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ネパール日記
 

 ウォーター・ボトリング事業が来年に延期されたので、カリガンダキ川に渡す橋にとりかかる余裕が生まれた。この川は毎年水位 を上げ、夏のモンスーン・シーズンにはかなり荒い川となって、両岸を削り、温泉のある一帯をさらってしまう危険もある。十七年前、チベット国境付近の氷河が決壊して起きた大洪水の後には、川はその流れを変え、タトパニ村に30メートルも近づいた。十九の家屋と川に面 した土地の大部分を奪いとり、ジョムソン・トレイル沿いにあった橋という橋を押し流した。現在のところ、川は温泉から12メートルの辺りを流れ、毎年近づいてきている。地元の人々は、「ギャボン(2メートル四方の金網の中に小岩を詰め込んだもの)」を置いて、川の流れを押し戻そうとしているが、ギャボンは一時凌ぎにしかならない解決法で、大抵、大きな石がぶつかれば壊れてしまう。よりまともな解決案は、今のところ対岸にしかない大きな岩を使って勾配のある岩の壁を築くことだろう。対岸にはまた、最良品質の白いケイ土が500立方メートル以上もあり、村ではこれを次の洪水が押し流してしまう前に掘り出して貯蔵しておきたいのだ。

 以上を留意して考えた結果、我々に必要な橋は、軽量 で組み立て・解体・保管が容易であり、且つ、石を運搬する村のラバたちが数頭同時にその上を渡れるだけの橋幅と強度をもつもの、となった。このプロジェクトの出資者である私としては、この橋を、橋のどちら川から見てももっとも安全な場所に設置したい。ネパールでは竹の橋を解体する際にしばしば実際に人が命を落としているのだ。橋の両側を支える竹竿が誤って川に落ちるとき、その竹をつかんでいた人間も一緒に川中へはたき落としてしまうのだ。カリガンダキ川の流れは大変速く、泳げない者には容赦ない。私たちが選んだポイントは、四月初旬に私がネパールを去った時点で、川幅20メートルほどに広がっていたが、川の向こう岸では岸から10メートルほどのところでも水深は50センチ程度だった。

 橋は来年完成予定で、三つの部分に分けて作られる。両岸にはコンクリートと石で土台を築き、そこに5.5メートル長、直径100ミリの竹製A型フレームを固定させる。Aフレームのてっぺんと十字に組んだところは、フレーム内を通 るロッドを溶接して留める。直径12ミリのメイン・ワイヤーがAフレームの頂点に取り付けられ、フレームが川に向かって70度傾くようにする。ワイヤーのもう一方の端は安全のために大きな岩をぐるっと巻いて留められている。

 Aフレームのてっぺん近くからは、6ミリと9ミリ太さのケーブルが下がり、橋の設置と、また、橋そのものを支える助けにもなっている。今年は橋の一部分だけを作り、強度を確かめ、数週間川に架けてみてから、取り外して、保管管理した。橋梁部分は二本の平行なスティール製トラス(50B高×6m長)から成っている。トラスは80センチのスティールに角度をつけて溶接したものでジョイントしてある。この溶接には延べ七日ほどかかったが、これは停電と、そして主には私が地元の溶接機に不慣れだったことが原因だ。これに、妻や仲間たちが緑の塗料を塗るのに二日かかった。通 路部分には厚板を用いてその裏をリブで補強し、お互いに組み合うようにセットしたので、一枚ずつ順に、ネパール語で(と私は自慢したいのだが)番号をふっておいた。地上で六人の人間を乗せてテストした際には、竹製のフレームには歪みやそれがほとんどみられず、これには私も驚いた。同じ重さでスティールパイプでも多少は曲がるだろう。竹は丈夫な素材であり、ネパールには頑丈な種類がたくさんあるのだ。こうして自信をつけた我々は、60キロのトラスと他の部分を、村から川岸まで運び下ろした。まず、Aフレームを取り付け、しっかりと固定してから、適当な角度までこれを傾ける。次に橋梁の三分の一をAフレームの外(川中に向かって)に押し出し、同時に二人の人間がそれをわずかに持ち上げる。他の二人は、直径ミリのワイヤーを橋に設けた設置個所に取り付ける。こうして橋梁がワイヤーに吊された形になると、Aフレームはさらに適切な角度まで傾斜を深めるので、我々はさらに橋梁を押し出し、コンクリートの基礎に埋め込んだ金属枠へ、その端を固定させることができる。それから、厚板を端から川の中央へ向かって、一枚ずつ順にはめ込んでいく。その後で、私たち四人は慎重にその上を歩み出したのだが、告白すると、わずか6ミリのケーブルで取り付けられているだけだったので私自身かなり緊張した。後で、ネパール人の仲間たちも同様だったと聞いた。細いケーブルでも、強度は必要の十倍以上だったのだが、心理的には9ミリのほうがはるかに丈夫に見えたのだ。今年はラバを橋に乗せるつもりではなかったので、太いケーブルの使用を見送ったのだが。写 真をみると、橋が魔法か何かで空中に浮かんでいるようだ。さらに、橋がまっすぐ川にかかるように、両端に一本ずつ誘導ワイヤーを張っておいた。

 次回、水位が最低の時、つまり年末には、向こう岸の四月時点の水際から5メートル川中に入った場所に、金属とコンクリートで支えを置き、岩と石で基礎を作り始める予定だ。完成すれば、6メートル長のスティール製トラス二組と、A型フレーム(両岸にひとつずつ)が、3メートル長の中央トラス部分によって連結されることになる。SCDCはNGOプロジェクトなので(SCDCの項目を参照のこと)、同じような橋を作りたいという他のコミュニティにも、無料で提供できる計画を作成するつもりだ。

 ネパールプロジェクトに参加希望の方、アドバイスをお持ちの方、専門分野について現地で一ヶ月の授業を提供していただける方、寄付を検討していただける方はesi@gol.com までお問い合せ・ご連絡ください。

ナマステ。

   
 
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