Prodigy 192を使うと休止できない件を解決しようとした取り組みのひとつ。元々845Eチップセットの古さが気になっていて、更新を考えていたのだが、前倒しで更新することにしたもの。まともなメーカーのIntel 865PEチップセット(安ければ875Pでも)なら何でもよかったのだけれど、IEEE1394が付いていることと、AGPスロットの下が空いていてカードレイアウトにゆとりがあること、そしてそれなりに安かったことがポイントだ。AC97の8チャネルオーディオやPromiseのRAIDなど余計なものも付いていて邪魔だが安いから許そう。
現在Pentium4 2.53MHzとPC2700の512MByteDDRメモリー1枚を継続使用中だから、新しいチップセットの機能はあまり使えている状態ではない。OSもWindows2000SP4のままで、スムーズに移行できている。当初Prodigy 192のせいで意味もなく落ちたりしていたが、これは下記FireWire Audiophileへの移行で解消した。そんな訳で「ちょっと反応が良くなったかなぁ?」というレベルで問題なく使用している。追ってCPUとメモリーも更新する予定なので、その時に改めてレビューする予定である。
※Pentium4 3.0GHzとWindowsXP Professionalを使うようになってHyperThreadingが使える状態で使用しているが、速くなった分OSの重さが帳消しにしている状態である。
程々に小さくてACアダプタも不要なので使いやすい。音質だけでなく、ケースや中身のレイアウトも秀逸。機会があれば御覧あれ。 |
マザーボードを交換しても休止状態が使えないので、Prodigy 192を見限って新しいオーディオインターフェイスに手を出すことにした。音がProdigy 192と比べて見劣りしないのと、ちゃんと休止状態が使えるのが重要な条件。この際だから、左右2チャンネルが再生できれば十分で、チャンネル数やDirectSound 3Dにはこだわらないでおこう。ただ、Prodigy 192でヘッドフォンアンプに味を占めてしまったので、できれば付いているとうれしい。 また、家庭用のオーディオ機器との接続がメインだから、本格的な1/4TRSバランスコネクタがあっても困ってしまう。RCAアンバランス入出力程度が使い勝手がよい。
こんな条件で前回より広範囲にオーディオデバイスをあたってみた。USB接続だと選択肢も多く、休止問題とも無縁なのだが、USB1.1規格の製品がほとんどなので、最大12MbpsではPCに負荷がかかったときの音切れが不安だ。また低価格の製品が多い反面、品質的に不安を感じさせるような製品が多いのも事実。IEEE1394(FireWire)だと休止状態の心配もないうえ、速度的な余裕もあるのだが、比較的高価で製品の種類が非常に限られてしまう。PCIのデバイスだとエントリークラスのオーディオカードが使えそうだ。M-AUDIO DELTA Audiophile 2496(PCI-X)やCreative Professional E-MU 0404がかなり要求を満たしているのだけれど、別途ヘッドフォンアンプを買う必要があるのと、休止状態が使えるかどうかの不安が購入を思いとどまらせた。結局Prodigy 192と同じようなPCIカードを買うよりは外付けデバイスの方が使い回しに幅が出ると考えて、少し高価だがプロ用の機器の普及品FireWire Audiophileで勝負に出た。
PCの後と違って配線は簡単。筆者の場合MTV3000W用にLINE INも使用している。PC側のIEEE 1394が4Pinの場合に必要となるACアダプタのコネクタが左端にある。 |
外付けなので置き場所と外部配線が必要なのが難点だが、PCとの接続はIEEE1394のケーブル1本。ここから電源も取れる。(だだしPC側が6Pinコネクタである必要がある)配線も機器が手元に配置できる分容易で、ヘッドフォンなどを必要なときに必要なものを接続する使い方が可能だ。PCと接続する前にドライバのインストールをしておかないといけない点さえ注意すれば、すぐに使えるようになる。ホットプラグ可能なIEEE1394だから、当然休止やスタンバイをさせてもPCの動作に全く支障がなく、付属のドライバも安定したものだ。ただUSB1.1に比べて高速なIEEE1394とはいえ、PCで負荷をかけてしまうと一時的に音が途切れることがある点は要注意。外見的な面でいくとケースもアルミ製で高級感があり、デザインも秀逸だ。筆者の個人的理由だが、幅がミドルタワータイプのPCとほとんど同じのため置き場所にも困らない点や、ヘッドフォンのプラグが1/4TRSなのでそのまま接続できるところもありがたい。ただ、つまみやスイッチがプラスティックの安物メッキなので操作感が悪く、さらにつまみでヘッドフォンや各種ボリューム(設定で変更可能)を操作できるのだが、「アナログ感覚」と歌っておきながら動きがストレートでなくアナログ感覚でコントロールできない点は、コントロールパネルでの操作で代替できるから致命的ではないものの気になる。
本格的に録音再生するための機器だから、インストールすると右のようなコントロールパネルが使えるようになる。ミキサーに似せた本格的なもので、それなりに勉強しないとまともに使いこなせない。それでも普通に音楽再生するだけなら、一度設定すればヘッドフォンの音量調整以外あまり使う必要はないだろう。
