HOME写真館出会い日課ゴロゴロできごとあれから...手紙のらクラブリンク

 


階段
ぼくは猫なんだから階段なんてへっちゃらだよ

 

 

毎日、ぼくはお出迎えを続けました。
おねえさんが会社から帰ってくると、どこで遊んでいても、お昼寝をして いても、雨が降っていても必ず階段のところに行って、あまえた声を出しながら足元に絡みつきました。

うるさがられているのかなと思っていたらなんと、 おねえさんは、ぼくがお出迎えするのを毎日楽しみにしてくれるようになりました。毎日繰り返した成果が出たのです。

階段を上るときはなぜか、ぼくを片手で抱っこしてくれるようにまでなりました。絡みつくぼくを踏んづけるといけないからか、それともぼくがかわいくてかわいくてたまらないからか、それはぼくにはわかりません。 もしかして階段上りが大変だと思って抱っこしてくれたのでしょうか。 でもぼくは猫ですよ。

ただわかっていることは、ぼくを抱っこしているときのおねえさん、 とっても幸せそうでした。でもここだけの話、おねえさんぼくに出会うまでは猫大嫌い!だったんですって。

もうひとつ、そのころのおねえさんって、悲しみのどん底にいたそうです。もしかしてこんなぼくの存在によって、おねえさんが少しでも元気を取り戻してくれたのだったら、とてもうれしいです。


 
そのうちぼくは、朝のお見送りも始めました。

おねえさんが二階から眠そうな顔をして降りてくると、ぼくはどこからともなくやって来て、おねえさんと一緒に歩くのです。

おねえさんと歩くこの道が永遠に続けばいいのに...。
おねえさんも、できれば会社に行かないで一日中ぼくと遊んでいたいとよく言っていました。また、毎日ぼくから「元気のもと」を もらっているとも言っていました。

「大通りには絶対出てはダメ」って、いなくなった母に厳しく言われているのでそれはちゃんと守っています。 大通りの手前でストップして、おねえさんが見えなく なるまでずっと見守っています。おねえさんもずっとぼくに手を振り続けてくれます。

ぼくはおねえさんが帰って来るまで首を長くして待ちます。

 

いってらっしゃい
いってらっしゃーい!