへの一人旅に向けて
4 そして ロサンゼルス空港に降り立った
5 念願のライブへ
6 今 思うこと



1 新しい上司が来た (2021年 8月)

「チケットとれるなら行ってくればいいじゃない!」
この上司の一言で、私のロサンゼルス一人旅は始動したのである。

 私は金融機関で働く派遣社員である。今の会社で働き始めてちょうど丸3年がたった2021年8月、悩んだ末に無期雇用契約を結ぶことにした。

そして、契約を結んだ数日後、上司から呼ばれ「今度、新たに役員になる方の秘書をやってくれないか?」と相談を受けた。晴天の霹靂とはまさにこのことである。新たに就任する役員の管下は4部門。私の所属する部だけでも30名近くいるのに、
「なぜ派遣の私に?他に頼む人いないの?」
「またまた、仕事を頼むのねぇ~」
「いやいや、普通、契約更新する前に相談するでしょう」
と思いながらも、にっこり笑って「私でよければお引き受けします」と言ってみた。

 新たに就任した役員は、私とほぼ同年代の女性。秘書を引き受けるにあたって「面談しましょう」と役員室に呼ばれたが、全く緊張することはなかった。
お互いの自己紹介に始まり、彼女が出席する会議やスケジュール管理の方法、私のキャリアや秘書に対する希望、更には趣味等、ざっくばらんに話をすることができた。勿論、私の推しであるK-POPグループについても話は及んだ。

 

2 上司との会話から

 そんなある日のこと、たまたま私のデスクにきた彼女と、K-POPグループの話になったので、「実は、11月・12月にロサンゼルス公演をやることが決まったんですよ。折角、グローバルファンクラブ会員なのに、こんな状況(コロナ禍)ではやっぱり難しいですよねぇ」と何気なく言ってみた。
すると、「チケットとれるなら、行ってくればいいじゃない!」と予想外の一言が。

びっくりして、「そもそも会社的に大丈夫なんでしょうか?帰国後も自宅待機(当時14日間)しなければなりませんし…」と私は言った。
「大丈夫よぉ。きちんと手続して、検査もクリアすれば。自宅待機は在宅勤務できないの?そもそも、あなたが休んで仕事が回らないことの方が組織として問題よ」。
このコメントに、私がしびれたのは言うまでもない。

サンタモニカ

 

3 ロスアンゼルスへの一人旅に向けてー

<足ー移動手段>

 そして、その日から私のロサンゼルス一人旅に向けて、全力投球の日々がスタートしたのである。幸いなことに航空券はすぐに予約することができた。やはりコロナの影響である。

一方、ホテル予約は出遅れてはいけない。そこは長年日本のアイドルグループのライブ遠征で培った腕の見せ所だ。ライブ遠征ではホテルも争奪戦になるが、それは海外でも同じである。ライブ会場や空港へのアクセス等を考え、その日のうちに予約を完了させた。

一番頭をなやませたのは、ライブ終わりの足である。行きはどうにでもなるが、帰りはバスもなく、流しのタクシーも拾えない。ならば、タクシーのチャーターが選択肢になるが、料金はかなり高くなる。同じような遠征組がいるので、SNSやTwitterで同乗者を募集するか悩む日々が続いた。そんな中、Twitterで各ホテルとスタジアムを結ぶ送迎バス運行の情報をゲットしたので、速攻予約した。

 

 <もろもろの出入国手続き>

 また、今回の旅行で一番厄介だったのが、コロナ禍の出入国手続きである。
毎日更新される厚生労働省のHPと航空会社のHPを確認した。海外渡航用のワクチン接種証明書の発行、日本でのPCR検査(渡航用証明)予約、帰国直前の現地でのPCR検査予約、航空会社指定の誓約書や出入国に必要な書類など、漏れがないよう細心の注意を払いながら1つずつ課題をクリアしていったのである。我ながら、よくやったと思える作業だった。

 

ショッピングセンターのツリー

 

4 そして ロサンゼルス空港に降り立った 
      (2021年11月)

 

そして、2021年11月25日、ついに私はロサンゼルス空港に降り立った。ホテルに向かうシャトルバスでは、やはり1人乗ってきた若い女性に「〇〇のライブにきたの?私もよ」と声をかけられた。なんだか楽しい旅になりそうである。

 2日目、いよいよ活動開始である。しかし、この日私は2つのミスを犯すことになるのである。

 

<1つ目のミス>

ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらい、念願のゲッティ美術館へ。
ところがあれほど万全な準備をしてきたにもかかわらず、この日、ゲッティ美術館に入ることができなかった。
それは、ワクチン接種証明書をホテルの部屋に置いてきたからである。ライブ会場に入るために必要な書類のため、大事をとって置いてきたのが失敗。コロナまん延の中、公共施設に入るにはワクチン接種証明書が必要であることを失念していた。
スマホにデジタル証明も入れるべきだった、と痛恨のミスにあきれながらも、まぁ仕方ない…、一人旅、誰かに迷惑をかけるわけでもなく、時間はたくさんあるわ、ときっぱりあきらめサンタモニカに向かった。

 

 

ゲッティ美術館入り口

 

 