Prodigy 192で筆者の耳が肥えてしまってることと、さらに高価な機器だから求めるレベルが高くなるのだが、FireWire Audiophileはその期待に応えてくれている。LINE OUTPUTからの出力は、繊細さ、艶、力強さを兼ね備えたすばらしい音だ。古いけれどそれなりにまともなアンプ(SANSUI AU-D607X)とスピーカー(DENON SC-700)を接続してやると、旧式なCDプレイヤー(KENWOOD DP-7060)では太刀打ちできないようなレンジが広く癖のない音が出る。解像度も高く、今まで聞こえなかった音がしっかり聞こえてくる。部屋の照明を落としてライブのDVDを再生したら臨場感は感涙もの。PCでここまで音が出せるとは思わなかった。開発時期が新しいにせよ、高々3万円程度でこれだけの違いが出るとは正直なところ驚きだ。今まで大人しかったデスクトップの小型スピーカー(DIATONE DS-71P)も今まで以上に鳴ってくれるのはいいが、一度まともなオーディオの音を聴いてしまうと、小型スピーカーの再生装置としての能力不足を痛感してしまう。
基板のADC/DAC部分。クリックすると別窓拡大。AKM(旭化成マイクロシステム)のAK4628(96kHz/192kHz 24-Bit 2ch ADC & 8ch DAC)を中心に、右のLINE×3は新日本無線のオーディオ用定番NJM4580、左上のPhonesは高出力のNJM3414Aだ。低価格PC向けのような基板面積削減のための詰め込みもなく、素直で美しいレイアウト。 |
惜しいのはヘッドフォンアンプ。どうもProdigy 192より透明感が落ちていると思って回路を調べたら、OP-AMPの出力にリレーを省略して75Ωの保護抵抗を入れている※注。しかも帰還ループにすら入っていないから、出力インピーダンスが上がり、最近主流の低インピーダンスヘッドフォンではダンピングファクターが極端に悪化する。こんなつまらないところで手抜きしないでほしい。それでも一応高出力タイプのOP-AMPを搭載していて、数千円の某ヘッドフォンアンプより回路的にはまともな点補足しておく。
※注:参考までにProdigy 192の場合短絡保護用の抵抗は10Ω。代わりにリレーで立ち上げ時の保護をしている。単電源だから出力をコンデンサで切っているのはご愛敬。内部で電源を用意して、出力にコンデンサ入れないのはAudiophile。Jul.24.2004
くどいようだが、FireWire Audiophileは左右2チャンネルで録音再生するためのプロ用の機器の普及品だ。録音編集ソフトの入出力に使うのが本来の使い方。Direct3Dなどに対応しておらず、ゲームやDVDのサラウンド再生はできない。もちろんステレオ再生はできるので使えないわけではないのだが、CDなどのオーディオ再生用と考えた方がいい。それから、デジタルのOptical入出力がないので、Optical普及率の高いオーディオ機器との接続には難がある。もっとも折角すばらしいAD/DAコンバーターを搭載しているのだから、Optical接続しかない普及品と下手にデジタル接続せずFireWire Audiophileで変換してアナログ接続するのが使い方として正解だろう。
総合的に見て、3万円あまりでプロ用の機器に見劣りしない優れた音質がカード交換などなしに得られる点は特筆ものだ。ミキサーの設定さえ理解すれば、PCにあまり詳しくない人でも良好な音質でPCオーディオを満喫できるだろう。若干難はあるも、ヘッドフォンアンプも搭載しているので、夜間の再生でも問題ない。ただし、ゲームやDVDのサラウンド再生に対応していないので、必要ならば他のサウンドデバイスと併用するなどの対策が必要になる。PCからの高音質2チャンネル再生という明確な目的があるのなら、ぜひ試してみてほしい。
PCがオーディオに使えることがわかって、お盆休みを利用してAudioVideo用PCを1台作ろうと考えた。書斎にあるPCのCPUとメモリーを更新しようと考えていたので、これを利用しようという目論見だ。情報としての利用価値を考慮し、本項目では製作全体に関わる情報のみを記載し、使用したパーツに関するレビューは別途項目を立てるのでそちらを参照いただきたい。
リビング用には書斎用の汎用PCを作るのではないから、それなりにメリハリを付けた設計が必要になる。リビングに設置し、オーディオ再生をメインに、DVDやTV録画データの再生も行いたい。静かで、オーディオ機器とならんでもそれなりに見かけも良いものが必要になる。全体的な性能はさほど重視しないが、オーディオシステムを十分駆動できるだけのオーディオインターフェイスは必須だ。
今回の計画と並行して、書斎のPCのグレードアップをする。マザーボードをすでにHyperThreading対応にしているから、最近2万円台半ばと安くなったPentium4 3.0GHzとそれに合わせてメモリーを用意。余ったPentium4 2.53GHzと512MByteのDDRメモリー及びCPUクーラー(SNE4789-12DB)と電源(Antec TruePower True430)を新システムに流用する。以前使っていたマザーボード(ASUS P4B533-E)もできれば流用したいところだ。HyperThreadingを使うために、書斎のPCにWindowsXPを新規導入し、現行のWindows2000のライセンスも新PCで使うことになる。このへんを前提条件として、細部を詰めていく。
以上整理すると必要なパーツは以下の通りだ。あわせて予定に対して買ったものを価格を添えて掲載する。この表には失敗して売却したもの、アンテナやオーディオのケーブルなどは含まない。
パーツの種類 | 使用装置 | 必要な仕様や条件 | 想定価格 (千円) |
買ったもの | 購入価格 (千円) |
---|---|---|---|---|---|
CPU | 書斎PC | 値頃感のある熱くない Pentium4 |
20〜30 | Pentium4 3.0GHz (Northwood) |
24.7 |
メモリー | 書斎PC | PC3200 256MByte×2 | 15 | Samsung純正 | 12.5 |
