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2004年4月〜6月


目次

  1. 5月9日
  2. canopus DVTX100-HQ(その2)
  3. HDD再編成とPowerQuest PartitionMagic8.0
  4. Hitachi Deskstar 7K250/160GB HDS722516VLAT80
  5. 6月13日
  6. COWON iAUDIO M3
  7. MP3エンコード環境の改善
  8. LG Super Multi DVD Rewriter GSA-4082B
  9. 6月27日
  10. AUDIOTRAK Prodigy 192 Super Pack

5月9日

DVTX100HQ写真●canopus DVTX100-HQ(その2)

昨年8月に購入したDVTX100-HQであるが、8カ月ほどメインのTVキャプチャーカードとして使用してきた中で、色々見えてきた問題点についてレポートする。

・録画時の安定性の問題

昨年のレビューでも録画中に操作すると画面の更新や音声が途切れる旨記載し、不安定なことを示唆していたが、操作していなくても止まる場合がある。録画中にリビングのTVで同じ番組を見ていることがよくあるのだが、番組が終わってPCの前に戻ると途中で止まっていたりするのだ。頻度的には1時間番組で数十回に一回程度であろうか。

筆者の環境はパーティションこそ分けてはいるものの、HDD1台にシステムやスワップ、アプリケーション、録画データと一式入っている。DVTX100-HQはDVの25Mbpsで録画するから、転送速度は3MByte/s程度。これなら内周でも30MByte/sの帯域があるST3160023Aなら余裕でこなせるはずだと思っていたのだが、どうもそうでもないようだ。例えば録画中にウィルス定義ファイルの更新が入った場合、瞬間的にせよシークが大量発生し、アプリケーションからの書き込みと相まって、3MByte/sを書き込めないことは十分あり得そうだ。また、録画中でもCPU負荷が数%に収まるMTV3000Wと違って、試聴時に20〜30%のCPU負荷があるから、このことも安定性を損なう結果になっているのだろう。確かに録画中PCで視聴している場合でもバックグラウンドプロセスのせいで急にCPU負荷が上がり、ディスクのシーク音がすることが時々ある。やはりDV形式の場合は録画用のドライブを別にするのがいいのかもしれない。

・それでもDV録画はやめられない

DVTX100-HQでの録画が不安定なら、安定したMTV3000Wで録画すればいいのでは?というのが素直な考えであろう。それでも筆者は移行できなかった。もちろん、日常のPCでのTV視聴は確かに他の操作も並行できるMTV3000Wを使用している。視聴したらすぐに捨てるような録画の場合もそうだ。ただ、録画後のコマーシャルカットや再圧縮処理の軽さはDVが圧倒的に優位だ。画質の劣化も最小限である。TV番組なんて、とりあえず残しておければいい程度のものだと思うし、希に発生する録画ミスよりも、日常的な負荷が低い方が筆者は重要だと思っている。

■関連情報 canopus DVTX100-HQ canopus MTV3000W
TVキャプチャーデータ保管大作戦

PartitionMagic8.0パッケージ●HDD再編成とPowerQuest PartitionMagic 8.0

連休の1日(正確に言うと1時間強+一晩+α)を利用して、HDDの再編成を行った。別にディスク容量が足りなかったのでも何でもない。なのに、せっかくの休みをなぜこんな不毛に見えるようなことに費やしたのかというと、前述のcanopus DVTX100-HQ(その2)で問題として取り上げた、録画時の安定性向上である。1ドライブで使用しているシステムのWindowsやアプリケーションの領域を他のドライブに移して、DV録画が意味もなく停止する状態を回避しようというのだ。新しいドライブに録画用以外のパーティションを移すというありきたりの操作を、Partition Magic 8.0というまともなツールを使って行うのであるから、普通楽勝で2時間もあれば終わると考えたのがつまずきの始まりだった。

