OS/2 Warpの追加により、DOS/V・WindowsNT・Warpとディスク内のOSが増えて、WarpのブートマネージャとNTのOS-Loaderがスタックする形となり、切り替えが面倒になってきた。ちょうどいい機会に、SystemCommanderというOSの切り替えソフトが国内で正規に発売されたので、さっそく購入して環境改善を画策する。
ソフト自体はブートセクタを乗っ取って各種のOSをロードするためのメニューを立ち上げてくれるものである。ブートマネージャの高機能版と考えればよい。ブートマネージャと違って各種OSに対応していることと、このソフト自体はDOSのパーティションにあるので専用のパーティションを要求されないこと、新しいOSの導入を検出してくれるなど、専用ソフトだけのことはある。
Warpのドライブ名がDOSと異なるという問題もあるし、バックアップ環境もそろそろ考えないといけないと思い、ディスク関係の検討をしてきた。今のデータを吸い上げて、再構築をした後、バックアップ用として使用しようという魂胆である。
有力な候補としてまず上げられたのが、3.5inchMOである。媒体が安いこと、普及率が高くデータ交換用にも利用できることがメリットである。問題は、速度が遅く、容量も今一つで、何よりドライブが高価なことがデメリットである。速度についてはOLIMPUSの高速ドライブを使えば改善されるが、ドライブが10万円程度とさらに高くなり、しかも本質的な遅さは改善されない。HDDを増設する手もある。1GBクラスなら高速なうえ、5万円程度でコストパフォーマンスは相当高い。問題は容量を増やすためには限りなくドライブが増えることになり、管理が厄介なこと。2GBクラスが普及しつつある現在、Empire1080Sがあるのに今更1GBを増やすのも面白くない。それなら、2GBにしたらどうだろう。7200rpmの高速ドライブを使えば、システム自体の高速化も実現できる。しかし、2GBクラスでも高速なものは10万円前後と高価であり、消費電力や発熱も多く、ちょっと使いにくい。PDも候補としては面白いが、まだまだ先が見えない。テープ類もFDDインターフェイスでは遅いし、SCSIで使うようなGBクラスのDATとなると、10万円を超えてしまって、しかもバックアップ以外に使い道がない。
しばらく検討していたが、面白いものを見つけた。リムーバブルディスクである。容量が270Mbyteあり、256Mbyteのパーティションをバックアップできる。(※注 この件は、96年2月Windows95を収容するために256MByte以上のパーティションを作らざるを得なくなる。バックアップメディアとしては使用不能となって、結局Seagate TAPE-STOR8000を買う羽目になる)速度も速そうだ。何よりドライブの単価が、4万円を切っていて、しかも3.5inchベイが使える。ディスクは1枚6,500円と高いが、そんなにたくさん必要なものでもないだろう。交換によって1台のドライブを使い分けることになるから、パーティションの切り方で悩まなくともすむし、外しておけるので安心だ。結局ディスク4枚をセットして、6万5千円で購入した。
SCSIタイプにしたので、取り付けもターミネータの設定(抵抗器を抜く)とSCSI-IDの設定だけで簡単である。ディスク自体にバックアップ用のプログラムなどが入っていたが、うまく動作しなかったので使用していない。無理矢理BIOS認識させて動作速度をQ-Benchで測定してみたら、転送レートは1700KB/sもあり間抜けなIDEドライブよりも速い。アクセス速度は若干見劣りするが、それでも14.2msと十分な速度だ。問題も若干ある。カートリッジの挿入・排出が容易でないことだ。機密性を考慮してあるせいか、それなりに力がいる。特に排出時はレバーで無理矢理押し出す感じで、あまりに力がいるので最初は壊れているのかと思ってしまったくらいだ。ディスク自体の取り扱いもそれなりに難しそうで、ディスクは常にケースに入れて保存しないといけない。カートリッジ内でディスクがカタカタ音を立てるあたり、結構不安になってしまう。それでも"FIVE YEAR WARRANTY"と書いてあるから、安全性にはそれなりに自信があるのだろう。
現状でもWarpのドライブ名がDOS/Windows環境と異なってしまうこともあり、将来的な複数OSでの環境(OS/2Warp,WindowsNT,Windows95等々)を考慮すれば、SCSIドライブからOSを起動できるようにした方が望ましいと考えて、HDDを再構成することにした。ポイントは大きく2つある。
具体的な作業について記述する前に、現状と再構成後のディスク構成について整理しておく。
従来 | 再構成後 |