CPUクーラー | 書斎PC | 必要に応じて | 0〜5 | S-PAL8952+D08K-12PG | 5.1 |
電源 | 書斎PC | HTに対応・安定性 | 10〜15 | Antec TRUE480 | 11.8 |
ケース | リビングPC | 見栄えと冷却・静音性 拡張性も確保 |
20〜30 | CoolerMaster Praetorian(B) | 19.5 |
マザーボード | リビングPC | P4B533-Eが使えない場合 | 0〜15 | P4B533-Eを使用 | |
DVDドライブ | リビングPC | 一応書けるもの、ケースと同色 | 10 | LG GSA-4120B | 9.7 |
ファンコントローラー | リビングPC | 必要に応じてケースと同色 | 0〜5 | ST-24B | 5.2 |
キーボード | リビングPC | 在庫を使う | 0 | IBM Space Saver (1397681)を使用 | |
マウス | リビングPC | 在庫を使う | 0 | MS IntelliMouse with IntelliEyeを使用 | |
オーディオI/F | リビングPC | 高音質とオーディオ機器との親和性 | 30〜100 | RME RPM | 89.3 |
TVキャプチャー | リビングPC | 一応まともなもの | 20〜40 | Canopus MTVX2004HF | 29.8 |
ビデオカード | リビングPC | ファンレスDVI-I ,TV-OUT | 10〜15 | ELSA GLADIAC FX534LP | 10.0 |
液晶モニタ | リビングPC | 長く使えそうなまともなもの | 50〜100 | EIZO S170-GY | 74.8 |
WindowsXP Pro | 書斎PC | 新規インストール版 | 35 | WindowsXP Pro | 32.8 |
HDD | 書斎PC | 計画なし | Seagate ST-3160023AS | 10.9 | |
USB-SCSI変換 | 書斎PC | 計画なし | Adaptec USB2XCHANGE | 8.4 | |
IEEE1394 I/F | 書斎PC | 計画なし | I・O DATA 1394US2G-PCI | 6.4 | |
合計 | 210〜405 | 350.9 |
こうして全体を見てみると、ほぼ1台分のパーツを揃えていることになる。普通は買わない高額オーディオインターフェイス(RME RPM)を別にして総額26万円強、マザーボードとキーボードやマウスも価格換算したら28万円は超えるだろう。これを高いと思うだろうか?高々3GHzのPentium4マシンで、液晶も17インチだったら、メーカー製で20万円が相場ではないか?自作の経験がない方もこのサイトをごらんになっておられるようなのであえて筆者の意見も加えて右コラムで説明しておく。
注意していただきたいのは、個々のパーツの品質である。メーカー製では普通手抜きしているような部分もそれなりにまともな製品を使っていて、バルクではなくリテール品を使用している率もかなり高い。自作の場合、パーツをバラバラに購入することによる流通コスト負担もかなり大きくなってしまう。バルク品や格安品で安く作ることを目指すならともかく、個人が性能をそれなりに確保しながら安定して確実に動かそうとすれば、どうしてもメーカー製より高価になるのは必然だ。パーツを揃えるための設計や調査の手間暇もそれなりに大きく、こだわる部分以外はメーカーのエンジニアに任せた方がよほど合理的だ。
それでも自作するのは客観的に見て割に合わないように見えるだろう。確かに表面に見える1台のPCとしての資産価値だけ考えたら不合理だ。しかしながら自作することで得られるものは目に見える1台のPCだけではない。部品の選定から組み立て・最終的な稼働の中で得られる経験はメーカー製では決して得られないものだ。しかも、個々のパーツについての理解があるから、故障や機能追加に関してもユーザーがコントロールできる。今回のケースのように2台目を作る場合でも部品レベルでの融通が可能だ。これらにメリットを感じられるのなら、時間と費用をかけてPCを自作することは無駄ではない。特にPCに関わる仕事をしているのなら、講習会や通信講座では得られない実務に役立つ経験になるだろう。
新しいPCを作る際には、当然のことながら組み上げるためのケースと、CPUなどの基幹部品を確保しなければならない。ケースとCD(DVD)は単純に購入するだけだが、CPUなどの部品は現在書斎で使用しているPCのものを流用することにしているから、こちらの更新からはじめなければならない。別記のようにトラブルはあったものの最終的にはCPUにPentium4(Northwood)の3GHzを調達し、ALPHA S-PAL8952TとNidec D08K-12PGで強力な冷却体制を構築する。メモリーにもSamsung純正PC3200の256MByteメモリーを2枚用意、電源もより強力なTRUE480に換装して、書斎PCのマザーボードASUS P4P800-E Deluxeに搭載されたチップセットIntel 865PEの能力を有効に生かせる状態とした。ただ、この時点ではOSはまだWindows2000の状態の仮稼働で、HyperThreadingを有効に使える状態にはなっていない。
次に行ったのがリビング用PCの稼働。新しいケースPraetorianに以前書斎PCで使用していたマザーボードASUS P4B533-Eと余らせたCPU Pentium4 2.53GHz、メモリー512MBytePC2700、電源TRUE 430を搭載して、予備に置いてあったHDD Maxtor DiamondMax Plus9 (6Y080L0)と新しく購入したビデオボードELSA GLADIAC FX534LP、DVDドライブLG GSA-4120Bを使ってPCを組み上げる。HDDにはWindows2000の起動システムが残っているから、これでそのまま起動し、誤って使わないように不要なプログラムを削除しておく。
