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ざっくばらん ゆき子のおしゃべりコーナー
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2023年1月1日

3.アクティブシニアのライフヒストリー

飯塚 洸子さん 寄稿

 

私(平井 ゆき子)から一言。

洸子さんとは、とあるネットワークのご縁で10年ほど前にお知り合いになりました。それから高尾山をご一緒したり、時々美味しいものを食べに行ったり。いつも刺激的な会話が弾んで「かく、ありたい」と思う人生の先輩です。先日「ゆき子さん、私 面白いプログラムに参加したのよ」と語ってくれました。その体験を書いていただきました。

私も 参加したシニア5人のライフヒストリーを聴いてみたいと思いました。それ以上に、こういうユニークで斬新なプログラムを立案実施した明治学院大学の先生に、心からエールを贈ります。大学人が、大学の外に向けて交流を求めることは簡単なことではありません。そういう意味でも、ぜひ今後もこういうプログラムを継続していただきたいと願っています。

飯塚 洸子さんは 2019年11月のおしゃべりコーナーにも
原稿を寄せていただきました 「日日是多忙」




〜もくじ〜

<最近私が体験したちょっとユニークなプログラム>
<きっかけはー港区・チャレンジコミュティーカレッジ>
<今回 参加したプログラムは?>
<始まりました!いざ明学の教室に集合>
<プロジェクトの目的は?>
<最後に>




<最近私が体験したちょっとユニークなプログラム>

 私の年齢(81歳)になると大学生との接点は極めて希少です。
子ども、孫がいたら・・?いや~、たとえ居たとしてもとうに彼らからは関心も持たれず、「ただ元気に老いて欲しいと思われている存在」かもしれませんね。
そんな中、つい先月、大学3年生を相手のあるプロジェクトへの誘いが舞いこみました。

 旧知の明治学院大学の教授から後輩の社会福祉学科の教授が授業で「アクティブシニアのライフヒストリーをきく」プロジェクトを企画した、該当の3日間全て参加可能な高齢者の紹介を頼まれたのですがいかがですかーという依頼でした。

 





<きっかけはー港区・チャレンジコミュティーカレッジ>

 2007年にわたしの住んでいる港区は地元の明治学院大学とのコラボレーションで「チャレンジコミュティーカレッジ(CC大学)」を創設しています。区内の高齢者に学習機会与え、修了後はコミュニティ活動の担い手として期待する旨のプロジェクトが発足、現在15年目に入っています。

 詳細:

  • 港区が経費他を負担、明治学院大学が教授陣とキャンパスを提供
  • 対象は60歳以上の区民60名、1年間、週1回3時間の受講が可能な健康な男女 (年齢不問)
  • 経費は年間3万円
  • 受講7割で修了証明交付 

 15年前、リタイヤ後の私は一期生として受講し、以来今日まで行政と協働で自分に出来るささやかな地域活動を実行してきました。

具体的には居住地の高輪・白金エリアで引き籠りがちな地域高齢者を対象に「コミュニティのカフェ」や「トーク会」など立ち上げ、開催し、後輩を巻き込み、今や行政からも結構評価の高い活動となっています。

 





<今回 参加したプログラムは?>

 前述の社会学部・社会福祉学科の高齢者福祉を担当する先生の考えるプロジェクトの内容は次のようなものでした。

学部3年生の「実習指導」として、「生徒が地域の高齢者のライフヒストリーを聞き取り、インタビューを通して多様な高齢者像及びその生きてきた時代背景などの理解を深める」を目的としたものです。したがって、我々高齢者の参加協力が不可欠です。

1日1回90分、3日間の授業に参加したのは、男性3名、女性2名、年齢は83歳~76歳の5名でした。

 

 





<始まりました!いざ明学の教室に集合>

 1回目―初日は互いの自己紹介の場でした。孫の様な学生を相手に、我々はやや面はゆい感じで自己紹介です。聞き手の3年生10名(1名が男子)、驚くなかれ、女子学生全員はいわゆるキラキラネーム!誰が誰だか覚えられない我々でした。

 その場で、彼らが聞きたいテーマに沿って学生2名対高齢者1名の5組が決まり、次回は我々が用意した自分史をもとに学生がインタビューして、その時代背景・社会の出来事を調べます。
 私は聞きたい事が「仕事・生き方」と言う唯一の男女組が相手に決まりました。帰宅後早速、簡単な私の履歴書を書き始め準備をしました。
書きだしてあらためて自分の来し方を思い浮かべる作業は、懐かしい気持ちで進みました。

 2回目:家族構成や今までの仕事に関わる自分史を2人に話しながら、その折々の社会情勢を伝え、 学生が調べる参考に、としました。例えば:岩戸景気、バブル、9・11など、彼らの年代ではほとんど知らない事が多い様でしたが、学生は礼儀正しく、熱心に聞き質問してきました。

 

 

 

 3回目:いよいよ学生による発表と意見交換会です。
どの様な内容になっているのか一抹の不安の中、若者らしく映像・イラストを使ってタイトル 「飯塚洸子さんのライフヒストリー」が発表されました。

 最後に私から彼らへのメッセージを語る番で、次のことを強調しました。
―私は今後の彼らにどんな職業に付くにしても「・人脈をつくる・メンターをつくり、そして自分もなる ・チャンスをつかむ」を心掛けて欲しいと伝えました。

 次々と学生全員がそれぞれの方法、語り口でアクティブシニアを前に自分たちの聞き取りを発表しました。それを聞き、いまさらながら長い付き合いの仲間たちのライフヒストリーが明らかになり、私自身も新鮮な気持ちになりました。


 

<プロジェクトの目的は?>

 日頃高齢者との関わりのほとんどない学生が将来介護の現場等で利用者たちとのコミュニケーションがスムーズにできること、今どきのお年寄りが背負ってきた時代を理解出来れば共感が生まれて良い関係つくりのきっかけになるとの事でした。教授のこの発案に我々も異口同音に賛辞と拍手を送りました。

 私個人は改めて自分の生きてきた軌跡を思い返す良い機会になった事、日ごろ縁のない大学生と短期間ながら自分の事を話せたのは新鮮で、大変良い機会をもらった事への感謝の気持ちでいっぱいになりました。5人のライフヒストリーがまとめられた小冊子が手元にあります。

 




<最後に>

 最後に学生たちに一言付け加えたのは、今後、もし介護の仕事に就く事になった時、お年寄りを 「やさしく子ども扱いする事でなく」それぞれが生き抜いた時代を理解して「一人の人間としての尊厳を第一に接する事」を重視して欲しいと伝え、私の3日間のミッションは終わりました。

 我々5人の高齢者にとっては思いもかけない機会で得たこの若い学生たちとのコラボレーションでした。
日ごろあまり感じることのない緊張感もありそして爽快感の中、無事に終わりました。今後学生たちが良き介護の担い手になってほしい、社会で活躍をして欲しいと心から願います。

 後日、学生たちは全体でまとめる作業に入り、成果を関係学部や学内学会等で発表するとの連絡がありました。反省会への招集もきました。さてさて、どうなりますか。(終)

 

<後日談> 平井ゆき子 記

洸子さんからいいお話を聴きました。
「先日、明学の学生たちと反省会をした折に 麻雀を知らない!! 知りたい、という声があがったの」ということです。その結果、港区の老人クラブで麻雀教室をやっているので、そことまたご縁がつながったとか。「年明けから、麻雀に興味がある学生がその教室へ行って教えてもらうことになった」そうです。一過性で終わることなく、こういう動きがでてくるのは素晴らしい。シニアにとっても、若い大学生にとっても刺激的な時間になるでしょう。

 

 



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