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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2024年7月1日

1.私の京都物語― 嘘のようなホントの話


1)はじまりは 雑誌「クロワッサン」

友人にこの話をしたら、文字通り「嘘のようなホントの話ね」とー 盛り上がった。

事の発端は雑誌「クロワッサン」だった。
引っ越し以来、<モノを買わない、特に雑誌・新聞は図書館で読む>と決めた。が、ちょっと気になる特集があったので 久しぶりに買った、今年の春、3月頃のこと。

そこに<まだ知られていない京都>特集があって、興味をそそられた。私が好きな叡電(叡山電車)の沿線・三宅八幡に私設図書館&cafeが開店したという。それも完全予約制で、時間も限定されていた。「よし、行ってみよう」と好奇心が芽生えた。

というのも わたしが大好きな蓮華寺の傍に思えたからだった。トントン拍子に予約がとれて、4月中旬のある日に決まった。
しかし、「あのあたりらしい」と見当がついても、実際にそのcafeにはもちろん 行ったことがない。はじめてのことだったので 下見をすることにした。

 

 

 

予約をいれた前の日の午後、出かけた。もちろん、住所は知っていた。が、そもそもрヘない。クロワッサンには 簡単なイラストの地図が載っていたが、これが全く役に立たない大雑把なものだった。私はスマホを持たない。
 それでもなんとなるだろうと、歩きだした。まだ そこここに畑・田んぼが点在する山里の地域、ほとんど行きかう人もない。
たまに、散歩?しているような老夫婦に会って3組ほどに尋ねても「さあ!? そういえば そういう喫茶店ができたらしい、、と聞いたことはありますが」という程度で、ラチがあかない。おそらく駅を降りてから40分位はグルグル 歩き回っていたと思う。
路地を歩いていたら、右側の人家の軒先に大きな車が駐車してあり、そこに男性が犬と戯れていた。
初めて、私は地元民に会った気がして「あのー 少しおたずねしますが」と、食いついて!?行った。そう、正にこの人に聞かないともう、このcafeには辿りつけない!!という気持ちだった。

 

 

 

2)最初の日(4月のある日 夕暮れどき) 
     ― とある男性との出会い

 本当に親切な男性だった。一生懸命、スマホで検索をしてくれて「うーん、この近くであることは間違いないんだけどね、」と言いながら、それをどう説明していいのか苦慮していた。
 後でわかったことだが、道が入り組んでいる 加えて細い坂道である。車が入れる道はあまりなく、人が歩いて通れる道が四方八方にあって 説明ができるようでできない。
ついにその男性は「申し訳ない、チャンと説明できなくて。とにかくすこし遠回りになるけど、この左の道を突き当り迄行き、そこを右へ登ってみて、、。そのあたりで、人に会ったらもう1度 聞いてみてください。まあ 京都人と言っても悪い人はいませんから、、」とギブアップしたのだった。

それでも 私はとても心強かった。クリアにこの道ではないが、明らかにcaféに近づいている確信があった。何よりも、15分以上も 見ず知らずの私に一所懸命お相手してくれたこの男性に好感をもったのだった。

そして、どうにかこうにか お目当てのカフェにたどり着くことができた。

 

 

 

3)2度目の出会い (5月15日 昼下がり) 
     人なつっこい オジサン

 最初にcaféをたずねてちょうど1か月後、再び 京都へ。個人的には厄介な税金問題も何とか片付き、世の中もGWが終わってやや静かな印象となった。
再び むくむくと京都・熱がおきてー出かけた。思いついて 例のcaféに予約を入れてみた。関西の友人いわく、「もう いつもいっぱいで、なかなか予約取れない」と言っていたが なぜか?すんなりと京都滞在の最後の日、東京に帰る日の午前中予約できた。

それでも、不安だった。前回はグルグル回って なんとかたどりついたけど、今回はすんなり行けるかな、と。予約の前日 関西の友人も「ぜひ 前だけでも行ってみたい」というので またまた下見のつもりで三宅八幡まで出かけてみた。

そしてー
「確か、この家だったような、、」記憶をたどって、歩いていたら またあの男性に会ったのだった。思わず「あのー 1か月前にここで道をたずねた者ですが、覚えていらっしゃいますか?」と声をかけた。
「ええ、よく覚えていますよ。あの時のーーー」と 大きな声と笑顔で応えてくれた。
「そして、あの日 ちゃんとお店にいけたんですか?」と心から心配してくれた。

 

 

私設図書室&喫茶「鈍考/喫茶」のサイトTOPページInstagram

 

 さて、ここからが、長かった。楽しかった。傍にいた大阪の友人は目をパチクリ。

・「あれから、僕も気になって、、cafe調べてみましたよ。近くまで 行ってみました」
・「続けて 来るなんて よほど 気にいったんですね」
・「最近、知っているでしょう? 安藤サクラと柄本 佑の一家が近所に引っ越してきて 子供がわたしの孫と同じ小学校に通っているんですよ。この前、小学校の校庭で安藤サクラさんを見ましたよ、私」

などなど。こちらがきいていないことも、楽しそうにしゃべる しゃべる。
「では また」とー頃合いを見て その場を後にした。
大阪の友人曰くー あの人は京都人ではないですね、まるで大阪の人のよう!! と。

 

 

 

4)3度目の出会い (5月16日 朝) 
    まさに 3度目の正直!!

 もちろん、さすがに会うことはないだろう、でももしかしたら、、と思いながら 東京に帰る日、電車を降りた。そして歩き出した。確かにその男性は あの家に住んでいる。と言っても、わたしが家の前を通りすぎるのは不特定な時間だ。いつも外にいるとも限らない。

ところが、また 会ったのだ。まさに 3度目の出来事である。
もう、お互い ビックリ!! 二人とも 大声をあげてしまった。
「いやあー 私だって いつも家の外にでているとは 限りませんからね、、、」とご本人もこの続けての出会いに感動していた。
そして、70代であること、以前は市中の八坂神社のそばで商売をしていたこと、この地は妻の実家で越してきた、家を建てたんだけれど2年前に妻は亡くなった、今は娘の家族と同居しているーなどなど 語りだした。

「こんなふうに 3度も会えるなんて、何かの縁ですねえ。今度 来た時も声をかけてくださいね。コーヒーでも ご馳走しますから。」

 

 

あまりにオープンに ご自身のことを語るので私は少しどぎまぎした。「わたしは東京の文京区の根津に住んでいます。東大のすぐソバです」と言葉少なに 自己紹介した。
「まあ、その人の背景はどうでもいいんですよ。私はHと言います。名前だけでも知っていて、また 再会できた時 おしゃべりできたら最高ですね、こうしてお知り合いになれただけでも 嬉しいですね」
と満面の笑みを浮かべて話してくれた。

この男性Hさんの年齢は70代、3度会ったがいつも洗いざらしのG―ンズと白ッポイ トレーナーを着ていた。髪の毛は真っ白でお顔は日焼けして赤銅色。きっと、ヨットが趣味なのではないかしら?と勝手な想像をしてしまった。 「岩城 滉一みたいな印象の人、ですね」と大阪の友人は言っていた。そう、とってもカッコいいい男性だった。

 

また 会えたらいいな。
京都に行く愉しみが また1つ増えました!!



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