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ダービー 植物絵皿 (1813-20年頃)
A Derby Botanical Plate C.1813-20









 ダービーの植物絵の皿。3種類の植物が描かれており、裏面には'Tawny Day Lily, Restharrow, & Clusterd Bell-flower'とその名称が英語で書き込まれている。図柄番号は記されていない。

 本品のように複数の植物を組み合わせた大胆で華やかな図柄は、絵付師ウィリアム・クエイカー・ペッグ(William 'Quaker' Pegg; コラム11.ダービー窯「芸術家」列伝及びダービー(D5-7)を参照。)によるものとされている。ペッグは、1796‐1801年及び1813-20年の2つの時期にダービーに在籍したが、本品はより華やかな画風の第二期の作品である(裏面マークと植物名が赤で記されているのも、1810年代以降の作品であることを示すものである)。大胆な描き方という意味では、ときに図柄が皿の縁ぎりぎりまで、金彩の縁取りに食い込むように描かれるところもペッグの特徴とされる。

 1790年代以降、ダービーのこのような植物図は、植物誌の挿絵を写すのが一般的であったが(ダービー(D3-21)及びダービー(D4-11)を参照。)、ペッグの(特に第二期の)場合は、植物名を書き込んだ作品であっても挿絵の写しではなく、自然の草花をもとに描いたものだとされている。例えば、本品の中央に描かれているTawny Day Lilyは、William Curtisの'The Botanical Magazine'第二巻(1788年)のNo.64に採録されているが、その挿絵は以下のとおりで、本品とは異なるものであることが分かる。

William Curtis"The Botanical Magazine" Vol.2 (1788), Pl.64'Tawny Day-Lily'



直径(D):22.3cm

マーク:裏面に赤色で'Tawny Day Lily, Restharrow, & Clusterd Bell-flower' 及び「王冠、交差するバトンと点及びD」。
Marks: 'Tawny Day Lily, Restharrow, & Clusterd Bell-flower' (plants' names), and 'a crown, crossed batons, dots and D', all written in red on the bottom.

参照文献/References:
- F. Brayshaw Gilhespy "Derby Porcelain" Colour Plate I and pp.86-90
- Franklin A. Barrett & Arthur L. Thorpe "Derby Porcelain" Plate 149 and p.65
- John Twitchett "Derby Porcelain" Colour Plates 63 & 64
- George Drury "Quaker Pegg" pp.43, 44, 46, 47 and 49
- V&A Museum Website:
 http://collections.vam.ac.uk/item/O278551/plate-pegg-william/
 http://collections.vam.ac.uk/item/O278552/plate-pegg-william/
- National Gallery of Victoria Website:
 https://www.ngv.vic.gov.au/explore/collection/work/17268/
(2018年9月掲載)