ダービー キドニー型皿 (1775-82年頃)
Derby Kidney-Shaped Dish Ca.1775-82
「腎臓型」とは少し不気味な呼び名であるが、このいわゆるハート型の皿の形状は、一般にこう呼ばれており、ダービー作品ではよく見かける形である。
装飾に関しては、縁には、ダービーで開発された「スミス・ブルー」(ダービー「D2-1」及びダービー「D2-4」参照。)の上に、金彩でぶどう模様が、また、金彩で枠取られた小窓部分にはバラが描かれている。中央の白地部分には、3か所に花束、中央に一輪のバラが描かれている。各花束からは一輪の花が大きく飛び出しているが、これは、Edward Withers(ダービー「D2-1」、ダービー「D2-4」及びダービー「D2-5」参照。)の描き方の特徴の一つであると言われている。下記参照文献に、同一図柄だが製造時期が本品よりも遅い作品が掲載されているが、この一輪だけ飛び出ている描き方は、そっくりそのままであり、図柄の継承の事例として興味深い。
マーク:裏面に青色で「王冠とD」
Mark: <Crown over D> painted in blue on the bottom
サイズ/Size:26cm x 21cm
文献/Literature:
-Honey "Old English Porcelain A Handbook for Collectors" (1946 revised) p126 and Plate53D
-Twitchett "Derby Porcelain" (1980) Plate210
この2文献ともに、1790年代頃のWilliam Billingsleyによる本品と同一図柄の丸皿が掲載されている(両作品は極めて似ているが、別作品である)。
Each of above books illustrates a round plate with the same pattern painted by William Billingsley in later period, ca.1790s. (Both plates are quite similar but are different items.)