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柔軟体操
いち、にい、さん、まずは柔軟体操から

 

 

ぼくだけ
ぼくだけになった.....

 

ぼくは、おにいちゃんたちといっしょに路地裏で生まれました。近くの家で飼われていた母は、ぼくたちの面倒をちゃんとみてくれました。
普段はとってもやさしかったのですが、猫としての身だしなみやマナーの躾に関しては厳しい母でした。

まずは、柔軟な体づくりと、しなやかな身のこなし方の練習。猫なんだから、無意識にどんなポーズをとっても絵にならなければなりません。そのためにキャットウォークを何度も歩きました。

舌で毛並みを整える練習は、ぼくの黒いタキシードに母の顔が映るようになるまでやりました。

長くて、音楽が奏でられるぐらいにぴんと張った理想のおひげになるように、毎日自分のひげで「ねこふんじゃった♪」を弾いて練習しました。


これで、いつソワレがあっても大丈夫です。

母は、人間とお友達になるための方法も教えてくれました。人間の赤ん坊によく似たかわいい声を出すための発声練習もしました。

ところが厳しくとも幸せに満ちあふれた生活は、ある日突然一変してしまいました。母がぼくたちを路地裏に残したまま、飼主とどこかに引越して行ったのです。

しばらくして、 今度はおにいちゃんたちが一匹ずつぼくの知らないところに行ってしまい、 気が付いたらぼくだけになっていました。


 

再び寂しくなったぼくは、たまたま近くのアパートに住んでいたおねえさんに近づいてみることにしました。 そのころぼくはまだ人間のお友達がいなかったので勇気がいりました。 でも母が人間とお友達になる方法を教えてくれていたので助かりました。

ある夕方、会社から帰宅してアパートの階段を上っているおねえさんの足元に、あまえた声を出しながらやさしく絡み付いてみました。

そのとき、おねえさんは初めてぼくの存在に気が付いてくれたようでした。 でも、ぼくに特別関心を示してくれたわけでもなく、 ただぼくを踏んづけないように気を付けながら階段を上っていっただけです。がっかり。でも最初はそんなものですよね。

母も言っていたように、「何事もすぐにあきらめてはだめ!」でしょ。
だから、ぼくは毎日おねえさんにやさしく近づいていったのです。

 

がっかり
がっかり