新規開業
目次
バブル崩壊後、日本経済は激動の時代を迎えています。これまでの各種規制の緩和が急速に進む中、従来の商習慣や価格破壊が急速に進行しています。これらの動きは一方では中小業者の営業を困難にしていますが、一方ではあらゆる分野や業種で新たなビジネスチャンスを生み出しています。
又、企業ではリストラが叫ばれ、ホワイトカラーや中高年が職場からはじきだされるという状況も進行しています。
そうした中で、『自分の能力をいかんなく発揮したい』という人が増えてきています。
「開店・開業」は単なる脱サラ、転業ではなく、自己実現をはかる手段として、あらためて脚光を浴びています。
開店・開業を考える人のために
開店・開業はそれを考えた時からスタートします。
開店・開業を実現するために何が必要なのかを考えて見ましょう。
1.時代の変化を読もう
(1)あらゆる分野業種で生まれているビジネスチャンス
- バブル経済の崩壊後、不況は長期化し、加えて地価・株価の下落、低迷など多重苦の中に
- そんな中でも知恵と技術とパワーのある企業家達が出現
- 消費が低迷しているが、消費者の節約志向、価格志向、ホンモノ志向はすっかり浸透・定着
- 驚くほどのスピードで人々の生活の中に定着しつつあるインターネットはビジネス方式や個人消費などを大きく変える要因に
(2)大は小を兼ねない
- 流行に敏感で、小金持のヤングOLたちが、消費のリーダー格であることはまちがいない。生活価値観も主婦と同様に節約志向、価格志向、ホンモノ志向へと傾斜
- 消費のリード役がヤングOLぱかりでなく、中高年層、高齢者・シルバー層、主婦層、団塊ジュニアなど多様化している。
- じっくり対象を見極め、それぞれの客層の価値観にぴったりあった事業を起こすことができれば、成功への道はいとも簡単に開く時代。
- 大規模店、フランチャイズチェーンなど、消費市場は大型化、系列化がどんどん進行。しかし消費者の満足度が高まっているわけではない。
- 商品分野では、こだわりの商品、単機能の商品、オリジナル商品、地域限定商品などがどんどん開発され、店舗でも専門店といわれる特定業種・特定商品にしぽりこんだ店が消費者の高い満足度を提供している。
(3)「開店・開業」は自己目標の実現につながる
開店・開業をめざす多くの人の動機
- 他人から指図されず、自分の裁量で仕事が出来る
- 自分の力を試したい
- キャリアを生かしたい
- 努力に応じて収入が増える
近年の特徴 家族や社会とともに、充実した生き方を求める傾向が強まっている
- 自分なりのライフスタイルを実現したい
- 社会との関わりがもてる
- 資格や趣味を生かしたい
- 好きな仕事を続けたい
(4)経営者の条件 自己診断してみましょう
- 健康で体力に自信がある
- 旺盛な研究心
- 柔軟性と対応力
- 実行力と決断力
- 自己主張・パフォーマンス
あなたにとっての開店・開業は何ですか
2.はじめに「やる気」と「起業ごころ」
(1)サラリーマン感覚を捨てる。それが独立の成功につながる
努めている会社の職種と、これから独立しようと思っている事業の業種が同じでも、サラリーマンと独立経営では、仕事の仕方が全く違うことをまず肝に銘じること。
(2)情報収集を怠らず、他人のやらないことをやる
小さな資本で個人が開業する場合、成功の秘訣は、他の店がやっていないオリジナルな商品やサービスを武器にする。
- オリジナルなものは十分な情報収集なしには生まれない。
- 自分が開業しようと思っている業界に対して、いつも敏感なアンテナをはり、他人のやらないことをやる、という「起業ごころ」がなければいけない。
- 「みんなと同じ横ならびが無難」というサラリーマン的発想は捨てること。
3.独立は円満退職と家族の同意が必要
(1)会社で作った人間関係は開業時の客層開発につながる
(2)家族の同意が成功の条件
シンドさも一緒に背負える協力関係
4.計画づくりから始めよう
- 独立に動きだす前に準備することがある
- 独立開業を成功させるためには、開業までに十分な準備が必要
- どんな業種で開業するのか、どこの仕入先を使うのか、どこに店をだすのかという「事業計画」
- 資金をどのように調達して、どのように返済していくのかという「資金計画」
(1)事業計画はなるべく具体的に考える
事業計画のポイント
- 業種を選ぶ資料収集や、実際に店舗の視察など、実地調査を入念に行なう
- 選んだ業種は許認可が必要か・・・必要なら取得にはどうすればよいか調べる