書斎PCはHyperThreadingを使える状態になっていないうえ、ひとつのライセンスでWindows2000を2台動作させているから、この状態を解消しなければならない。買ってきたWindowsXPのフルインストール版を使って新しくインストールすればいいのだが、別項目に詳細を書いたように筆者は怠慢をしてアップグレードしようとし、失敗した。やむなく現行のシステムHDD(Hitachi HDS722516VLAT80)をそのまま残し、新品のHDD(Seagate ST3160023AS)を取り付けてこちらに新規インストールすることで事態を打開した。(アプリケーションの入れ直しが多数発生し、未だ完全復帰していない・・・)
リビングのPCはこのままでは単なる汎用PCなので、オーディオとビデオの環境を整える。オーディオインターフェイスには後述のRME Hammerfall DSP RPMを使用したが、通常の設定でサウンドの出力先をRPMに切り替えてしまうと、音楽の再生中にWindowsを操作した場合に操作音などが音楽再生を邪魔してしまう。マザーボード内蔵のサウンド機能は生かし、既定のサウンド出力先はこちらにした。この出力をRPMの入力につないで音楽再生に邪魔にならない程度にミキシングする。ただし常時行うと-80dB程度あるノイズが混入するので、手間さえ厭わなければ必要に応じて行う方がよい。別途小型スピーカーの置き場を用意できるのなら、RPMに入力せず別スピーカーに出力する手もある。
ここで問題になるのは、音楽やDVDなどを再生するためのソフトウェア。通常既定の出力先にサウンドを出力してしまうから、オーディオインターフェイスに切り替える機能が必要になってくる。ASIOなどの出力ドライバがあればまず問題ないだろうが、中には音の出力先を切り替えできない製品もあるので要注意。筆者の場合はオーディオ再生はWinAMPでASIO出力ドライバを使用。DVDは出力先の切り替えに対応したZoom PlayerのProfessional版を使用している。WindowsMediaPlayer9なども出力先を変更できるので、AVIファイルなどの再生には使用可能だ。
TVの再生と補助的な録画用にCanopus MTVX2004HFも取り付ける。このカードについては別途レビューするが、視聴時のオーディオ出力がアナログだ。こいつを適切に処理するために、オンボードサウンドに入力してやる。オンボードのサウンドはRPMの入力に接続されているから、これを経由して再生する算段だ。オンボードサウンドを経由することで音質が劣化するが、幸いP4B533-Eのオンボードサウンド(CMI8738)は48kHzのサンプリングに限って周波数特性は完璧、歪みも0.01%以下と優秀だから、電波から取り出したデータの処理には十分だろう。もちろんオンボードサウンドを経由せず直接RPMに接続してやれば、筆者の環境ではノイズレベルも-90dBとさらに10dBほど低く、常時出力しておいても影響がほとんどないと思える水準になる。しかしながら、FETHER2004で再生した場合に既定の出力先に音を出力してしまうから、こちらもオーディオインターフェイスへ接続してやる必要があり、配線が増えるだけでなく、貴重な入力チャネルを消費してしまう。筆者の場合はRPMの入力チャネル数の関係であきらめてしまった。
リビングにあるオーディオシステムとの連携のためにPCを一台用意するというちょっとマニアックなことをしてみたわけだが、確かにこれは使える。いつの間にかPCでの音楽再生に慣れて怠慢癖の付いた筆者にとって、CDを取り出してCDデッキに入れて再生するなんていうことはとても面倒で、それなら書斎のPCでヘッドフォンで聴いてしまおうなんていう状態だったのだが、自然とリビングのPCで音楽を聴く習慣が付いた。新聞でも読みながら、お酒を飲んで音楽を聞くという、ちょっと贅沢っぽいことが日常になりつつある。
音質も操作性もRMEのオーディオインターフェイスと柔軟性のあるWinAMPのおかげで良好。好きなアーティストのシングルとそのカップリングをオマケのリミックスやカラオケを除いて連続再生するなんていう従来のCDデッキだったらおおよそ不可能なことが平気でできるあたりが、アルバム単位での再生でパターン化した音楽再生に革新を与えてくれる。音楽を再生しながらTVも画面だけ表示し、気になるニュースやコーナーが始まったらTV音声も微妙にミキシングして高音質で再生することも可能だ。このシステムは TVやDVDの視聴にも効果を発揮する。特にDVDの場合は2チャンネルではあるが帯域の広いパワフルな音の再現が可能で、特にライブのDVDなどに効果的だ。以下に示すようにいくつかの問題は残っているが、費用的な問題やPCでの操作さえ苦にならなければ、オーディオに興味のある方なら試してみる価値は十分あると確信する。
このシステムにも問題はいくつかある。一番大きな問題は見苦しい配線と設置場所。デスクトップ機の場合多数の配線が這い回り(写真右下)、半畳分ほどを占拠してしまう(写真上)ため、操作性のよい部屋の中央部への設置はなかなか難しいだろう。特に小さな子供がいる家庭では配線をいじられる危険もある。拡張性を犠牲にしてノートPCを使ったり、操作性を犠牲にしてでもオーディオラックの横に置くなど工夫が必要になってくる。
