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ダービー（外部絵付け） コードルカップとスタンド (1770-75年頃)
A Derby Outside-Decorated Caudle Cup and Stand Ca.1770-75

　ダービー（チェルシー・ダービー期）で焼成されたコードルカップとスタンド。上部が膨らむ「ダブルシェイプ」と呼ばれる形状のもの。二つのひねり取っ手がある。蓋もあったと思われるが逸失している。

　多色彩で描かれている図柄は、縁近くに横に引かれた青い線から小花が連続して吊るされているもの。金彩は縁と取っ手、それに高台付け根部分などに施されている。全体的にセーヴル的な図柄である。裏面には、そのセーヴルのマークを模したマークが青いエナメル（釉薬上）で記されている。

　図柄にある小花のうち、特にバラの花は中央に小さい点を打ったように見えるが、これは氏名不詳のまま"Dot Rose Painter"という呼称で呼ばれている絵付け師によるものと考えられる（ダービー「D1-7」及び「CD7」を参照）。この絵付け師は、ダービーに雇用されるとともに、ダービー近郊にあった独立の絵付け工房でも働いていたのではないかと論じられている。このセーヴルを模したマークは、その絵付け工房のものでないかとされている。本品では、カップ、スタンドともに組み合わせたLの中に数字の"6"が、その下にアルファベットの"m"が記されているが、他の数字や文字が組み合わされたものも知られている。


サイズ/Sizes：
　カップ/Cup　高さ(H)：7.7cm、直径(D)：8.6cm
　スタンド/Stand　高さ(H)：3.8cm、直径(D)：14.1cm

マーク：カップ、スタンドともに裏面に、青色で、セーヴル・スタイルの2つ組み合わせたLとその中に"6"、下に"m"
Marks： A Sevres-style two conjoined Ls mark with a "6" inside and an "m" underside, painted in overglaze blue, on the back of both the cup and the stand.

参照文献/References：
- Geoffrey Godden "Eighteenth-Century English Porcelain A Selection from the Godden Reference Collection" Item 50 (pp.187-188, Plates 154-156 and Colour Plate XVII)
- Stephen Mitchell"The Marks on Chelsea-Derby And Early Crossed-Batons Useful Wares 1770-c.1790" p.7 and Plates 2-3
- Stephen Mitchell "The Marks on Chelsea-Derby And Early Crossed-Batons Useful Wares 1770-c.1790 First Supplement" （本書全体が、Dot Rose Painter、ダービーの独立絵付け工房、セーヴル・スタイルのマーク等についての、前著の改訂・拡張版となっている。）
- Stephen Hanscombe "The Early James Giles and his Contemporary London Decorators" Item 133 (pp.124-125) （中国製磁器に同様のセーヴル・スタイルのマークが記された作品。本書では、ジャイルズ工房で絵付け師Fidelle Duvivier（「原典を読む 7.」を参照。）によって絵付けされたものとされているが、上記Mitchellの"First Supplement"では、ダービーの独立絵付け工房でDuvivierによって絵付けされたものだと論じられている。）

（2016年1月掲載）