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ダービー トルコ色の蓋付きバスケット (1765-70年頃)
Derby Turquoise Basket with Cover Ca.1765-70



 

 

 ダービー初期のチェストナット・バスケットである。バスケット本体には、六角形枠の中に花びらの地模様が型取られており、両脇に木の枝を模した取っ手がつけられている(ダービー「D1-6」参照)。蓋には、側面と上部に細かなくりぬきが施されている。上に本体同様の取っ手がついていたはずであるが、欠損している。さらに本体及び蓋に、花、葉、茎の細密なフリルが施されている。全面トルコ色である点がユニークであるが、蓋にわずかに残る白磁部分には、小花が散らされている。(ダービー「D1-13」参照。)

 この小花の描き方をめぐっては、近年のStephen Mitchellによる研究成果の中で、ダービー近郊における外部絵付けの可能性が提示されている。上に掲載した3番目の写真は、本品に描かれているバラのうちの一つを拡大したものだが、このように花の中央に小さな点のある描き方が、この絵付け師の大きな特徴だとされており(2番目の写真でも、同様の描き方による黄色やオレンジのバラが見られる)、この絵付け師は"Dot Rose Painter (DRP)"と名付けられている。DRPは1760年代の後半から1770年代前半にかけて、ダービー窯で働いていたか、あるいは近郊の独立絵付け工房でダービーから絵付けの注文を受けていた(おそらくはその両方)と考えられており、本品に関しては、独立工房で絵付けされた可能性が高いとされている。(ダービー「CD7」及びダービー「D2-32」を参照。)この絵付け工房には、Richard AskewやFidelle Duvivierといった絵付け師が関与していたとも論じられており、DRPの正体についてはチェルシー窯出身のRichard Dyerではないかと推論されている。


マーク:パッチマーク
Mark: Patch marks
サイズ:長さ19.7p(取っ手から取っ手まで)
Size:19.7p (7 3/4 in) long from handle to handle
文献/Literature
- Stephen Mitchell "The Marks on Chelsea-Derby Porcelain And Early Crossed-Batons Useful Wares 1770-c.1790 First Supplement"
- Dennis G. Rice "Derby Porcelain The Golden Years 1750-1770" Pl.119 illustrates a similar pair but decorated in different style.

(2010年7月更新)