- 立地条件を考える・・・業種にとっての向き不向き、客層の下調ベる
- 仕入先や仕入条件を研究する・・・品揃えの特徴や評判を調べる
- 経営形態をどうするか・・・個人で開業するか、会社にするか、FC加盟か従業員はやとう必要はあるか
- 採算計画・・・どの程度の開業資金が必要か
- どの程度の売り上げ目標が必要か
(2)資金計画は貯金から始める
- 資金計画は開業のための資金と開業後の運用資金とに分けて考える
- まず始めに開業資金をどれだけ必要かを検討する
- 自己資金は出来れば開業資金の半額を用意しておくと残りの資金調達も含めて楽になる
- 自己資金のための積み立て貯蓄が開業成功の第1ステップ
- 次に自己資金でまかなえない部分をどこから援助してもらうかを考える
- まず親や親戚、兄弟などからどれだけ借りられるか、金融機関から借りる場合、どのようにしたら借りられるか研究する
資金計画のポイント
- 自己資金はいくら貯金するか・・・計画を立てて、すぐに積み立て貯金を始める
- 残りの資金をどこから調達できるか・・・不足分はいくらかチェックする
- どの金融機関から借りられるか・・・開業資金の借入をチェックする
- 保証人の候補はだれか・・・融資を受ける直前ではなく事前に探しておく
準備編〜これで成功の扉は開く
1.開店・開業資金はいくら必要か
開店・開業資金は、立地、業種や業態、店舗の規模などによって大きく異なりますが、一般に設備資金と設備資金の3割程度の運転資金を加えた金額と言われています。
2.開業資金の作り方
「商売を始めたい!」と思った時に、まず先立つものが資金です。
どうしたら必要な資金を用意できるのか。開業計画のポイントなどを考えてみたいと思います。
(1)自分なりのプランをもって、具体的な開業計画を
- 開業を考えている業種のリサーチ、情報収集、同業者からのアドバイス。
- 開業に必要な資金を明確にするとともに、開業後の収支の見通しと目標を持つ。
- 設備費金(店舗、内装、電気工事、機械、車両、OA機器など)
- 運転資金(人件費、仕入代金、宣伝費など)
- 営業見通し(2〜3カ月後がポイント。当面1年くらいの目標を)
※フランチャイズ契約システムについては、全国的に様々なトラブルが発生しています。契約内容を書面でよく確認し、十分納得して契約すること。
※とりわけロイヤリティ、契約解除時の条件に留意。
(2)まず必要な(開業計画の30%程度)の自己資金を確保しましょう
開業をめざす以上、ある程度の自己資金は必要です。「ゼロから出発!」という精神は貴重ですが、自己資金なしで借入金だけを頼りにすることは「無計画」と言われても仕方ありません。開業した後に安易に破綻しないためにも、努力して準備しましょう。
自己資金を準備するためには、計画的な貯蓄、家族からの援助などが必要です。
(3)開業資金は国民生活金融公庫、県・市などの自治体融資制度を活用しましょう
国や自治体では、開業をめざしている方を支援するための融資制度があります。この制度は金利が2〜3%という、低金利で融資が受けられる制度です。大いに活用しましょう。
公的融資制度の主なものは、ほとんどの制度が、開業に必要な資金の70%程度が融資可能金額の目安と考えてください。
融資を実現するためのポイント
1.本人の熱意と情熱、開業業種についての知識、意欲と自信がまず大切
2.具体的な開業計画が明確であること。開業プラン、設備投資の内容など
3.すでに支出した経費については、領収書、請求書、伝票などをきっちり保管しておく
4.民商のバックアップ
5.保証人になってくれる家族や友人との信頼関係を築いておく
(4)簡単に借りられるのか
- 銀行の貸し渋り、貸しはがしが強まっている
- 民商は長年融資制度の拡充に取り組んできた
(5)商エローンなどの高利資金の借入れはやめましょう
商工ローンやサラ金会社の事業ローンは、利息が25%前後という異常な高さです。借りられたとしても、必ず返済に行き詰まることは明らかです。高利金融業者からの借入れを考えるくらいなら、開業計画そのものを見直すことも必要です。
すでに高利の借入れがある方は、解決方法がありますので民商に相談してください。
(6)銀行や公的機関との信頼関係を築き、上手につきあいましょう
- 融資の返済を約定どおりに行うことが、銀行や公的機関との信頼関係の基礎です。月々の返済を守りましょう。
- たときは率直に相談することも大切です。
