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2003年7月〜9月


目次

  1. 8月23日
  2. メルコ WLA-G54とWLE-DA
  3. TVキャプチャーデータ保管大作戦
  4. canopus DVTX100-HQ
  5. 9月28日
  6. 動画エンコードを助けるソフトたち
  7. Seagate Barracuda 7200.7 Plus ST3160023A

8月23日

メルコ WLA-G54とWLE-DA

昨年春から使ってきたcoregaのAP-11miniが故障してしまった。前兆なのかどうなのか、一度接続できなくなる症状があって、再起動したら問題なかったので放置していたら、今度は本当にダメらしい。我が家はインターネット接続型のマンションなのだが、ネットワークの配線はリビングに1本しかなく、PCの置いてある部屋との間の障害物も多いので配線は困難。高い工事費を払うくらいならと、普及してきた無線LANを使ってきた。今時インターネットに繋がらないPCなんて使えないので、速やかに復旧しなければならない。

・デスクトップPC用の無線LANクライアントってあまり需要ないの?

昨年春に無線LANを使うようになってからも、今回逝ってしまったAP-11miniに暗号化機能がないことはずっと気にしていて、ずっと何かいいものはないかと物色していたのだが、デスクトップPC用の無線LANってあまり需要がないのだろうか?PCカードタイプに比べて種類が少ない上に、PCIに接続するものはサスペンド・レジューム未対応だとか、デスクトップだから取り外す意味がないのにUSBを使っている理解不能なものとかがほとんどで、素直に100Base-Tインターフェイス付きのものがあまりない。PCIのPCカードアダプタを取り付ける手もあるにはあるのだが、アダプタにもサスペンド・レジューム問題があるので安心して買えない。そんなこんなで決め手のないまま暗号なしで使い続けてきたのだ。

最近では、IEEE802.11aやIEEE802.11g規格の製品が増えているのだが、たいていはアクセスポイントとクライアントのCardBusアダプタの組み合わせで発売されている。せっかく新しくするのだから、ぜひこれらの規格を取り入れた高速タイプにしたいのだけれどやはり100Base-Tタイプほとんどないし、しかも高価だ。

WLA-G54写真・それならいっそアクセスポイント二つ

そうこうするうちに思いついたのがアクセスポイント間接続機能。高速タイプの無線LANでもなぜかアクセスポイントは安い。アクセスポイントの中には、アクセスポイントに無線で中継させる機能があったりするので、これを利用すればいいのではと考えて、選んできたのがWLA-G54。デザイン最悪だけど、2台買っても2万5千円と安い。オプションのアンテナ(幸いデザイン的に良好)もあるので、ゆくゆくはアンテナだけを表に出して本体は隠してしまえば気にならないだろう。

・802.11g特有の設定があるも、さほど難しくない

さっそく設定してみる。設定はWebで行えるし、ルーティング機能もないので特に難しい設定もない。唯一特殊なのは今回目当てのアクセスポイント間通信(WDSというらしい)の設定で、こいつを有効にしてやることと、通信する相手のアクセスポイントのMACアドレスを指定してやることだ。また、「Basic Rate Set(制御通信速度設定)」「フレームバースト」「802.11gプロテクション」など802.11g特有の設定や802.11bとの共存の設定など耳慣れないものもあるが、ちゃんと設定画面にヘルプも用意されているので、あまり戸惑うことはないだろう。設定する機器が2台なので設定する段取りをよく考えておく必要があること、初期設定は1台で使うのがベースなので変更箇所が多いことに注意すればおおむね問題なく設定できるだろう。

WLE-DA写真・外部アンテナを使えばほとんど有線に近い感触

数日間使ってみたが、間に壁が2枚もあるせいか時々通信が遅くなったり、途切れたりするので外部アンテナWLE-DAを買ってきた。接続は簡単で、設置も相手のアクセスポイントに向けて置くだけ。指向性がある分利得も大きくなっているのがポイント。取り付けたのは1台だけだが、これで通信は完璧に安定した。速度的にも速くなっているので無線の接続をほとんど意識する必要がない。それぞれのWLA-G54が他のアクセスポイントとの通信を管理していて、エラーパケットなども記録されるのだが、全くエラーなし状態だ。残念なことにアクセスポイント間通信については電波状況を表示する機能がないので、速度がどれだけ出ているのか気にはなるけれど、意識せず使えるのでまあよしとしよう。