※注:TVやDVD再生を捨てオーディオ再生に割り切れるなら、AppleのiTunesとAirMac Expressを使えば無線LAN付きのノートPCを用いることで配線問題はほぼ解決する。ただし、AirMac Expressはまともなオーディオインターフェイスのように24bit再生ができたり、インターフェイス自体がミキシング機能を持っているわけではないから、音質や機能の面で妥協が必要になる。色々な場所で再生できるという点では画期的なのではあるが・・・。
あとはPCの発熱と音。筆者の場合デスクトップ用のPentium4 2.53GHzを流用したが、オーディオ再生時の負荷は小さくても、発熱自体はそれなりに生じる。冷却性のよいケースを使ってもCPUだけは2000rpmとはいえ、それなりにファンを回さないと十分な冷却ができない。電源のファンも定常的に1500rpmで回り続ける。曲間やクラッシックのピアニッシモの部分では、僅かとはいえファンの音が気になることがある。拡張性を犠牲にして静かなノートパソコンを使うか、処理能力に問題が出ない程度にモバイル用のCPUを使ってみるなどで消費電力を下げたシステムを用意するとか、水冷などで冷却方法を工夫してみることをお勧めする。
前代未聞のミスをした。PrescottとNorthwoodを間違えて購入してしまったのだ。しかも気づいたのは動作させてから。どうも異様に熱いことで初めて気づくという体たらくだ。店員には「Northwoodの3G」と言ったつもりだったのだが、店員が聞き違えたのか、筆者が「Prescottはダメ・ダメ」なんて考えていたから、そのダメなものをつい言ってしまったのか、今となっては録音もないからどちらが悪いとも言えない。
とにかくPrescottは異様に熱いという情報は本当だ。CPUが暇なときでもリテールファンを全速で回さないと冷えない。それでも平気で50℃になる。動作しないわけではないのだが、はっきり言って使えない。だからといって開封し、取り付けてしまった後では返品するわけにもいかない。泣く泣く中古品で売りに出した。
そんなこんなでやっと手に入れてきたのがPentium4 3.0GHz。こちらは最初からPAL8952を取り付けたせいもあり、ファン回転数が1200rpm程度でも負荷さえ低ければ40℃台の半ばをキープ可能だ。HyperThreadingと800MHzFSBはPentium2.53GHzとクロック差以上のパフォーマンスを発揮してくれる。問題はそれ以上に重くなったWindowsXPなのであるが・・・
Prescottの熱さに懲りた後、Northwoodを買う際にクーラーも合わせて買おうと考えた。CPUがHTになるだけでも熱くなりそうだから、リテールファンだと高速回転が必要になるだろう。あらかじめファンが低速回転でも冷やせる手段を用意しておいた方がよい。はやりの水冷もいいかと思ったのだが、他の作業に集中するために無難に逃げた。
SNE4789-12DBと違ってちゃんと英語と日本語のマニュアルが付属し、シリコングリスの塗布以外に微妙な操作もなく、確実な取り付けが可能だ。ただ、標準のリテンションベースを取り外すため、マザーボードの取り外しが伴う点だけは注意が必要になる。もっともこの点は確実な取り付けと放熱面積の確保という点では効果があるものであり、手間さえ厭わなければ決してデメリットと考える必要はないと思う。
筆者はファンなしタイプを購入し、別途NidecのD08K-12PG(税込1,340円)を入手して取り付けた。3000rpmの高速タイプだが、これは過熱検知タイプのファンコントローラーの存在を前提に過熱時の十分な冷却能力と、通常運用時の適度な冷却性(5Vの時に1200rpmになる)を狙ったものである。ファンコントローラー(ST-24)と組み合わせた結果、狙い通り通常運用時はビデオカード(ASUS RADEON9600XT)やHDD(Seagate Barracuda 7200.7 Plus ST3160023A)の音の方が耳に付く程度の静音性を確保できている。
電源なしのケースを買ったから、電源を用意しないといけない。昔買ったケースに付いてきたTORICA 静PW-320NFを使ってもいいのだが、電圧フラフラで心許ない。書斎のマシンではCPUの周波数が上がって電力消費も増えるので、こちらにより強力なものを充当しようという作戦に出た。選んできたのは電圧の安定性の点で信頼しているAntecのTruePower TRUE480。商品名はTrue430を買った一昨年から変わっていないが、Serial-ATAの電源に対応したり、温度が低いときのファンがより回転数を落としていたりで、色々改良されている。ちょっと改良するたびに大胆に商品名やパッケージを変えて大げさな宣伝をする他のメーカに比べて、パッケージの表示がちょっと変わっているだけで、よく見ないと見逃してしまいそうだ。逆に地道に改良を続けているわけで、このようなメーカーの姿勢に好感が持てる。もちろん多少負荷が上がったところでびくともしない電圧の安定性は健在。電源のような黒子的な存在でトラブルに巻き込まれたくない人にはTruePowerをお勧めする。
リビングで使うためのPC用として、外見も考慮して選んできたのがこれ。現在のオーディオ機器が黒なのでそれに合わせる意味で黒にした。電源なしで税込み2万円弱だから、そこそこ肉厚のあるアルミケースとしては一般的な価格だろう。前回間抜けな電源をつかまされて損をしているから、電源なしはありがたい。
AVの視聴に騒音は大敵。少なくとも空調の音以下に抑えたい。よく静音ケースとか言ってそのために色々工夫したものがあるが、放熱製のよいケースに発熱が少なく静かな部品を使うのが本筋ではないかと筆者は思う。そんな意味で、発熱しやすいHDDの前に2基の8cmファン、後部と天板に各1基の8cmのファンを装備したこのケースはアルミの放熱性と相まってとてもよく冷える。各ファンとも2000rpmだが、フル回転させると喧しくて使えない。内蔵する機器にもよるのだろうが、過熱時のリスクを承知で5Vに減圧するか、過熱時のフル回転機能の付いたファンコントローラーを使用することを勧める。なお、背面のファンは回転数検出タイプのファン用3端子なので問題ないが、他は電源に直結するタイプの4端子コネクタなのでファンコントローラーを直結できないから特殊な変換コネクタが必要だ。