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IDE#0 Seagate ST-5850A 基本C:DOS&Windows(256MByte) 拡張D:スワップ(46MByte) 拡張D:WindowsNT3.5(256MByteNTFS) 基本C:OS/2Warp3.0J(256MByteHPFS) |
IDE#0 Seagate ST-5850A 基本C:DOS&Windows(256MByte) 拡張D:スワップ&テンポラリ(304MByte) 拡張E:アプリケーション(256MByte) |
SCSI#0 Quantum Empire1080s 基本E:アプリケーション(256MByte) 拡張F:コンパイラ&データ(256MByte) 拡張G:DOS用ゲーム(256MByte) 拡張H:ワーク(256MByte) |
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SCSI#0 Quantum Empire1080s 拡張F:コンパイラ&データ(251MByte) 拡張G:DOS用ゲーム(251MByte) 拡張H:OS/2Warp3.0J(258MByteHPFS) 拡張I:WindowsNT3.5J予約(258MByteHPFS) |
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SCSI#4 Syquest SQ3270S J:Removeable HDD |
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SCSI#5 TOSHIBA XM-3401B L:CD-ROM |
SCSI#5 TOSHIBA XM-3401B L:CD-ROM |
Empireのデータについては、H:を除いてSyquestにCPBackupで待避し、H:のデータは旧WindowsNT領域にFATを作って一時的に待避した。ここで、Empireを再パーティションする際、BIOS認識する場合の拡張トランスレーションをどうするかという問題に遭遇した。Empire1080s自体は1GByteを越えるとはいえ、1GByteを超える部分を無視しても問題はない。ただ、今後の運用として、2GByte程度のドライブを導入した場合や、その他互換性の面からもDOSで運用する場合に一般的な拡張トランスレーションを使用しておいた方が望ましいと考えたわけだ。拡張トランスレーションにするとパーティション自体に互換性がなくなるので、今決断する必要がある。とりあえず一度やってみようということで、パーティションしてみたら、割り当て単位(シリンダ)が7.84MByteという中途半端な値になってしまい、しかも拡張パーティションはディスクの先頭からは取れないので、先頭約8MByteの領域が死んでしまう。それと、DOSのパーティションの大きさが251MByteになってしまって(これ以上だとクラスタが8KByteとなる)ちょっともったいない。それでも無難な設定の方がいいと考え、不便なところはあってもこれで妥協することにした。(※注 このときの判断は誤りで、10月にDPES-31080Sを買った時拡張トランスレーションを外すことになる。2GByteのドライブDORS32160が入るのは一年後である。)
ST-5850Aは、先頭の基本パーティション(DOSのC:)を除いて作りなおした。Warpのfdiskがいらなくなってから、跡地にアプリケーションのパーティションを作成、旧スワップとWindowsNTの領域をあわせてスワップとワーク領域にした。100MByte以上というばかでかいスワップができたがとりあえずは支障がないのでこのままにしておく。
普通ならこれで一件落着なのだろうが、そうはいかないところが何でも兼用のフル装備コンピュータのつらいところである。再構成後しばらくはトラブル対策に費やされることになった。
まず一番の問題は、コンベンショナルメモリが足りなくなること。SCSI-ROMを認識させたことで、どういうわけかSystem-ROMをStealthできる範囲が小さくなってしまったのだ。従来FE00-FFFFセグメントを除外しておけばよかったのに、F700-FFFFセグメントまで除外してやらないとディスクのアクセス(SCSIだけでなくIDEも)が止まってしまう。必然的にUMBメモリが圧迫されることになり、いくつかのプログラムがあふれ出して、コンベンショナルメモリにやってきた。それだけならまだあきらめられるが、スピードディスクが止まったりしたので、これはまずいと判断、対策に乗り出した。普通使っているDOS/V環境(DOS標準の$FONTと$DISPで構成)で、マウス・CD-ROM・ATOK8と組み込んでいるのだけれど、これらを外すわけにもいかない。必然的にUMBの量を回復する、すなわち何とかしてStealth領域を元通りにする取り組みが必要になる。これは相当気合いを入れたが、結局本質的な回復は断念し、DOS利用時にはSCSI-ROMを認識させないというトリッキーな方法でつじつまを合わせた。(※注 結局この問題はDPES-31080Sを買って、SCSIドライブのみの構成とすることで解決される。)