■関連情報 Wireless LAN事始め Corega AP-11

●TVキャプチャーデータ保管大作戦

MTV3000Wを買ってから、PCにやたらとデータが貯まる。DVDに保管するためにDVM-4242FBも買ったのだが、単純にキャプチャーデータを書き込んでいけばやたらとDVDの枚数が増えるのでお金がかかるだけでなく管理上も良くない。最初の頃は単純に「画質:普通(MPEG-2 720x480ピクセル 5MbpsCBR)」でキャプチャーしていたのだけれど、エンコーディングの方法を色々工夫すれば効率よくDVDに収めることができるようになるのだと知って俄然気合いが入ってしまった。

・TMPGEnc 2.513

まずはフリーのこのへんから手を出してみた。6月末頃のことである。MPEG-2の5Mbpsでキャプチャーした番組の一部を2Mbpsとか3Mbpsとかでエンコーディングしてみたのだが、そのころは腕も悪かったせいもあり、結果はブロックノイズだらけの最悪な結果。それでも使い勝手もいいし、AVIUtilなど他のアプリケーションとの連係も可能だし、色々工夫してみる余地はたくさんありそうな点でポイントが高かった。後述のDivX出力用フロントエンドとしても活躍する。

WindowsMediaEncoder9画面・Windows Media Encoder 9

次に試してみたのがこれ。雑誌などには品質の良さが記事になっていたけれど、確かに3Mbpsでも十分見れるほど品質は高い。それでもはっきり言って遅すぎだとその時は思った。パフォーマンス設定の規定値が極端に遅いことを知らなかったのだ。ツール→オプション→パフォーマンス設定で規定値が高画質側からひとつ目になっているので、それを一番高性能側に振ってやると速度は劇的に改善され、TMPGEncを凌ぐほどになる。画質的にもさほど劣らない。

それでもこのソフトは筆者には使えない。ユーザーインターフェイスがあまりにも特殊で、操作性が悪い。レスポンスも最悪で意味もなく待たされ、精神衛生上良くない。Windows Media自体のコーデックは悪くないと思うので、コーデックだけを他のソフトから利用することをお勧めする。

・DivX 5.0.5

やっと3Mbpsで速度も品質も満足できるものを見つけた。TMPGEncから読んでAVI保存する方法で使用。それでもBフレームが使えないのは致命的だ。このコーデックをまともに使う気があればPro版をお勧めする。

DivX5.0.5pro画面・DivX 5.0.5 Pro

使えるコーデックであることがわかったので、Pro版を購入した。これでBフレームが使えるようになり、ますます圧縮率が上がるようになる。他にもpreprocessingでノイズ除去ができたり、インターレース解除・リサイズ・クリッピングなどが可能になる。このへんの機能は、TMPGEncやAVIUTLも持っているのだが、DixXでエンコード時に行うことのメリットはとにかく「速い」ことだ。品質的にも悪くない。問題は設定時に確認ができず、エンコードしてみないとわからないこと。また、EKGというツールが付いてきて、エンコードしたファイルとログを読ませると、エンコードの状況を見ることができる。同様のツールにDRF Analyzerがあるが、EKGのメリットは動画を画面で確認しながらレビューできることだ。一見Free版との能力差が目立たないが、使い込めば使い込むほどそれが見えてくる。この$19.99は価値がある。

注意すべき点として、プロファイルの取り扱いがある。デフォルトでHome Theaterなどのプロファイルが選択されるようになっているが、このプロファイルでは最大ビットレートが4Mbpsに制限されてしまう。フルD1などの解像度で画面全体が動くような場合にはビットレートが不足してしまうことが多いので、このプロファイルにこだわらないのならHigh Definitionを選択した方がよい。また、プロファイルを選択していると品質を安定化しやすい1-pass quality-basedのモードが使えなくなってしまうのも痛い。PCで鑑賞するのが前提なら、プロファイルは外す方がいいのかもしれない。

TMPGEnc画面・TMPGEnc Plus 2.520

キャプチャーされたMPEG-2データを確実に読み込もうとすると、意外と苦労する。家庭用のおもちゃみたいな映像編集ソフトには読込機能があるのに、それなりにまともなソフトほど入力がAVIオンリーだったりするのだ。幸いTMPG EncにはDirectShowから読み込む能力があるので、筆者の場合Ligosのデコーダーを使って何の苦もなく読むことができた。ただ、このデコーダーどうも挙動不審のところがある。再生用としては問題ないのだろうが、エンコードの読込には向いていないのだろう。そんな訳で、MPEG-2 VIDEO VFAPI Plug-Inなどをもらってきて使っていたのだが、Plus版は正式にMPEG-2のデコーダーが付属し、正式に読込をサポートするとの情報があり、即買うことにした。

