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ダービー ソースボート(1760-65年頃)
Derby Sauce Boat Ca.1760-65

  

 デュズベリー期初期のソースボートである。側面は葉を重ね合わせた形状になっており、薄いトルコ・ブルーで縁取られている。取っ手部分は茎が丸まった形になっていて、その両脇には果物と花が付けられている。本体側面には、何種類もの花が多色彩で描かれている。内底にも同様の小花がいくつか描かれている。
 この花絵は、初期ダービーを代表する"Cotton-Stem Painter"と呼ばれる絵付け師(氏名不詳)によるものである。茎(stem)の部分が木綿(cotton)の糸のように描かれるていることから、こう呼ばれるようになった(ただし、本品ではあまり明瞭でない)。本品に描かれている花は、やや形式ばった描かれ方をしているが、この絵付け師の典型的な描き方の一つで、カップやティーポットなどにもよく見られるものである。(ダービー「D1-1」ダービー「D1-2」ダービー「D1-4」ダービー「D1-10」ダービー「D1-11」参照。)
 この時期のダービーには、主要な絵付け師は数人しかいなかったと推測されており、Cotton-Stem Painterは、その代表的な一人である。また、彼は花絵以外に、鳥や人物像も描いたとされている。1756年頃(ウィリアム・デュズベリーT世がダービーの経営権を握ったのと同じ頃)にダービーにやってきて、独立するまでの10年間程度、ダービーで絵付け師として働いたとされているが、それ以外は、あまり知られていない。
 一方、この時期にWilliam Billingsleyという花絵の絵付け師(後年、バラなどの花絵で一時代を画したWilliam Billingsleyの父親。)がダービーにいたことが知られており、この父親の方のWilliam BillingsleyがCotton-Stem Painterの正体でないかとの説もあるが、具体的な証拠はない。
マーク:パッチ・マーク
Mark: Patch Marks
長さ:約18.5cm
Length: about 18.5cm (7 1/4 inches)
文献/Literature:
-Rice "Derby Porcelain The Golden Years 1750-1770" Plate128