調査方法について(Beach Count Manual)

【ビーチカウント(海岸沿いに歩いて、死んだ鳥中心に調べる調査)】
 海岸沿いで油が付着した鳥を保護したり、漂着個体を拾うために、次の調査を行います。
1.調査を計画する
 海岸の地図を用意します。地図は、各府県の釣り用の地図(「○○県の海釣り」というタイトルで、各地の新聞社より出されています。)か、国土地理院の2万5000分の一(もしくは5万分の一)をお勧めします。
 調査は早朝が適しているようです。午後になると多くの人が海岸に入ることと、カラスなどにより死体が持ち去られるためです。ただし、午後はまったく無意味、というわけではありません。
 また、満潮直後からはじめると、鳥を見つける可能性が高くなります。潮によって鳥が運ばれてくるからです。
 週末などで鳥関係者が多く海岸に入る場合、2〜3人一組で分担して調査を行うようにして下さい。より広い海岸をカバーすることができます。
2.海岸を歩く
 鳥を探すには、波打ち際だけでなく、海岸の上の方も見るように歩きます。カラスやネコにより上の方へ運ばれる可能性があるからです。複数で調査する場合、1人は波打ち際、もう1人は海岸上部、というように分担するといいでしょう。
 また、ゴミだまりもチェックします。油にまみれた鳥は、一見するとゴミと間違えるくらいわかりにくいものです。
3.生きている鳥を見つけたら
 生きている鳥を見つけた場合、保温に注意して速やかに獣医さんのところに運ぶようにして下さい。油の付着で危険なのは、体温の低下と、油をなめることによる中毒です。素人による油の洗浄は、かえって鳥の救命率を下げます。
 問い合わせは、各都道府県の鳥獣保護課か、野生動物救護獣医師協会(電話0425-29-1279、FAX0425-26-2556。ボランティア組織ですので、必要最小限にして下さい)まで。
4.死体の回収
 死体は、
採集年月日、調査者氏名、番号(調査用紙と対応させると便利です)、地名(○○町○○浜、など)、種名(わからない場合はsp.で)
を記したラベル(タグ)とともに、袋に入れて下さい。ラベルは濡れたり汚れたりしないように、小さなビニール袋に入れて、死体と同じ袋に入れて下さい。したがって、死体はひとつの袋に一体、が望ましい形です。複数の死体が上がった場合に、データの混乱を避けるためです。アメリカでは、油の種類を特定するために、死体はいったん紙袋に入れます(ビニールも石油製品で、分析の際に影響するため)。日本ではこうした分析は(予算面で)難しいのですが、今後の参考にして下さい。乾燥を防ぐため、袋の口をしっかりと縛って下さい。
 死体は冷凍保存し、ある程度まとめて、研究施設に送ります(ナホトカ号事故によるものに関しては、各府県の窓口へ)。研究施設については後日掲載します。
 研究施設では、研究者がまず外部計測を行い、それから病理解剖や死因解析のための研究、雌雄や年齢の判別などを行います。こうした成果は、さまざまな保護対策に活用されます。
5.記録
もし死体や生体を一体も見つけなくても、歩いた記録を残して下さい。「いない」というのも貴重なデータです。
6.計測と種の同定
計測は、集積後にまとめておこないますので、あえて現地でおこなう必要はありません(もちろん、おこなってもかまいませんが、計測に時間を要するようなら、その分、なるべく多くの海岸をカバーするようにして下さい)。
 種の同定も、もし不確かな場合は、○○sp.としておいてください。あいまいな識別は、データの混乱につながります。


【油付着状況センサス】
 調査用紙は、ビーチカウントだけでなく、生きている鳥の油の付着状態を調べるときにも使えるようにしてあります。記入に際しては、記入例をご参照下さい。
 個体数はおおまかでもかまいませんが、油が付着していない場合でも、必ずデータを残して下さい。


 調査用紙は、あくまでも「推奨フォーム」です。全国でデータを共有できるよう、なるべく「推奨フォーム」に沿ったデータの集積をお願いします。このデータはすべてデータベース化され、共有されます。

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Compiled by Koji Ono kojiono@gol.com
Revised: 22 Feb. 1997
URL: http://www2.gol.com/users/kojiono/index.html