最初にフリー版を使った頃よりは筆者もそれなりに能力が上がっているので、画像処理用の汎用的なツールとして大活躍している。MPEG-2を確実に読み込んで他のアプリケーションに渡したり、DivXなどのAVI出力のフロントエンドとして使ったり、あるいは高ビットレートで取り込んだMPEGデータの再エンコード用としてもそれなりに使えている。MPEGエンコーダーとしてみた場合、シーンチェンジの検出に失敗することが多いこととエンコードの遅さが難点だ。特にフィルタを使うと極端に遅くなるので、使いたくても使えないことがままある。シーンチェンジ検出の失敗が多い点については、手動で設定してやれば救うことも可能なので、努力次第で対応可能だ。

AVIUtil画面・AVIUtil 0.98d

使いやすいシンプルな画面、豊富なフィルタ機能が売りのAVI加工ツール。MPEGの読込に弱いので、MPEGキャプチャーの場合には、フィルタがどうしても欲しいときにTMPGEncと連係して使うくらいしか出番がなかったのだが、最近はDV形式でキャプチャーすることも多くなってきたので、こいつをフロントエンドに使う機会も増えてきた。VFAPI Reader Codecと組み合わせて下記CINEMA CRAFT ENCODERの前処理としてトリミングやリサイズ・クリップをしたり、あるいはDivXでエンコードするときのトリミング用としても使える。TMPGEncよりもフィルタが高速なので、3Dノイズリダクション程度なら実用になる。AviSynthのようにコマンドを書かなくてもいいので気軽に使え、その場で見て確認できる点でもメリットは大きい。

CCEBasic画面・CINEMA CRAFT ENCODER Basic (CCE Basic)

TMPGEncのMPEGエンコーディングが遅いことと、シーンチェンジの検出能力に問題があることが気になって、トライアル版を試していたらそれなりにいい感じだったのでつい手を出してしまった。インターフェイスは驚くほど素っ気ない。エンコード中にプレビューすらなかったりするが、それはそれで慣れれば問題ない。速度も速く、前処理済のデータであれば1パスあたり実時間を切る。エンコード結果も単純に行った場合はTMPGEncより上といってもいいだろう。

それでも難点はある。読み込むファイルが純粋にAVIのみであることだ。TVなどからキャプチャーしたデータは通常MPEG-2だからこれを読み込ませるにはそれなりの技が必要になる。メーカーのサポートなどにはAviSynthを使えと書いてあるが、これってスクリプト書かないといけないし、日常的に使うには難がある。その代わりに使えるのがTMPGEncやAVIUtilとVFAPI Reader Codecである。TMPGEncやAVIUtilで前処理して、プロジェクトファイルを吐き出し、これをVFAPI Reader CodecでAVIの参照形式ファイルを作ってやるのだ。CCE Basicは純粋なエンコーダーなので、前処理は何もできない。唯一エンコード範囲を指定することが可能なだけだ。トリミングやクリップ、リサイズなどを行いつつ、中間ファイルを残さないでエンコードまで行うにはこれらのアプリケーションの連係が必須になる。もちろんこの方法にも欠点はあって、2パスVBRエンコードをしようとすると、前処理が2回動いてしまう。リサイズやインターレース解除のない軽い処理でも速度は半分くらいになってしまうから、ある程度重い前処理をするときはHuffyuvなどで一時保存した方がいいだろう。つまり、前処理が重ければいくらエンコーダが速くても結局かかる時間は大差ないことにもなってくる。せめてクリップとリサイズくらいの機能は欲しいと思うのは私だけだろうか?

■関連情報 canopus MTV3000W canopus DVTX100-HQ 動画エンコードを助けるソフトたち
Canopus MTVX2004HF

DVTX100HQ写真●canopus DVTX100-HQ

MTV3000Wでのキャプチャー環境が貧困に見えてきて、こんなものに手を出してみた。TVやビデオをDV形式でキャプチャするためのボードである。PCとはIEEE1394接続なので、本来は外付けすべきものなのだが、外付けだと筐体や電源も必要だということで内蔵ボードになっている。DVケーブルはPCに別途用意したIEEE1394インターフェイスに接続することになる。