- 返済の猶予・条件変更や繰延が、制度として認められています。約束を守らずズルズルと返済を延ばすことが最もいけません。無理のない支払いできちんと返済することに心がけましょう。
- 開業した後には、事業資金として様々な融資制度や補助金制度があります。その都度、必要な制度を活用しましょう。
手続編〜これだけはやっておきたい手続
これまでの準備と計画をもとに、開店開業準備に必要な手続をチェックします。
1.店舗の開店・開業と行政手続
許認可が必要な4業種区分
店を持って事業を行なう場合には、事前に役所や関係機関に届け出を行なったり、許可を受ける必要があります。どんな商売や事業も、自分で勝手に出来るものはまずないと考えていいでしょう。たとえば飲食業の場合、食品衛生法にもとづいて、保健所から許可を受けなければいけません。
遅くとも開店10日程前には、営業許可申請書を提出しましょう。申請書は保健所にあります。申請すると、店舗工事が終わる頃に係員が検査に来ます。
又、同じ飲食店業でも、飲食店業、菓子製造業、乳類販売業というように、食品の種別や業種ごとにさらに細かく特定基準が設けられています。
この検査で不合格になると工事をやり直さなければなりません。内装工事屋さんに頼む場合はまず大丈夫ですが、自分でやる場合などは、工事を始める前に設計図が完成した段階で保健所に相談しましょう。
(1)肉屋、魚屋、生菓子店、食料品店、弁当屋、レストラン、喫茶店など「食物」を扱う店
- 衛生管理上、保健所の許可が必要です。
- 「食物」関連の店に必ず1名、食品衛生責任者を置くことになっています。
- 食品衛生責任者・・ 調理師、栄養士、製菓衛生士等の資格を持っている人
- 資格のない人は保健所で講習会を受けて資格を取る
- 客にお酌をするなどのサービス行為がともなう場合・・ 食品衛生法上の規制の他に風俗営業法の規制も受ける
(2)バー、キャバレー、ディスコなどの風俗営業・麻雀屋、パチンコ屋などの遊興施設
- 風紀取締上、各都道府県の公安委員会の許可が必要です。
(3)美容・理容業、公衆浴場、旅館業、クリーニング業、薬局
- 関係法規に基づいた基準があります。
- いずれも、保健所を通じて監督官庁の許可を受ける必要があります。
(4)酒屋、たばこ屋
- 税金との関係で特別の手続が必要です。
- 酒屋の場合は税務署から免許を受けます。
- たばこ屋の場合は日本たばこ産業の営業所を通じて東海財務局長の許可を受けなければなりません。
2.税務署への開業届けも忘れずに
新規開店の届け出は、開店する前か、遅くとも開店1ケ月以内に届け出することになっています。
用紙は「個人事業の開廃業等届出書」といい、税務署に置いてあります。
- 青色申告をする場合・・・・・所得税の青色申告承認申請書
- 青色専従者給与を支払う時・・青色専従者給与に関する届出書
- 開業の日が・・・・・・・・・1月15日以前は3月15日まで
- ・・・・・・・・・1月15日以降は2ケ月以内に
- 従業員を雇う時・・・・・・・給与支払い事務所等の開設届出書
- ・・・・・・・給与支払いを始めた日から1ケ月以内
個人経営か会社組織か
(1)まずは個人経営でスタート
事業を行なう経営形態をどうするか、については、あらかじめ方向性を決めておくことが必要です。
経営形態にもいろいろあります。
個人経営にするのか、会社(法人)を設立して経営するのか、あるいは家族や友人、知人との協同経営にするか、ということです。
どちらもメリットデメリットがあるので、どちらがよいとは言えません。
業種や店の大きさ、事業の規模、運営方法などによっても違ってきます。
個人経営の特徴は、事業主が自由に事業を行い、自由奔放に経営を行なうことが出来ることです。
従って事業主が全ての責任を負っていますから、利益も全て事業主の懐に入りますし、逆に損失が出たり、事業に失敗すれば、全て事業主が負担することになります。
夫婦2人と数人のアルバイトで行なうような店の場合は、個人での資金を融通しやすいことや経理などの事務も簡単であることなどを考えれば、個人事業形態でスタートするのが適当でしょう。
(2)税金の申告に白色申告と青色申告が
- 青色申告は家族専従者の給料を白色申告よりも沢山取れる(届け出が必要)
- 青色申告控除が最高55万円認められている
- 帳面をきちんとつける必要がある(現金出納簿か簡易簿記、さらには複式簿記)
- 事業主の給料は経費になりません
- 借入金の返済金は個人も法人も経費になりません(経費になるのは支払利子だけ)
(3)税務調査って?
