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ハマショーのAMERICAが突然聴きたくなり、YouTubeの世話になる。
この曲をいつ頃、どんな思いで聴いていたのかが、はっきりとは
しないのだけれど、夫が聞き覚えがないというから、恐らく結婚
する前なのだろう。
そういえば、大学時代のボーイフレンドが好きそうだなあ。
AMERICAじゃなくて、ハマショーが。ってことは、学生時代だ。
まだAMERICAに行ったことはなく、ハマショーのようにAMERICAに
複雑な思いももっていなかったわたしが、なぜそんなにあの曲が
好きだったのか。

NYで踊る日を夢見ているダンサーとただ東京から逃れたかった
だけの俺が、ヒッチハイクしてサンフランシスコへと向かう。
何者にもなれずにもがいている二人が、ただお互いのむなしさか
ら逃れるために一緒にいる。
いつでも夢をもつことを求められ、実現に向けて努力を強いられ
るアメリカという国で。

誰もが、理想とか夢とか野望とか、そういうものを肯定するけれ
ど、現実ってもっと冷たくて、とらえどころのないものだと思う。
今を生きている20代にとっては、もしかすると夢の方がとらえど
ころがないのかもしれないけれど、あの頃は、夢ってすごくリア
ルだった。ある意味、現実よりも。
だけど、夢はいつか消えるとわかっていたのかもな。
なんとなく、うっすらと。

20代の頃からずっと仲がよかった友達と連絡が途絶えた。
彼女が連絡を絶った。だけど毎年年賀状だけは出した。返事はな
かった。彼女の友人から、消息を問うメールが来たけれど、無視
した。手紙まで来たけれど、また無視した。
わたしだって、彼女のことが心配でたまらなかった。
もしかすると子どもをなくしたのかとまで思った。
彼女の家の近くまで行って、子供用の洗濯物が干してあるかどう
かそれだけでも確かめようかとも思った。
でも、それってエゴだ。
彼女の消息が知りたい、と思うのは、私のエゴだ。
彼女を思ってのことじゃない。
彼女が知らせたくないなら、ただそれを受け入れるしかない。

そして突然、メールが来た。
元気じゃなかった。いろいろつらい思いをしたみたいだった。
20代の頃ふたりでいろんなことに笑い転げて、ご飯を食べて、映
画を見て、コンサートにも行って、恋の話をして、将来の話をし
た。
お互い、ちっとも夢見ていた通りにはならなかった人生だ。
わたしたちは、これからもまだいろんなことを軌道修正しなくて
はならないのかもしれない。
だけどそれが人生。
夢に破れるって、そんなにみじめなことでも情けないことでもな
い。わたしは、これから先も懲りずに夢を持ち続けるだろうし、
そして泣いたり傷ついたり、するんだろう。
夢を持ち続けることが大事なのだとは思わない。
持たなくても別にいいんじゃない? そんなの人それぞれ。
私は、夢を持つのが好き。
それは、カポーティの草の竪琴がたまらなく好きだったり、マサ
ムネの唄う、木綿のハンカチーフに心が震えたりするのと同じこ
と。特別な理由なんてない。

これからも私は夢を持ち続けて、それで泣いたり笑ったりする。
それでたまにAMERICAを聴きたくなったりする。

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