・楽勝だった遊休ドライブへのシステム移行

まず行ったのは、遊休だったMaxtor DiamondMax Plus9 (6Y080L0)へのシステム移行である。とりあえず試してみて、不都合があれば新しいドライブの購入も考えようという算段だ。Partition Magic 8.0を使って、録画用のG:ドライブ以外をDiamondMax Plus9にコピーする。Windows2000上で指示したら、再起動してWindows2000の起動時にスクリプトでドライブ変更操作をしてくれるのが、Partition Magic 8.0の特徴。処理も早くて優秀だ。ただ、なぜかF:ドライブだけがうまくコピーできなかったので、古いSystem Commander 2000 Ver.5.0のOSウィザード機能を使ってコピーした。ドライブを入れ替えて再起動したら、何の問題もなく各ドライブを認識し、正常に移行することができた。所要時間は1時間強である。

・DiamondMax Plus9の発熱問題

現役に復活するDiamondMax Plus9はSMART DRIVE 2002に内蔵して5インチベイに取り付けることにした。現用のケースには3.5インチ内蔵ベイの空きがひとつしかないから、発熱の点でHDDを2台重ねる勇気がなかったことと、ドライブが2台になることによって増加する騒音を減らそうという目論見だ。しかしながらこの目論見は破綻した。SMART DRIVEに内蔵されたDiamondMax Plus9はS.M.A.R.T.での測定で70℃というとんでもない値を示す。確かに一部のチップが妙に熱い。きっとこれって80GByte1プラッタのつもりで設計した基板に60GByte2プラッタ付けたせいじゃないだろうか?原因はともかく、これでは恐くて使えない。そんなこんなで、システム用のドライブは新調することにした。(別項目Hitachi Deskstar 7K250/160GB HDS722516VLAT80参照)

PartitionMagic画面・新調ドライブへの移行で思わぬ苦戦

遊休ドライブへのシステム移行が楽勝だったから、新しいドライブに移行する場合も楽勝だと思っていたら、足下をすくわれた。単純にPartition Magicでコピーすればいいはずが、また同じようにF:ドライブがコピーできなかった。これを前回同様にSystem Commanderで処理すればいいところ、速度の点でPartition Magicで何とかしようと欲を出したのが敗因のひとつ。もうひとつの敗因はWindows2000を基本区画の0番に、System Commanderを使うためのWindows98を基本区画の1番にインストールしつつHDDの先頭領域に配置しているという特殊なパーティション構成を取っていることを忘れていたという筆者の管理能力の問題。そして、もっとも一番の敗因は現在何の問題もなく使用できているHDDにパーティションテーブルの問題があり、これをPartition Magicだけが実直に検出して動作しなかったことだ。

・Partition Magicはシステム移行には向いていなかった

敗因を3つ並べたが、これらのおかげで失った時間は7時間ほど。得られた結論は、Partition Magic 8.0はコピーも高速で優秀であるものの、システムの移行にはあまり向いておらず、使い方が難しいことだ。この事実は後から調べたらメーカーのFAQにも記載されている。以下引用するが、悔しいことにメーカの推奨の方が正しいことを筆者は身をもって体験してしまった。

同様なトラブルに見舞われる方もおられることを想定して以下に経緯を紹介するが、パーティションテーブルの細かな部分に立ち入るので、予備知識のない方は読み飛ばすことをお勧めする。

・パーティションテーブルのエラー発見!

PartitionInfo画面話を元に戻そう。新調ドライブでF:ドライブが再びコピーできないのが気になった。Partition Magic自体の問題なのなら何らかの調査が必要だとも考えて、移行元ドライブから新調ドライブを接続したままで、Windows2000を起動した。この状態で、移行元ドライブの調査を行う。一般的なディスクのチェックやNorton Disk Doctorではエラーが検出されない。SystemCommanderを使ってチェックしたりと試行錯誤する中で、初めてエラーらしき情報が得られたのがPartition Magic付属のツールPartition Infoだ。右の画像(クリックすると別窓原寸表示)は現在の移行元ドライブのものだが、中央のPartition Infomation:の窓の上から8行目にエラーが出ているのが見るだろう。上の窓に見えるメッセージはこんなものだ。

Warning #113: EPBR partition starting at 39696615 overlaps previous EPBR partition.

