蕎麦の唄

                          佐賀・長崎・熊本・大分・鹿児島

  佐賀/梅干 佐賀市
       
       色は白いても うどんはうどん  色は黒ても そばがよい 
 
        梅干の題名は、「皺(しわ)はよれども あの梅干は 色気はなれぬ 粋(酸い)な奴」という
        酒盛り唄からでたもの。
        古くからある民謡だが、曲調が端唄風であるため一般には余り知られていない。

  長崎/蕎麦挽唄 
       
        盆は近づく さまちは持たず  何を頼りに  そま挽こうか
 
         対馬の西岸に残っている古い蕎麦(そま)挽き唄。 
         阿連村では旧暦7月1日(新暦8月1日)から蕎麦挽きが始まり、若い娘たちは心やすい家を
         宿にして、そこで盆の団子にする粉をひく。
         その時訪ねて来る若者と親しくなれば、団子をこしらえて一緒に食べ、婚姻の成立することもあった。
         さまちは方言で男の恋人の意。
  
  熊本/地搗節 球磨郡
        
       堪(たん)四郎殿は 今日の御堂の建立に
       八万余騎を召し連れて あること無いこと口説(くど)かねば
       下手の素麺つるがぬー これからだんだん口説きましょう


  大分/都地節(祝儀唄) 直入郡
       
        朽網(くたみ)名物阿弥陀池に 小杜若(こかきつばた)に蕗(ふき)・根芹(ねぜり)
        椎茸・躑躅(つつじ)に石楠(しゃくなんげ) 山の城(じょう)でははね柳
        一目見おろす蕎麦の花 嵯峨の天皇御陵(みささぎ)の
        さっぱりおされぬ菊桐の 花の都じゃないかいな

   
         正月・祝言・新築祝いで歌われる。

 鹿児島/よろこん節(祝儀唄)種子島・屋久(おく)島
  
        目出たいものは 芋の種子 茎長く 葉も広く  元にゃ繁盛の子がさす ナイエヨー
        繁盛の子がさすならば 幸いよ  子供も数多(あまた)もたされ ナイエヨー
        目出たいものは 蕎麦(そま)の種子  花さし実がないて 三角(みかど)そろいが ナイエヨー

         産児の祝宴に歌われるが、婚礼の席でも歌われた。
         さすは、咲くの方言。


        北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形    栃木・茨城・群馬・千葉・神奈川 

        新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・愛知  三重・滋賀・兵庫・奈良・和歌山

        鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知       蕎麦噺目次