<2つ目のミス>

ひとりビーチを歩きショッピングモールで買い物をすませると夕方になってしまった。ところが帰りのタクシーがなかなかつかまらない。ロサンゼルスは流しのタクシーも乗り場も少ないことはわかっていたが、ショッピングモールにすらタクシー乗り場がなかった。ならばと、ビーチそばのレストランで夕食をとり、そこでタクシーを呼んでもらうことにした。食事のオーダーをする際に、ウエイターにタクシーをお願いし、食事をしていると「今日はもうタクシーの配車は終わったそうだ。ブラックフライデーだからね」と言われたのである。本日2つ目のミスである。

「あーやってしまった」と思いながらも、「焦っても仕方ない。さぁてどうしようか。タクシーが拾えるまで道路に立つか?それでも拾えなかったら、オールナイトの店で夜を明かすか?」「そういえば、近くにポリスステーションがあったし、ポリスも歩いていたなぁ。」と頭をくるくると回転させながらも「まずは腹ごしらえ」と食事をしていると、ウエイターが「もう一度タクシー会社にきいてみる」というので待ってみた。

 

<私は迷子のオバさん!?>

ところが、結局タクシーは呼べなかったとのこと。そのあとは、「どこのホテルにとまっているの?」「ホテルに電話して迎えに来てもらえば?」「あなたは、中国人?韓国人?日本人?」と聞かれる始末。どうやらたいして英語もしゃべれないおばさんがホテルに帰れなくなっているという騒ぎになっているようで笑ってしまった。

そして、ついにフロントマネージャー(女性)まで登場。「Uberタクシーはやってないの?」と聞かれたので「登録してないわ」と言うと、「私が呼んであげるから、それに乗ってホテルに帰ればいいわ」と言うので驚いてしまった。Uberを使っていない私でもわかるが、彼女のクレジットカード決済になってしまうので、「あなたのカードでの支払いになるからそれはよくないわ」と言っても「大丈夫。心配しないで。ここで待っていて」と行ってしまった。こんなことになって申し訳ないという気持と、まさか自分にこんな出来事が起こるなんて…という気持ちが入り乱れながらも、彼女の優しさが心からうれしかったので、今回は素直に彼女の優しさに甘えてみることにした。勿論、急いでホテルまでのおおよそのタクシー料金をスマホで検索した。彼女はタクシーに乗る時まで「お金はいらない」と言ってくれたが、多めのタクシー料金を渡して彼女と別れた。

 

ゲッティ美術館中庭

 

 

<ホテルに帰って速攻Uber登録を>

もし、いつか日本に来た外国人が困っていたら今度は私の番ねと思いながらホテルに帰り着き、速攻Uber登録をすませたのは言うまでもない。

次の日からはUberデビューである。スマホ片手に、ダウンタウンやコリアンタウンへ。本当に便利で、楽しくてしかたがない。念願のゲッティ美術館にも今度は無事入れた。

 

 

5 念願のライブへ

<夢のような時間>

そして、夜は待ちに待ったライブへ。入場待ちの時間も「どこから来たの?」「一人で来たの?」と世界中から集まったファンとも交流を深め、かれらのパーフォーマンスを目の前にして、やっと会えた、本当にきてよかった…と夢のような時間を過したのである。
最終日は観光を楽しみ、推しのグッズショップにも長時間並んだ。そこでも、並んでいるファンにペットボトルのお水を配って回る現地のファンがいたりして、驚きの連続であった。

 

ライブがあったstadium

 

 

<カフェテラスで 涙が、、、>

そして、歩き疲れてロデオドライブにあるホテルのカフェテラスでお茶をのみながら、ぼーっと外の景色をながめていたとき、急に涙があふれてきたのである。

思い起こせば、本当に 本当にたくさんの人に支えられていた。
「チケットがとれるなら、行ってくればいいじゃない!」と私の背中をおしてくれた役員、休暇中の仕事のフォローをしてくれる同僚、嫌な顔もせず「行ってこい」と私を送り出してくれた夫、がいた。
何より仕事があって自分の働いたお金でこうして自由に一人旅ができて、異国の地で人の優しさに触れて、自分はどれだけ恵まれているんだろう、“今 私は本当に幸せだ!”と感じたら涙があふれてきたのだ。

そして、「ありがとう。ほんとうにありがとう」とつぶやいていた。

 

 

6 今 思うこと

ロサンゼルスに行くことは、必要な人だけにしか伝えずに行ったが、帰国後の反響が大きく「その情熱がすごい」といろんな人に言われた。
私は、ただライブが観たい、少しでも行ける可能性があるのならあきらめたくない、そんな自分の感情に素直に行動しただけである。

勿論、ワクチンをきちんと接種し、検査も受け、現地では基本一人行動をすることで最小限のリスクに止めたつもりだが、コロナが一旦落ち着きを見せていた頃であったのも幸運であった。

今回の一人旅の中で、私は「はじめて」をたくさん経験し、人生まだまだ学ぶことがたくさんあるのだと感じることができた。

そして、この旅は秘書の仕事を引き受け、女性役員との出会いがあったからこそ実現できたのだと感じている。いまのところ私の情熱が覚める気配はないようだ。これからも、人との出会い、仕事を大切にしながら、私らしく歳を重ねていきたいと思う。(終わり)

 

涙を流したカフェ

 



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