なんだこれは?色々調べたら、どうも拡張領域の次の領域サイズを示すセクタ数が異常で、次のパーティションに重なっているらしい。上の画像でいうと、中央窓6行目のTotal Sectorsカラムの値が137,098,710と大きい。正解は、33,415,200だ。普通こんな情報を使うことはあまりないから、他のソフトではエラーにならなかったのであろう。PartitionMagicのマニュアルには回復するにはバックアップを取って作り直せと書いてあるので、指示通りバックアップを取り、新調ドライブに対して復元した。

・Windows2000が起動しない…

これで所望のデータコピーができたので、移行元ドライブを外して再起動する。しかし、Windows2000の起動に入る以前に、SystemCommanderの段階で起動しないではないか。これも悩んだが、これは筆者の特殊な環境のせいだ。上のPartitionInfoの画面で中央のPartition Infomation:の窓の上から3行のパーティション記録順#のカラムが1,0,2の順になっているのがわかるだろう。System Commanderを起動するための隠し(Hidden)FATパーティション(Hid. FAT 16B)がディスクでは先頭にあるのだが、基本パーティションの2番目(#1)に記録されている。昔Windows2000のシステムドライブC:が4GByteだった頃は、このパーティションがディスク上でも本当に2番目にあったのだが、C:を8Gbyteに拡張する際にディスク上の位置だけ入れ替えたのだ。これを単純に先頭からコピーしたものだから、記録順#が正常に0,1,2の順に戻ってしまったので起動しなくなったというのが原因だ。

・今度は起動はするがログインできない…

原因がわかれば対処は簡単。その順でパーティションを作り直すだけだ。System Commnaderで先にC:ドライブを作ってから、隠しFATパーティションを作る。これで完璧だと思ったのだが、まだ甘かった。起動してもログインできないではないか。どうも筆者のシステムはいつの間にかE:ドライブも正しく存在しないとダメになってしまったらしい。キーボード系はATOKも猫まねきもC:ドライブにインストールしているのだが、何か他に問題があるのだろうか?

・結局古いSystem Commanderを使って解決

原因はともかく、移行元ドライブを付けた状態でWindows2000を起動してしまっているから、E:,F:の各ドライブレターが変わってしまっているのが問題だと想定される。やむなく移行元ドライブからもう一度起動し、この状態で新調ドライブのE:,F:ドライブを実際のE:,F:ドライブに割り付けて、もう一度C:,D:ドライブをコピーし直す。この時Partition MagicではC:,D:ドライブにドライブ名が割り付けられてしまうせいかうまくいかない。System Commanderでコピーし直すことでやっと正常動作させることができた。

PartitionTableEdito画面・パーティションのエラーは作り直すしかない?

今回はとりあえず作り直したが、たいしたことのないエラーでパーティションを作り直すのもばかばかしい。何かいいものはないのかとPartion Magicのマニュアルをあさっていたら、Partition Table Editorというプログラムが付属していた。右に画面(クリックすると別窓原寸表示)を示したように、パーティションテーブルの数値を直接いじるという危険度抜群のツールだが、これがあれば今回発生した程度のつまらないエラーなら、ちょっと計算すれば修正することができる。自動修正でないので慎重な対処が求められるものの、作り直すよりは楽に、確実な結果を得られるだろう。ただし、これを積極的に使用することはメーカーも勧めていないし、筆者も結果を保証できない。あくまでも自己責任で使用いただきたい。

■関連情報 System Commander 2000 Ver.5.0 PowerQuest PartitionMagic 3.0J
SMART DRIVE 2002 Maxtor DiamondMax Plus9 6Y080L0
Hitachi Deskstar 7K250/160GB HDS722516VLAT80
リビングPC、HDD移行のトラブル顛末書

Deskstar7K250写真●Hitachi Deskstar 7K250/160GB HDS722516VLAT80

ディスク再編成にあたって、起動ドライブには遊休のMaxtor DiamondMax Plus9 (6Y080L0)を使用するつもりであったが、プラッタ容量が60GByteと小さく記録密度が低いので、性能上のビハインドが大きい点、設計上の問題なのか一部の部品の温度が異常に高い点が気になり、ドライブ単価も下がっていることから新調することにした。

・ドライブの選択

今回選んだのは昨年9月に高価だからと外したHitachi Deskstar 7K250である。価格的にこなれてきて他のドライブと変わらなくなっていることと、性能面での優位性がポイントだ。TV録画データの作業領域としても使用するつもりなので、容量あたりの価格がもっとも安価な160GByteのものを選択する。すでに160GByteのドライブを使用しているのに、また同じ容量のものを購入するのも躊躇したが、あえて大容量の割高なドライブを購入するメリットも見いだせない。バッファは8MByteタイプだが、それでも税込みで\12,000を切っているので、なんか得をしたような気分。