WindowsNTでも問題が出た。一度消去しての再導入なのであるが、導入できないのである。どうも増設したSyquestに対応していないらしい。これはシステムの修正を申し込めば何とかなるらしいのだが、とりあえず放置している。
OS/2 WarpもSyquestとは仲良くないようだ。うまく設定できれば利用できるらしいのだが、DOS/Windows環境に手一杯で手がついていない。
Windows3.1のリソースを節約してくれるソフトである。怪しそうだが、そんなに悪い評判もなさそうだし、何より便利そうなので高い値段(Windowsの半額)にもめげずに買ってしまった。従来からWin31Jレスキューキットというシェアウェアを使ってコンベンショナルメモリを節約してきたのだが、GDIメモリやUSERメモリなどは節約できず、無法地帯となっていた。このため、小さなプログラム(卓駆とか秀丸とか)ならともかくまともなアプリケーション(MS-WordとかPhotoshopとか)だと1本動かすとそれでめいっぱいという状態であった。それが、これらのメモリにも効果があるとのことで、10本とかは大げさにしてもそれなりに動かせると期待していたわけだ。普通ならこういう期待は往々にして裏切られるのだが、今回は期待通りだった。現状MS-Wordが2本とExcellが2本、さらにはPhotoshopが1本動いていて、プログラムマネージャと卓駆がいて、秀丸でこの文章を書いているのだけれど、システムリソースの残りはまだ24%ある。そして、コンベンショナルメモリはなんと560KBも残っている。ビデオモードはフルカラーだし、これらのプログラムにはそれなりのデータ(1ページ内外)がロードされていて、Photoshopは7MByte近い画像を開いているから、決して遠慮した状態ではない。これ以上動かして落ちると困るのでこれくらいにしてはいるが、従来の常識では考えられないほどのキャパシティである。これだけのことができたら、「プログラムを切り替えるときは必ず終了してから。」という暗黙の決まりを廃止する必要がある。さすがに物理メモリには限りがあるから、この制限は気にしないといけないけれど、これを気にするのは画像を扱っている場合だけで、相当気が楽になる。
ラスターの処理ソフトとして、Photoshopがあるのだけれど、画面上でお絵かきをするにはちょっと使いにくいので、それなりに気の利いたソフトが欲しかったのだが、徹夜明けにSofmapに立ち寄った際に衝動買いしてしまったものだ。現実にある筆記用具をできるだけ再現しようという意図で作られていて、紙の質がチョークや鉛筆のタッチに影響するようになっていたり、重ね合わせの効果も筆記具によって違っていたりする。さらに、スケッチブックを使って画像データを管理しようとするところや、筆記具にあわせて音が出る(※注 音を出すことで動作が遅くなるため、後日この設定を外すことになる。WACOMタブレットドライバの項を参照。)ところなど、面白い要素もある。あの手この手で制作意欲を掻き立てるソフトのデザインはすばらしい。問題はそれがきちんと動かないことだ。Wacomのタブレットをサポートしているといいながら、とにかくトラブル続きで、認識できなくなるだけならまだしも、止まってしまったりする。
春頃からWindowsの動きがどうも不穏であるのが気になっていて、一度再構成しようと思っていたのだが、アプリケーションを全て引き継ぐのが恐ろしく面倒なので、なかなか本格的には動けずにいた。具体的な症状は、スキャナの取り込みプラグインがメモリ不足でうまく動かないことがたびたびであった(メモリの圧縮をすれば何とかなる)のと、何よりWindowsに標準で付いてくるWriteが動かないという問題である。いろんなソフトをテスト的に入れたりして、Windowsディレクトリ自体が汚れているのも非常に気になっていた。そこへ前述のFractalDesign ArtScool Dabblerを入れてメロメロだったものだから、これは何とかしなくてはとの判断である。
従来は再インストールというと、とりあえずがばがば入れ直していたのだが、今回は少し慎重に記録を残して、どこで問題が再現するかを確かめていきたい。具体的には、最初にNortonUtilitiesを導入して、iniトラッカでシステムを監視しながら作業を進めることにする。特に最近アップデートが頻繁にあるので、このへんを忘れないようにすることも必要だ。
これらの過程でわかったことがいくつかあるので、整理する。