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ダービー 蓋付きバスケットとスタンド(1765年頃)
Derby Chestnut Basket with Cover and Stand Ca.1765

  

 ドーム型の蓋には、くり抜き部分に暗褐色の花びら模様が描かれるとともに、果物と虫が描き散らされている。バスケット本体には、表面に型取られた六角形の中に同様の花びらが描かれ、内底には小花が3つ4つ散らされている(ダービー「D1-7」参照)。スタンドにも、縁に暗褐色の花びらが描かれるとともに、中央円形の枠の中に風景とともにエキゾティック・バードが描かれている。また、取っ手は全て木の枝を模しており、付け根に花と葉が立体的にあしらわれている。このように暗褐色の花びら模様を全面に描いた蓋付きバスケットは、ドクター・ウォール期ウースターによく見かけるが、ダービーでは本品のように下部が丸いボウル状になっているのが特徴である。
 本品の最大のポイントは、スタンドに描かれたエキゾティック・バードであろう。このようなカラフルな鳥の図柄は、英国ではチェルシー及びウースターの作例がよく知られているが、初期ダービーでも描かれている(ウースター「W12」ウースター「W19」ロントンホール「LH1」参照)。ダービーの鳥は比較的柔らかな色調が特徴である。また、ダービー作品における鳥の絵付けは、部外発注はされず、自社内で、しかも1人か2人の絵付け師によってそのほとんどが行なわれたとされている。
 なお、本品は無銘であるが、ダービーの大きめの作品や人形の裏面によく見られるパッチ・マーク(patch mark)(又はパッド・マーク(pad mark)とも呼ばれる。)を有している。これは、窯の中でいくつかの小さな球状の土台の上に置かれて焼かれた際にできる、丸型の黒くくすんだ痕で、初期ダービー製品の大きな特徴である。
マーク:バスケット本体及びスタンドの裏面にパッチ・マーク
Mark: Patch Marks on the bottom of the bowl and the stand
サイズ:蓋の直径約21cm。スタンドの直径約25cm
Sizes: Cover about 21cm (8 1/2 inches) in diameter and the Stand about 25cm (10 inches)