油流出と海鳥(Oil Spill and Seabirds)


 タンカー事故などによる油の流出や不法投棄は、海洋環境に大きなダメージを与え、多くの海鳥を死に至らしめます。
油はどんな点で海鳥に影響を与えるのでしょうか。流出直後から記すと...

[流出直後]
・油の付着による体温の低下
・揮発性ガスによる直接的な中毒
・油の摂取による直接的な中毒

[そしてその後...]
・油の付着による体機能の低下
(飛翔力、潜水力などの低下により採食機能が低下して餓死する(岡・奥山、1992))
・食物連鎖起源による中毒
・採食物、採食範囲の減少による餓死と、繁殖成功率の低下
・抱卵個体の油の付着による卵への影響と繁殖成功率の低下
(卵が孵化しなかったり、孵化しても育たなかったりする)
・つがい相手の死亡による繁殖失敗
・地域個体群の欠落による繁殖個体数の減少(最悪の場合、繁殖地としての崩壊)

などが考えられます。つまり、直接的な死だけではないのです。
 油による海鳥の死亡は、海岸に漂着することではじめて人の目に触れます。しかし、海岸に漂着する鳥は、実際に死亡した鳥のごく一部です。大部分は海流の関係で流れ着かなかったり、途中で沈んだり、また、漂着しても人に発見されなかったりします。アメリカのHarry Carter氏らによれば、実数は、以上のような理由で漂着鳥の10倍から20倍程度だと思われます。実数の推定には、コンピュータによるシミュレーションの方法が開発されています。これらの作業のためには、漂着した種、日時、場所などに加え、どのくらいの頻度で海岸を見回ったのか、などの情報も必要です。

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    Compiled by Koji Ono kojiono@gol.com
    Revised: 20 Feb. 1997
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