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ロウストフト 「いるか」のクリーム差し (1775年頃)
Lowestoft Dolphin Ewer Ca.1775



 

 

 貝殻あるいはヘルメットの形をしており、一般に"Dolphin Ewer"と呼ばれるこのクリーム差しは、英国の多くの窯(ウースター、カーフレイ、ダービー、リバプールなど)で作られたが、ロウストフトもその一つである。(ダービー「D2-3」ダービー「D3-11」及びダービー「D2-12」を参照。最後の写真では、ダービー「D3-11」(左)と本品とを比較できるように並べてある。)
 どの窯の作品でも基本的な形は同じであるが、取っ手の形が窯により異なる。ロウストフトの場合、本体に比べてやや小ぶりの単純なループ型の取っ手(下部にいくほど細くなる。)がつけられる。本体は銀器を模したもので、いるかや貝など海にちなんだ浮彫りが施されることが多いが、本品の場合、全体的に浮彫りが鮮明でなく、さらに側面の波模様(?)以外では、注ぎ口下の貝とペデスタル部の海藻(?)と貝以外には明瞭なものがなく、若干平板な印象を受ける。(同じロウストフトでも作品により異なるとのことである。)
 絵付けは、一方の側面と注ぎ口下にやや様式ばった赤と紫の花と緑の葉が、反対側の側面にはピンクのバラが描かれ、取っ手下には黄色と紫の花が配されている。葉と同じ緑色での縁取りがユニークである。
マーク:なし
Mark: None
高さ:7.8p(取っ手最上部まで)
Height:7.8p (3 1/16 in) to the top of the handle
文献/Literature:
-Berthoud "A Cabinet of British Creamers" Plate 82 illustrates a Lowestoft creamer in the similar form, decorated with flowers in enamel colours.
-Godden "Lowestoft Porcelains" (1985 2nd edition) Plate 120 shows a creamer in this shape but decorated in underglaze blue c.1770-5. Discussion of this shape in pp201-202.