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ダービー 「デザート65番図柄」菱形皿 (1787-95年頃)
 Derby Desert Pattern #65 Lozenge-Shaped Dish Ca.1787-95

  

 ダービーのパターン・ブックには、ティー・ブック(カップなどに描かれる図柄)とデザート・ブック(皿などに描かれる図柄)とがあり、本品には後者の65番図柄が描かれている。ダービーの図柄の中には、特定の絵付師のみが描いた(あるいは、特定の絵付師がその多くを描いた)ものがいくつかあることが知られているが、この65番もその一つで、William Billingsleyが描いた図柄であるとされている。(ただし、後述のとおり、本図柄は人気が高く、多くの作品が製造されたため、他の絵付師が描いたものも存在する。したがって、本品もBillingsley自身の手によるものであるか断定することはできない。(ダービー「D3-1」ダービー「D3-2」ダービー「D3-11」ダービー「D3-13」ダービー「D3-14」参照。))
 Billingsleyはダービーを代表するというより、18世紀後期から19世紀初期の英国磁器界を代表する花絵の絵付師であった(彼は、1795年にダービーから独立して以降、自ら興した会社も含めて、いくつもの磁器会社を渡り歩いた)。特にバラは彼が最も得意としたもので、後世のバラ絵付けに多大な影響を残した。なかでも、いったん描いた後でハイライト部分のエナメルを拭き取るという手法を編み出したことで有名である。また、あらゆる角度から大胆に花を描いたことでも知られる。(中には真後ろから描いたものまである。)ちなみに、本品は斜め正面から描いた一般的なものであるが、これと同時に売り出されていた同一図柄番号の作品には、真横から見たバラが描かれていた。(コラム11を参照。)
 この65番図柄は、「Prince of Wales図柄」とも呼ばれている。縁を薄いサーモン・ピンク地(小鹿色とも言うようである)と金彩だけでかざり、中央に金のビーズ状の枠を作ってその中にバラを中心とした花を描くというシンプルな構図が好まれたのか、英国皇太子(Prince of Wales)や貴族たちが競うように購入した人気の図柄であった。
 形状は、幅広の縦縞が入った菱形(ただし縁は不規則な幅で波状になっている)で、この時期のダービーに特徴的な形状の一つである。なお、金彩はJoseph Stablesによるものである(ダービー「D3-3」参照)
マーク:裏面に暗褐色で「王冠、交差するバトンと点及びD、その下に65」。高台内側に暗褐色で「2」。
Mark: <Crown, CrossedBatons&Dots and D over 65> painted in puce on the bottom. <2>painted in puce on the foot rim.
サイズ:26.5p x 21p
Sizes:26.5p x 21p (10 1/2 in x 8 3/8 in)