筆者の場合、ファンコントローラーにシステムテクノロジーのST-24B(ST-24のブラックベゼル)を使用し、4基のケースファンは通常時5Vで700rpm、CPU(Pentium4 Northwood 2.53MHz)にはSNE4789のファンを改装※注1して3000rpmのものを2000rpmに減速した状態で運用している。(参考までに、電源ファンは1500rpmで回転している。)室温25℃でオーディオコントローラーとして通常運用※注2していたらCPUは40℃以下、マザーボードは29℃となっている。この回転数でここまで冷えるのは驚異的だ。もちろんDVDを再生したりしたらCPUは50℃近くまでいくが、mp3圧縮などで100%の負荷をかけ続けない限り50℃を超えることはない。そして超えた場合でも、ST-24Bがファンをフル回転させて冷却してくれるしくみだ。
※注1:Nidec D08K-12PG 02A 3000rpm
※注2:WINAMPとRMEのHammerfall DSP MixerとSpectrum analyzerが稼働していてCPU負荷10〜20%
リビングに設置するためにスタイリッシュな液晶をと考えて選んだのがこれ。長い間使うつもりだし、ハズレをつかみたくないので当たり外れが少ないEIZOブランドにした。どこにでもある17インチ液晶だが、ArcSwing 2スタンドという機構が採用されており、邪魔にならない置き方ができるのと、何よりも見やすいのがポイント。コントラストが高いのはメーカーの言うとおりだが、ArcSwing 2は想像以上に使える。TVでビデオを視ながらミキサーを調整するときなど、視線をあまり動かさずに可能なのがうれしい。
EIZOの使いやすい調整機構も健在だが、フレームを小さくするために操作ボタンが小さくなってしまったので、操作性はかなり悪くなってしまっている。特に矢印ボタンが横に「←↓↑→」とならんでいるのはあまり直感的でない。それでも入力がワンプッシュで切り替えられる点など、押さえるべきところはちゃんと押さえてあるから致命的な事態は回避されている。色温度やガンマをちゃんと数値指定できるので、厳密な色合わせを求めなければそれなりの再現性が確保できるのも、巷に溢れる手抜き製品と違うところ。
リビングに設置するためのPC用に用意したもの。オーディオ&ビデオ用に使うのだから、ファンの音はうれしくない。それでも画質が悪かったり、不安定なのは許せない。信頼できるメーカーのファンレス製品で、ちゃんとS-Videoが出力できるものを探したら、この製品に辿り着いた。GPUはnVIDIA GeForce FX 5200とかなり格下だが、nVIDIAのGPUは低価格クラスでもDirectX9対応で、アーキテクチャ的にはあまり古くないのがポイント。敢えてロープロファイルにしたのは、ケース内の通気性のため。マルチビューなんてしないし、第一ロープロファイルの方が安いというのがうれしい。
特にGPUに負荷をかけるような使い方もしていないし、速度的な問題は全くない。デジタル接続のせいもあるが、画質は良好。S-Videoからオーバーレイを表示する際も(表示する側のTVの画質が特に優れたものでもないので)特に問題なく利用できている。筆者の場合はマザーボードにビデオが付いていなかったので別購入したわけだが、マザーボード内蔵のグラフィックと比較して、1万円出してこれを買うだけのメリットがあるかというと、デジタルやS-Videoの出力が可能な最新のものだとメリットはあまりないかもしれない。まあ、グラフィックボード側にちゃんとメモリーが乗っていてGPUにお願いしたら任せてしまえるから、オーディオ再生の邪魔にならないという点では安心料みたいなものだろうか。
ディスクの予備がなくなってしまうこともあるし、何よりWindowsXPを素で導入するためのバケツとして買ったもの。程々に静かで、そこそこの容量があれば何でも良かったのだが、せっかくSerial-ATAも使える環境になったので試してみることにした。春に買ったST3160023AのSerial-ATA版である。ケーブルが細く1対1なので、配線は確かに楽。それでもまだまだSerial-ATAのチップがこなれていないのか発熱が通常のATAに比べて多く、速度もたいして変わらないから総合的に考えたらあまりお勧めできるものではない。それでも使ってみたい人は、設置前から基板面の放熱に注意し、寿命を縮めないように注意してほしい。
このようなサイトを運営している者として恥ずかしい話だが、WindowsXPを初めてインストールした。職場でもWindowsXPのマシンはたくさん買っているし、セットアップマニュアルまで作ったのだが、全部有名メーカー謹製のプレインストール版だから何の苦労もしていない。壊れたシステムの復活もしたが、メーカー謹製のリカバリーだ。実質メーカーカスタマイズのないWindowsXPを扱うのは初体験にもかかわらず、大したことはないだろうとなめてかかったことが、悲劇を招くことになろうとは、購入時には知るよしもなかった。
購入に際して今回は台数が増えることもあり、安価なアップグレード版を買うのは問題があろう。OEM版だと安いのだが、何かの装置に付帯することになるから権利がややこしいので敬遠し、インストールの簡便性も考慮して、最も高価な新規インストール版を選択した。スッピンのWindowsを家庭用に買うなんてWindows95の英語版以来だろうか?