このボードのポイントはDVキャプチャーできることと、3D Y/C分離(あるいは排他利用の3Dのリズリダクション)とゴーストリデューサーが付いていること。これってMTV2000とほとんど同じで定価\29,800(税別)と結構お買い得だったりする。

・MTV3000Wとの2枚差しはOK

通常のキャプチャーボードだと、チャネルコントロールなどがあたったりしてなかなかうまくいかない2枚差しだが、このボードの場合実質外付けということもあり、すんなりと2枚を併用することができる。同じメーカーにもかかわらず、コントロールソフトが違うので、使うソフトによってキャプチャーするボードが切り替えられる仕組みだ。唯一問題があるとすれば、iEPGを使用するときにどちらのキャプチャーソフトを使用するかという問題。それも通常キャプチャーするボードは決まってくるから、そのボードに付属のキャプチャーソフトにiEPGを関連づけておけばあまり困らないだろう。

JetVision2画面・キャプチャー兼編集ソフトJet Vision2

DTVX100-HQに付属しているのが、視聴&キャプチャーとDVファイルの編集の両方をこなすJet Vision2というソフト。キャプチャーしたデータをそのまま編集できるというのはDVからのキャプチャー時には便利かもしれないけれど、編集中に録画できないとかの問題もありTVの場合は視聴するのと編集するのは別の方がいいように思う。それからキャプチャーの予約時にサスペンド解除できないのはかなり使い勝手を悪くしている。

・豊富な調整機能

意外な感じがしたのはDVTX100-HQの方がMTV3000Wより画像調整の機能が豊富なことだ。ハードウェアで行う部分もあれば、ソフトウェア的に行う部分もあるが、ゴースト低減範囲が指定できたり、ノイズ除去も2次元3次元の別にそれぞれ輝度成分・色成分について強度を変えることができたり、階調補正として黒伸張補正(黒浮き防止)や白ゲイン制限(白飛び防止)があったりする。

・手軽に使えるとは言えないがそれでもDVは使える

DVのボードであることで、視聴するだけでもそれをデコードする負荷がどうしてもかかってしまう。私の環境(Pentium4 2.53GHz, Intel 845Eチップセット)で20%台の後半であろうか。それはキャプチャー中でも大きく変わらない。Jet Vision2の動作中に他のアプリケーションを使ったり、Jet Visionのウィンドウを動かしたりすると、音や画面の更新が途切れ、決して気軽に楽しめるような状態ではないことがわかる。CPUよりもチップセットの処理能力の限界が近いのだろうか。それでも一度キャプチャーしてしまえば、唯一警戒すべきディスクの空き容量を除いて何も恐いものはない。なんと言っても移動が正逆共に高速な上、フレーム単位で簡単に継ぎ接ぎできるので編集がとても容易だ。フィルタをかけるにしてもAVIUtilにいきなり読み込ませられる点で速度低下要因があまりない。

今でこそTVキャプチャー時のハードウェアエンコードはMPEGが主流だが、ディスクがより高速化大容量化した時、取り扱いの難しいMPEGより、DVが主流になっていくのではないか。そして、MPEG2はDivXなどと同じような最終保存手段になるのではないか。一度DVキャプチャーの味を知ったら、そんなことを考えさせられてしまう。

■関連情報 canopus MTV3000W TVキャプチャーデータ保管大作戦 動画エンコードを助けるソフトたち
canopus DVTX100-HQ(その2) Canopus MTVX2004HF I・O DATA 1394US2G-PCI


9月28日

●動画エンコードを助けるソフトたち

TVキャプチャーデータ保管大作戦で紹介しきれなかった、便利なソフトを紹介してみたいと思う。

VFAPI Reader Codec画面・VFAPI Reader Codec 1.05

VFAPI経由で映像データを読み出すためのコーデックと、それを利用できるAVI形式のファイルを作るアプリケーションのセットである。どのように使うのかというと、VFAPIに対応したアプリケーション(AVIUtilやTMPGEncなど)で前処理などを行うプロジェクトを作成・保管し、これをVFAPI Reader Codecのアプリケーションで読み込ませて中間ファイルを作成する。後は最終処理を行うアプリケーションでこの中間ファイルを読み込ませれば、VFAPI経由で前処理されて最終処理をするアプリケーションに映像データが引き渡されることになる。