- 通常私達の所に来る調査は任意調査
確定申告により税額は確定している わが国は申告納税方式(※納付すべき税額は納税者のする申告により確定することを原則とする)
- 納税者にはさまざまな権利がある
- 正しい記帳、正しい申告で自信を持って対応しよう
(4)資本金は有限300万円、株式1000万円
事業規模や資金力によっては、初めから会社組織にしたほうが有利な場合があります
- 個人経営に比べて社会的信用が大きくなること
- 開業資金や運転資金を集めやすいこと
- 税金面で有利なこと
ただし、会社組織にするには手数がかります。
まず最低資本金として、有限会社なら300万円、株式会社なら1000万円用意しなければなりません。
実際に投資する人を集めるとなるとたやすい話ではありません。
また設立手続きは面倒で煩雑です。
これを全て自分自身で行なったとしても、株式会社の場合は、登録免許税や収入印紙などの費用だけで最低30万円はかかります。
どんな大企業でも、もとは個人商店だったところがほとんどです。
スタートは個人経営とし、事業が軌道にのったところで会社組織にしても、決して遅くはありません。
3.金融機関との取引手続
開業後の事業発展に必要な取引銀行
事業や商売の上では、代金の支払いや受け取りには現金を使わず「手形」や「小切手」を使う場合が出てきます。
手形というのは(最も一般的な約束手形の場合)何月何日にいくら払う、という約束を記した書面です。
小切手は11日以内ならいつでも現金化できる金額を記した書面です。
半年の内に2回不渡りを出せば銀行との取引は停止となり、倒産という事態に結びつきます。
4.店舗工事の手続と契約
初めての場合は建築業者に一括発注する
信頼出来る施工業者を見つけることが、店舗工事の第1歩です。
工事業者のめどがたっていない人は、民商に相談して下さい。紹介します。
5.従業員の採用手続
労働保険の手続は雇用後10日以内に
従業員を雇用する時には、のちのトラブルを避けるため、雇用契約の期間、仕事の内容、就業時間、賃金などの必要事項を書いた「雇用契約書」を作り、雇用主と従業員が署名捺印してそれぞれが1通ずつ保管しておきます。
従業員が10名以上の職場ではさらに細かい「就業規則」を作って労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
従業員を雇うことは、社会的に責任のある行為ですから、社会保険の整備などさまざまな義務がともないます。
従業員を1人でも雇うと、雇用主は「雇用保険」と「労働者災害補償保険」(あわせて労働保険と呼ぶ)に加入しなければなりません。
民商には厚生労働省認可の労働保険事務組合があります。手続が必要になった時は相談してください。
社会保険の手続は雇用後5日以内に
従業員が5人以上になったら健康保険と厚生年金(あわせて社会保険と呼ぶ)に加入します。
従業員が5人以上になった日から5日以内に、必要書類を提出します。
手続が必要になった時は、民商に社会保険労務士の会員がいますので相談下さい。
6.仕入などの取引先との手続
仕入先のポイント
- 店にあった商品
- 仕入価格や取引条件が妥当
- 納期を守ってくれる
- 小売店援助
仕入先は複数にする
7.その他の手続について
(1)退職金共済(従業員の退職金制度) (財)法人名古屋市中小企業共済会が実施
加入している従業員が退職した時、毎月の掛金額と納付月数に応じて退職金が支払われます。
掛金は全額事業主負担。必要経費になります。
(2)小規模共済掛金(事業主の退職金制度) 中小企業団体中央会が実施
事業廃止や事業主の死亡などの場合、毎月の掛金額と納付月数に応じて、共済金が支払われます。
掛金は全額「所得控除」できます。
(3)中小企業倒産防止共済 中小企業団体中央会が実施
取引先が倒産した時に、掛金積立額の10倍の範囲内で、無利子で貸付が受けられます。
掛金は全額必要経費になります。
(4)民商(全商連)の共済制度
民商の会員とその同居家族、従業員だけが加入出来る制度です。
入院見舞金をはじめとする各種の共済金、年1回の集団健康診断が無料で受けられます。
詳しくはパンフレットを見てください。
是非民商に入会を
民商では皆さんの融資の相談、税金の申告の相談、記帳の仕方、各種制度の届け出などについて、大きな手助けが出来ると思っています。
民商では多くのノウハウを蓄積しています。
又、民商には労働保険事務組合もあります。そして司法書士や社会保険労務士などの資格を持った会員もいます。
その他に、食品国民健康保険、建設国民健康保険なども取り扱っています。
ひとりで何事も調べたり、手続するのは大変です。
是非これを機会に民商に入会下さい。
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