ここからが悲劇の始まりである。本来ならばアプリケーションの取捨選択もかねて一からインストールすべきところなのではあるが、ずぼらをして既存のWindows2000をアップグレードしようとした。しかし、DVD-RAMのドライバのところでWindowsXPに対応していないと警告が出る。しかし筆者はその警告を無視した。ここで言うDVD-RAMドライブは日立LGのGSA-4082Bのことであろう。インストールはPlextorのPX-W4824Aから行うから、たとえこのドライブが止まってしまってもかまわないとの判断だ。しかし、目論見は見事に外れた。インストールファイルをコピーし終え、再起動したシステムは見事に固まる。何回行っても同じだ。だからといって、今さら元のシステムにも戻せない。今回はいつも行うバックアップすらしていなかった。残された選択肢は、設定を引き継がない新規インストールしかないのだが、さすがにここで守りに入った。既存の設定を全て失うのはリスクが高すぎる。結局もう1台HDDを用意し、こちらに全く新規のシステムを作って、ここへ旧HDDのデータをコピーすることで、旧システムのアプリケーションの設定などを引き継げるように図った。
書斎PCは動作クロックが2.53GHzから3.0GHzに上がり、FSBが533MHzから800MHzに上がり、メモリー速度もデュアルチャネルのPC3200で理論的には従来の2100MByte/sから6400MByte/sに上がっている。HyperThreadingも使えるようになって、さぞ快適に動作するだろうと期待したが、はっきり言ってWindowsXPは遅すぎ。Windws2000でのきびきびした動作が嘘のようだ。表示に凝るための間抜けなオプションをいくつか切ってそれなりの速度になりつつあるが、まだまだ遅い。これってより高価なCPUを買わせるためのMicrosoftとIntelの共同戦略なんだろうかなんて勘ぐってしまう。
安定性も疑問符付きだ。頻繁にサービスやプログラムが落ちる。会社で使っているWindowsXPはHyperThreadingではないから、多分このへんが原因なのだろうか?アプリケーションも通常の環境に比べて十分検証されていないから、落ちる場合も多いのかもしれない。それでも、ちょっとひどいんじゃない・・・と思う。最初はメモリーのエラーかと思ってテストを何時間もかけたりしたのだが、エラーは皆無。うーん、この不安定さは何が原因なんだ?どこかにHyperThreadingに対応していないデバイスが含まれているような気がするのだが、一から入れ直して確かめる根性は今無いし、とりあえずだましだまし使っている状態だ。
※不安定さの大きな要因は高速なCPUとチップセットに耐えきれなくなっていたディスプレイカードの問題だった。「ASUS RADEON9600XTの裏切り」を参照。(Oct.6.2004追記)
Hammerfall DSP RPMとPCI Cardのパッケージ。中身に比べてちょっと大きいんじゃないの?正直スカスカだったりする。 |
PCが2台になったら、オーディオインターフェイスも2台必要?別にそんなことはないのだが、RME Hammerfall DSP RPM(以下RPM)の仕様に惹かれた。特性の明記されたまともなヘッドフォンアンプはM-AUDIO FireWire Audiophile(以下Audiophile)を凌駕するものだし、入出力がRCAで4組、レベルの調整ができるので整合性も取りやすく、フォノアンプ搭載で将来LPのデジタル化にも使えそうだ。マイクアンプも音響特性の測定に使える。DJ仕様と謳いながら、オーディオ使用にも十分使える代物だ。欠点は、別途I/F用に専用PCIカードが必要で高価なことと、デジタルの入出力が全くないこと。特にデジタル入出力の欠如は将来AVアンプなどを導入したときに致命的な欠点となる可能性があるが、PC直結デジタルヘッドフォノアンプやPC録音用のマイクアンプと考えたら、使い道は将来も十分ありそうだ・・・。なんて、お金をつぎ込んでからあとからこんな理由を付けるあたり、女性に惚れてしまうのと同じで、エンジニアにとって機械って女性と同じなのかもしれないですねぇ・・・(笑)。まあそんな訳でドイツ生まれのRPMさんに惚れてしまったので、PCI Cardさんという付き添い付きで9万円で身請けしてきたのでした。
筆者は通常Winamp5.04を使ってASIO経由でサンプリング周波数44.1kHzで2ch(通常のCDステレオ)のmp3データを再生する使い方をしている。他のアプリケーションなどを全て停止し、Winampの画面表示(タイトルスクロールなど)負荷を無視するために最小化した状態にすれば、タスクマネージャが示すCPU負荷(右上グラフ)は通常0%、時折2〜4%で推移する。この負荷にはMP3のデコード負荷も含まれるから、メーカーの言うとおり負荷がほとんどゼロだとの言い分も外れてはいない。
出力先をC-MediaのDirectSoundに切り替えれば(グラフ右下)、半分くらいは0%を示すものの時折10%を超えるような負荷を示す場合があり、平均して数%の負荷があると見てよい。RMEの専用I/Fの威力が発揮されていると言いたいところだが、IEEE1394経由のAudiophileでも負荷は同程度だから、I/Fの能力はさほど差がないと筆者は思う。そのせいか、同社の最新オーディオインターフェイスFireface 800は汎用規格FireWire 800(IEEE1394b)を利用するものに変わった。専用I/Fボードの利点は他のメーカーの機器と競合しないので、つまらないトラブルに巻き込まれない点くらいのものだろう。