筆者はもっぱらCINEMA CRAFT ENCODER Basicの入力ファイルを作るために利用しているが、VFAPI対応したアプリケーションとの連係に汎用的に使えるものなので、色々な応用が考えられる。中間ファイルを作るのと比べて、巨大ファイルでディスクを圧迫しなくても良いというメリットの他に、色々なVFAPI対応アプリケーションのプロジェクトファイルをまとめて実行させるためのツールとしても利用できたりするので、工夫次第で作業負荷の低減に大いに役立ってくれる。

ZoomPlayer画面・Zoom Player Standerd

元々ビデオのデーコードに使われているコーデックを調べるためにもらってきたソフトであるが、一通り何でも見れて、何よりも軽いので、映像データのチェック用に常用している。インターレースを解除したりする機能もなく、じっくり見るには向いていないのだけれど、操作性が良くて、キーボードでのコマ送りなども可能な点などがポイント。

右の画面キャプチャーのように右クリックで出てくるメニューからして膨大で、さらにPlayer Optionsを選ぶとその下に表示している設定画面が開く。左側がメニューになっていて、選ぶと今度は上にタブがあって、それぞれのタブの中にたくさんの設定がある。特に設定しなくてもデフォルトの設定で十分使えるのだが、色々工夫するとさらに使い勝手を向上することができる。

DVDに対応したProfessional版もある。レジストレーションが必要($19.95 U.S.)で、DVDでも頻繁に利用したい場合には価値があるだろうが、少なくとも筆者の場合はStanderd版で十分だ。

DivX DRF Analyzer 画面・DivX DRF Analyzer - 0.9.5

DivXでのエンコード結果をレビューする材料を与えてくれる良いツールがこれ。ファイルを読み込ませると右図のようなビットレートと品質の情報をフレーム毎のグラフで表示する画面や、英語だけれど文字で評価するレポート画面を見ることができる。

フレームの種類が色分けされるので、直感的に状況が理解しやすい点がなかなかいい。極端に品質が悪くなっているところを見つけてエンコードパラメーターの問題を洗い出したり、DivXのエンコード特性を理解するのに大いに役立つ。

BitrateViewer画面・Bitrate Viewer

Mpegのビットレートを調べたい場合に使えるのがこれ。問題は無料版では機能が制限されることで、ビットレートと量子化パラメータをグラフで見ることはできるのだが、秒単位に制限されてしまう。有料版は€29.95と決して安くはないが、フレーム毎に量子化パラメータと圧縮率を見ることが可能だ。

前述のDRF Analyzerのようなレポートでの評価がないので、表示された情報は利用者の経験と勘のようなもので判断しなければならない点、ある程度経験者向きといえるかもしれない。それでも、量子化パラメータが極端に大きくなっているところは品質が落ちているわけで、画像と見比べながら検討を何度か繰り返せば評価のコツはつかめてくるだろう。どんな映像にはどれくらいのビットレートが必要なのか、Mpeg2という汎用的なデータで経験を積んでおくことは、DivXなどのより高度な圧縮を利用するための基礎にもなるので、まずフリー版からでも使ってみることをお勧めする。

MpegCraft 画面・MpegCraft

ハードウェアMPEGエンコーダで録画したデータをそのまま保存しようとした場合でも、コマーシャルのカット程度は行っておきたいものだ。そんな時、本格的な編集ソフトは重いだけで使い物にならないものも多い。特に全体を再エンコーディングしてしまうようなものは時間ばかりかかって、品質も落ちるので最悪だ。そんな時従来良く行われたのはGOP単位での編集だが、0.5秒単位でしか編集できないため軽くても思い通りにならないという欠点があった。それを解決してくれるのが、このMpegCraftである。フレーム単位の編集を可能としながらも、再エンコーディングが必要な部分だけ実施することで、軽くて使いやすいソフトになっている。

またMTVシリーズのハードウェアエンコーダーを使用した再エンコードもできる。ただ、再エンコードにハードウェアを使うのだったら、最初から目的のビットレートで録画しておけばいいわけで、速度が実時間で終わるという以外に何のメリットもない。それと、Canopusというメーカーの特性なのかやたらと妙なところで制限がある。素直に汎用的な編集ソフトにしておけばいいのに、DVのデータが読めなかったり、サイズに制限があったりで、頼ってしまうと思わぬところで足をすくわれることがある。使えるところでは効果が大きいので、他の汎用的なツールを使いこなした上で、ピンポイント投入するのがいいだろう。

