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ダービー 染付けクリーム差し (1770年頃)
Derby Blue & White Creamboat Ca.1770

 

 

 一般に「ヘルメット型(Helmet shape)」と称されるクリーム差しである。取っ手の付けられている部分に貝模様が、また側面の外側の縁に羽模様が付けられている。取っ手は、ダービーに特徴的な、高い位置に付けられたスクロール型のもので、上部に親指置きがある。同様の形で「いるかのクリーム差し(Dolphin Ewer)」と呼ばれている作品があるが、それと比べると、本品には「いるか」模様もなく、胴体側部も平らで特段の模様もなく、よりシンプルな形である。(ダービー「D2-3」ダービー「D3-11」及びロウストフト「LT1」参照。なお、最後の写真では、本品とダービー「D3-11」を比較のために並べてある。)

 絵付けは、染付け(釉薬下の青絵)のみで、岩地の上に建てられた中国風の寺院と、枝が風に吹き流された木々などが描かれている。内側の縁、内底、取っ手の上部などにも染付けの模様が描かれている。ダービー初期の素地には、染付けののりが悪く、顔料が流れてしまっているものも少なくないが、本品は、焼き上がりのよい白さの際立つ素地に、明瞭に絵付けされている。1764年にRichard Holdship(ウースター創設メンバーの一人)とウースター式のソープロック混入や染付け転写などに関する契約を結んだのをはじめとする、各種改良を経た成果の現れだと考えられる。
マーク:なし
Mark: None
高さ:9.2cm(取っ手最上部まで)
Height:9.2p (3 5/8in) to the top of the handle
文献/Literature:
-Bradley "Ceramics of Derbyshire 1750-1975" No.195 (p120)
-Phillips Catalogue "The Watney Collection of Fine Early English Porcelain, Part II" No.749