オーディオラックに収まったRPM。ドイツ製らしい精悍なフェイス。ちゃんと動作しているときはLEDすら点灯しない控えめなところに好感が持てる。作りも頑丈。操作性も良好で、高価なだけのことはある。 |
Audiophileと比べてもさらに高価な機器である。びっくりするような音が出るのかというと筆者の使ってる並のオーディオ機器では大きな差が出るものでもない。AudiophileのDACでも十分歪みやノイズ特性はかなりのレベルに達しているから、主な違いはアナログ部分になる。聞き比べてみると解像度は確かに上がっている。数値的な裏付けのために測定した周波数特性を見ても、低音も高音もCDの限界(サンプリング周波数44.1kHzなのでDC〜20kHz程度)まできっちり再現しようとしているし、ライン出力(RCA)のインピーダンスも低く、次段のアンプに対するドライブ能力も高い。そのへんが解像度の高さにつながっているのだろうが、数値だけを見たら差動回路も付けた分段数が増えて歪みはむしろ悪化(とは言っても0.001%のオーダーだが)している。このへんが現在の技術で普通の部品を使って作れる限界なのだろう。これ以上を望むなら異様に高価なオーディオメーカーの製品のように配線材料までこだわって無理に特性を上げる※注より、素直にTRSのバランス出力にするのが正解なのかもしれない。
※注:パワーアンプからスピーカーなど物理的な特性が重要な部分は素材が重要なことは筆者も認めます。一本何十万円のスピーカーは高くて買えませんケド。・・・といいながらJBL Control Monitor 4318とAccuphase STEREO INTEGRATED AMPLIFIER E-308買いました・・・(Jun.12.2005追記)
ヘッドフォンへの出力は一度聴いたらAudiophileとの違いがすぐわかる。高音の透明感、低域の切れの良さ、明らかに次元の違う音だ。アナログボリュームでの音量調節が入るから段数は増えているが、回路上の工夫で低インピーダンスで出力している点がAudiophileと違うところ。もっともまともなオーディオメーカーのヘッドフォンアンプを本格的に使ったことはないので、オーディオという世界で筆者の発言が通用するのか定かではないが。
RME社が提供するソフトウェアを使ってみて驚いた。右上は動作チェックツールDIGICheckであるが複数の動作モードがあり、画面に示したTotalyserでは左からスペクトラムアナライザ・レベルメータ・ベクタオーディオスコープ(左右の位相を見るもの)が組み込まれていて、現在処理しているデータの情報がほぼ完璧に表示される。複数同時起動も可能で、複数チャネルのモニタも可能だ。表示する情報は多様で、大きさも変更できるから、使用環境に合わせた使い方ができるのもうれしい。
右下はHammerfall DSP Mixerとその空きエリアにHammerfall DSP Matrixを表示したもの。Mixerは入力(上段)・プログラム出力(中段/Playback)・出力(下段)を同時に出力レベル(RMS)とピークレベルを監視しながら、出力レベルのコントロールが可能。しかも、全ての入力とプログラム出力から出力へのレベルコントロールが可能で、これを一覧するためにMatrixを使用できる。また、Matrixで未接続(灰色)のところをクリックすると標準(0dB=減衰なし)で接続される。プログラムからの出力が完全に仮想化されていて、本来の3系統(6チャネル)に対してこれらとは無関係に6系統(12チャネル)用意されている。Mixerの設定によって自由に出力先を選べるから、各プログラムの出力チャネルを重複しないように固定しておけば、直感的な操作が可能になっている点が特筆ものだ。
提供されるソフトウェアはこれだけではないが、これだけ紹介すればHammerfallを語るのに十分であろう。Hammerfallのすばらしいところは堅実に作られたハードウェアだけでなく、それを存分に活用できるすばらしい支援ソフトウェアにあったことに気づかされる。これらのソフトウェア群によってPCのオーディオインターフェイスは単なるA/D,D/Aコンバーター&出力ミキサーの領域を超越し、目の前に流れる音のデータを的確に処理するための統合的なツールにまで高められている。
筆者は音響関係の処理について、電子的な知識は多少持っているものの、あくまで知識だけであって、学生時代を含めて実務的な経験は皆無である。せいぜい家庭でオーディオ機器を使って遊んでいるだけなのだが、このHammerfallの使用は重要な経験を与えてくれた。本格的に勉強した人や経験者には当たり前のことだろうが、音の大きさは最終的に適切な音量でスピーカーから出力する前に、適切なレベルコントロール(0dBFSが通常のピーク)が必要であるということである。デタラメに設定した再生プログラムやハードウェアは極端に高かったり低かったりする信号を持ち込む。これは限られたダイナミックレンジの中で品質コントロールされた出力をアンプに送信しなければならないオーディオインターフェイスにとって過酷な条件だ。筆者が使用しているプログラムの中にも、明らかに問題があるプログラムやハードウェアが含まれていて、今までから何となく問題を感じていたのだが、RPM社のソフトウェアは信号レベルを明確に意識できるような仕組みが設けられており、レベル適正化にはどうすればいいのかの答えを明確に与えてくれる。9万円という価格は、素人がオーディオ再生で遊ぶには高価なものだが、たとえ趣味とはいえ多少ともまともな知識を得るためのきっかけを与えてくれた点で、単なる高額なオーディオ機器とは違う点評価したい。