Canopus Software DV Codec Version 3.02・Canopus DV Codec

DVTX100-HQを買った目的のひとつに、これが使えることがある。ある程度使用条件は限られるものの、AVIUtlなどで前処理してCanopus DV Codecで仮保存しておけば、そこからの2Passエンコードなどの速度が向上する。特にエンコード自体が高速なCINEMA CRAFT ENCODER Basicを使用する場合に速度劣化を最小限に抑えられるメリットがある。

問題は何らかのCanopusのDV製品を買わないと使えないこと。ビットレートが25Mbpsとかなり高いので、このデータを長期保存するのは難しいこと。それでもディスクも安くなってきているし、何よりHuffyuvなどよりも軽く、使い勝手は格段にいい。数十分以上のフルD1映像中間ファイルを作る必然性があると感じたら、コストはかかるものの試してみる価値はあると思う。

■関連情報 canopus DVTX100-HQ TVキャプチャーデータ保管大作戦 Canopus MTVX2004HF

●Seagate Barracuda 7200.7 Plus ST3160023A

DVで録画したデータを置いておく領域が足りないのでHDDを大きくした。HDDが一台しかないのだから通常であれば増設というかたちを取るのが順当がと思うが、何せ筆者の使っているケース、3.5インチのシャドウベイが2つしかない。オープンなベイも5インチ、3.5インチともふさがっている。HDDの内部増設を経験した方なら理解していただけるだろうが、空いているからといってその2つのベイにHDDを密着して2段重ねしたらどうなるか?場合によっては手も触れられないほどHDDが過熱する。これはもうHDDに飛んでくれといわんばかりの暴挙である。

・HDDの選択

使用目的が録画ビデオの保存であるから容量は大きなほどよいが、あえて割高な大容量製品を買うメリットも見いだせない。現在価格あたりの容量が最も大きい160GByteの製品を検討することにする。次に同じクラスの各社製品の比較検討であるが、同じプラッタ容量80GByteの製品で、回転数7200rpmバッファ容量が8MByteの製品を見てみると、以下の3機種がある。

そのうちDeskstar7K250は最近発売されたばかりのため品薄で高価なので外すと下の二つが残る。以前からSeagateのドライブは高速だが消費電力が大きく音も大きい傾向があったが、最近の同社のドライブは静音性に配慮し、むしろパフォーマンスを犠牲にする傾向が見られる。Barracuda 7200.7 Plusの消費電力もDiamondMax Plus 9とほぼ同じ、Deskstarには劣るものの過去の熱いドライブのイメージは払拭している。前作のBaracuda ATA Vではプラッタ容量が60GByteだったことから昨秋プラッタ容量80GByteのドライブを投入したMaxterと比べて性能的なビハインドが大きかったが、Barracuda 7200.7ではさほど見劣りしないようだ。DiamondMax Plus 9の場合は歩止まりのせいか60GByte/プラッタの製品も混在し、前回外してしまった経緯もあるので、「ここは久々にSeagateかな」との判断である。

・速度は合格、静音性も良好だが

購入は怠慢して、梅田のヨドバシカメラ。買ってきてさっそく仮設の増設状態で速度を調べる。外周で50MByte/S台の半ば、内周では30MByte/S程度と内周の落ち込みが大きいが、ほぼ合格であろう。期待していた静音性の方も良好なのだが、暇なときに時々妙なシークを始めたりする。何なんだろう?

・システム移行ではトラブル

システムの移行にはSystem Commander 2000を使用し、パーティションをコピーする方法をとった。マザーボードの48bit LBA対応も問題なく、Windows2000もSP4があたっているので問題ないはずだった。システムの起動も正常で、ちゃんと使えている状態だったので油断していたら、Norton Speed Diskで処理が途中で止まってしまう。変なので停止させたら、今度はWindowsが落ちる。再起動してもパーティションが認識されない。パーティション情報がぼろぼろになっているではないか。Windows2000では48bitLBAに対応させるには、レジストリ変更が必要だったのだ。クラスタサイズによってもデフラグできなかったりと、大サイズストレージの取り扱いにはソフトウェア的にもまだまだ安心できる状態ではない。十分情報を集めることと、ディスク関係のソフトを失敗しても良い状態でテストしてから実用環境に移すことを勧める。

■関連情報  ケースと電源の交換(TORICA CS320-601F,TORICA 静PW-320NF)
Maxtor DiamondMax Plus9 6Y080L0 Maxtor Fireball3 2F040J0
System Commander 2000 Ver.5.0
Hitachi Deskstar 7K250/160GB HDS722516VLAT80
Seagate Barracuda 7200.7 SATA/160GByte ST3160023AS

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