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ダービー 八角形バター入れ (1756-60年頃)
Derby Octagonal Butter Tub Ca.1756-60
ダービー初期のバター入れである。横長の八角形で、上部に向かって少し広がった形をしている。もともとは蓋(おそらく、上部が丸みがかり、果物のつまみが付いたもの)が付属していたはずである。その点は、茶色の縁取りが擦れているところからも分かる。スタンドは、この形状のバター入れには付属していなかったと見られている。
絵付けは、側面の表と裏に花絵と鳥がそれぞれ描かれている。花絵は、Cotton-Stem Painter(ダービー「D1-1」、ダービー「D1-4」、ダービー「D1-9」、ダービー「D1-10」及びダービー「D1-11」を参照。)によるもので、茎が木綿の糸のようによじれている、この絵付け師の特徴を鮮明に見ることができる。鳥は、羽をたたんで草むらに立つ孔雀と、もう一羽の飛んでいる鳥である。いわゆるエキゾチック・バード(ダービー「D1-6」参照)とは異なるが、これも初期ダービーに特徴的な鳥の一つであり、花とあわせてCotton-Stem Painterが描いたものと見られる。また、両脇部分にも花絵が、簡潔ながらも上品に描かれている。なお、鳥が描かれている面の左上部に、製造時の傷と見られるひびがあり、それを隠すために、外側と内側両方に、ひびに沿って枝葉が描き加えられている。
裏面は、全くの平面になっており、端の部分を除いて釉薬がかけられていない。また、3つのパッチマークが鮮明に付いている。
初期ダービーの高水準をよく示した美しい作品である。
マーク:パッチマーク
Mark: Patch marks
サイズ:長さ約12cm、高さ約6.5cm
Sizes:12cm (4 3/4in) long and 6.5cm (2 1/2in) high