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ダービー 壺（1800年頃）
A Derby Vase C.1800

　ダービーの横長の楕円形の壺。左右にサテュロス頭部が配され、そこからループ状の取っ手が伸びている。

　胴体中央部と蓋の下部は青地に葉模様の金彩が施されている。また、胴体中央の白抜きの枠内には多種の花によるブーケが描き込まれている。これらの装飾は、19世紀初め頃の特徴を有している。

　裏面には壺の型番'No 80'とサイズの'2'、そしてリペアラーIsaac Farnsworthのマークである'＊'が刻み込まれている。William Bemroseによるフィギュアや壺類のリストには、型番80の壺が、'80 Large Oval Vases, 2 sizes'と掲載されている。サイズに関しては、本品は2つあるうちの小さい方のサイズということになる。この形の壺は、1774年のダービーのロンドン店舗のカタログ（原典を読む8を参照。）には登場しない。これと型番の近い作品、例えば、いわゆる「ケドルストン」型の壺や水差し（型番で言うと86番から99番までのいくつか。ダービー(D2-14)及びダービー(D2-20)を参照。）が導入されたのは1780年代初め頃だと見られており、本品の型番80の壺もそれほど違わない時期に導入されたのではないかと思う。ただし、本品の製造時期に関しては、上述のとおり装飾の特徴から判断して、それよりかなり遅いものと見られる。


高さ(Height)：22.5cm

マーク： 全て裏面に刻み込みで、'No 80' (壺の型番)、 '2' (サイズ2)、及び'＊' (リペアラー Isaac Farnsworthの記号)。
Marks： All incised at the bottom, 'No 80' (shape number for vases), '2' (second size), and '＊' (for repairer Isaac Farnsworth).

参照文献/References：
-John Twitchett "Derby Porcelain" Fig.276
-William Bemrose "Bow, Chelsea, and Derby Porcelain" Chapter VI (Bemrose's List)

（2020年4月掲載）