地名の由来を探っていくと、
思わずナルホドと膝を打つものから 
予想外の理由を持つものまで、
さまざまな発見があっておもしろい。
なかでも、知られているようでいて 
意外に知られていないのが、
色名が入っている地名の由来。
はたして、まちの特色と地名の関係は…。
色ざつがく―地名と色
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色ざつがく
「可視光」
(かしこう)Visible Ray
人間の眼に映るすべての色彩は、ある範囲の波長(約400〜800ナノメートル)の光で形づくられます。その光を“可視光”と呼びます。色彩 をもとに「美観・保護・新たなる機能」という塗料の3大要素をふまえ、社会への貢献をめざす日本ペイントの意志を、可・視・光の3つの言葉に集約させました。

「可」
―限りなき可能性への挑戦 
「視」
―はるけき未来への視点 
「光」
―光あふれる社会への貢献


(あおはか)

岐阜県大垣市青墓町。「墓」は祖先が眠る墓所のこと。「塚」「束」などの文字が同じ意味として地名に用いられている例もある。一方の「青」は色彩とは関係がない。「墓」の接頭語的な意味を持ち、大きな墓であることを示している。ちなみに、青墓町に隣接する昼飯町には国の史跡指定の昼飯大塚古墳がある。周辺一帯が古くから霊場であったことの証明といえそう。
(あかはな)

島根県浜田市赤鼻。顔のパーツのなかでも、目や口に比べて地名に用いられることの少ない鼻。しかも、色は赤。これは、なんという容貌なの? 実は、鼻ということばは、岬や崎と同じく、海などに突き出た地形を表している。つまり、「端」の当て字が鼻。赤は土の色を指す。同市の県立石見海浜公園は海岸線沿いに6つのエリアに分かれており、そのなかで最も突き出ているゾーンが赤鼻地区というわけ。山口県萩市や大分県南海部郡鶴見町にも、同じく赤鼻という地域がある。

(あかぼし)

熊本県菊池市赤星。「赤星」は、文字どおり「空に赤く輝く星」の意味。とくに注釈がなければ金星を指す。この地方に限らず、かつて農村では、夜空に赤星が見えると、その年は豊作になると信じられていた。菊池市の場合、米のほかに、桃やイチゴ、それに、熊本県随一の収穫量をほこる椎茸など、農作物が豊富。そのため、赤星信仰がいっそう強かったのかも知れない。
(かないろ)

大分県下毛郡三光村大字田口字金色。同県の最北端に位置する村。「金色」は仏像の輝きを表すことばで、仏教が栄えた地では、この名称が使われることが少なくなかった。事実、三光村は奈良時代に仏教文化が開花し、長谷寺の銅造観音菩薩立像など、多くの観音像が建立された。金色の集落がある八面山は、修験の霊山としても有名な場所。現在は、ふもとにできた「金色温泉」が観光客の人気を集めている。

(きわだ)

徳島県勝浦町黄檗。黄檗はミカン科の落葉高木のこと。食用よりも生薬や染料に使われることが多く、家具類などの塗装に使われることもある。黄檗色という色名も、そうした用途から生まれた。この地名が示しているとおり、勝浦町はミカンの栽培が盛んな地。町木にもミカンが選ばれている。黄檗の地名は、ほかに熊本県球磨郡球磨村や福島県耶麻郡高郷村、京都府宇治市などにもみられる。ただし、宇治市の黄檗は「おうばく」と読む。
(ぎんざ)

東京都中央区銀座。江戸時代、幕府が同地に銀貨鋳造所を置いたことから、この地名が生まれた。「座」は厳格な度量衡を伴う特別な免許品や貨幣を製造した場所のこと。銀座のほかに、金座、枡座、秤座、朱座などがあった。正式に銀座という地名になったのは明治2年(1869)のこと。それまでは一つの役所の名前にすぎなかった。

(くろどり)

高知県安芸市黒鳥。黒い鳥と聞いて、まず頭に浮かぶのはカラス。神武の東征の物語で知られるヤタガラスは、日本サッカーのシンボルマークにもなっている大物。てっきり、それと関係があるのかと考えていたら、そうでもない様子。ここには、クロガモ、クイナ、バンなど黒い鳥がたくさんいたのだという。かつて、これらの鳥が群生しているところは黒鳥という地名になったといわれる。ちなみに、安芸市が定める「まちの鳥」はキセキレイ。黒と黄色のこの鳥、阪神タイガースのキャンプ地だったこととは、まさか関係はないと思うのだが。
(しらとり)

茨城県土浦市白鳥。その名のとおり、鳥類のハクチョウに由来する。このまちは日本で2番目の面積を誇る湖、霞ヶ浦に隣接しており、毎年10月末になると、ハクチョウをはじめとした渡り鳥たちが飛来する。冬場になると湖がハクチョウで真っ白になることから、この地名になったという。白鳥という地名は、ほかにも全国に多くあり、なかにはヤマトタケルノミコトの白鳥伝説に由来するものもある。

(みどりい)

広島市安佐南区緑井。広島市市街地の中心から北へ約7キロに位置する閑静なまち。同地の歴史が記された古文書に「山の緑の中に、日照りでも涸れず、長雨でも溢れない不思議な井戸があった」という記述があることから、それが、そのまま地名になったと考えられる。多くの場合、地名の「緑」は「草木の生い茂った土地」という意味で使われる。ただし、民俗学者のなかには、緑を「ミドロ」と読んで、かつては湿地帯であったと主張する人もいる。
(めぐろ)

東京都目黒区。地名の由来には諸説ある。まず、くるくると蛇行する川「廻り川」にちなんだという説。次に、目の黒い馬を産出する牧場があったという説。そして最後は、同地の目黒不動尊に由来するという説。このうち、最も有力なのは3つめの説とされている。江戸時代、徳川3代将軍家光は、江戸の鎮護と天下泰平を祈願して、江戸城の周りに5つの不動尊を建立した。目黒のほかに、目白、目赤、目青、目黄。合わせて「五色不動」と呼ばれた。

(めじろ)

東京都豊島区目白台。先述の目黒と同じように、由来には諸説ある。1つは、高台から南を望むと景色が白くかすんだように見えるという説。次に、この地の森に野鳥のメジロが多く生息していたという説。3つめは、白い名馬の産地だったという説。もう1つは、家光が目黒不動尊に対して目白不動尊を誕生させたという説。やはり有力なのは「五色不動」との関連だが、そうなると、「赤」「青」「黄」のお不動さんの消長も気になるところ。
 




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