・性能も高く静かで使いやすいドライブ

転送速度は外周で58MByte/sと高速で、何よりシークした場合でもBarracuda 7200.7より速度があまり低下しない点が使いやすい。騒音もBarracudaほどでもないが、十分静かだ。筆者の場合、遊休だったSmartDriveに内蔵したのでほとんど無音状態だ。発熱もあまりなく、全体的に見てバランスの取れたいいドライブだと言えるだろう。

■関連情報 Seagate Barracuda 7200.7 Plus ST3160023A
Maxtor DiamondMax Plus9 6Y080L0
HDD再編成とPowerQuest PartitionMagic 8.0 SMART DRIVE 2002
Seagate Barracuda 7200.7 SATA/160GByte ST3160023AS
リビングPC、HDD移行のトラブル顛末書


6月13日

iAUDIO_M3写真●COWON iAUDIO M3

筆者はどうも携帯型の音楽再生装置に縁がないらしい。カセットテープのWalkmanもCD-Walkmanも人にあげてしまったり、持って行かれてしまったりして、手元に残らない。それでも懲りずに最近性能が格段に良くなったMP3などのデータ再生タイプをしばらく前から購入検討していた。

媒体の必要なCDやMDは媒体の持ち歩きが面倒だし、特にCDなどはかさばってポケットに入れるわけにはいかなくなってしまう。逆にメモリー内蔵タイプや、メモリーカードタイプはよほど容量が大きくなければデータの取り替えが面倒だ。たくさんのデータを入れようとすれば、音質を犠牲にしなければならないのも気になるところ。その点最近出回ってきた大容量HDDのタイプであれば、日頃聞くCDを全部入れておくことができるし、音質的な妥協も必要ない。AppleのiPodなんて有名だが、筆者が選んだのは韓国COWON社のiAUDIO M3だ。HDDの容量は20GByte。Windowsから普通にファイルを書き込むだけで使えたり、手元のリモコンでアルバム名(フォルダ)や曲名(ファイル名)を確認しながら操作できる点がポイント。14.2mmと薄く、136gと軽いので、パンツの後ポケットに入れたり、シャツの胸ポケットに入れたりと、携帯性は十分だ。購入はヨドバシカメラにて\42,800(ポイント還元10%)

・USBで接続したら普通のHDD〜汎用的なことはすばらしい

iAUDIOのHDDをExplorerで見たところiAUDIO M3はクレドールやサブパックを取り付けた状態でUSB2.0で接続すると、普通にHDDと認識してくれる。ここへPCで作成したMP3データをコピーすればいい。つまりPC上と同じデータをそのまま使えばいいわけで、途中で変換などが一切入らないから、速くて音質も低下しない。データのメンテナンスも簡単で、消したり、リネームしたりが普通のファイル感覚で行える。USBケーブルを取り外して電源を入れたら、自動的にファイルが再認識され、即再生が可能だ。傑作なのは、HDDのフォーマットが普通のFAT32で、PCからフォーマットしたり、(あまり勧めないが・・・)デフラグしたりできてしまうところ。

また、プレイリストの形式は汎用的なm3uだ。Winampなどで作成したものをexportし、iAUDIO M3のルート下にあるPLAYLISTフォルダに書き込んでやればよい。シングルCDでもデータ的には管理しやすいCD単位で保存しておき、それらの曲を自由に構成して演奏することができる。このへんはHDDタイプのプレイヤーでないとできない相談だ。ただこのプレイリスト、入れるところが決まっているので、アーティストAの曲から選んだお気に入りだからといって、アーティストAのフォルダに入れておく訳にはいかない。また、iAUDIO M3には電源を切っても前回演奏中の曲を再開してくれる機能があるのだが、プレイリストに対してはうまく機能していないようだ。(※注:m3uプレイリストに対する再開(Resume)機能はV.1.20 Firmwareにてサポートされた。同時にID-Tagのアーティストが日本語の場合もアルバム名が表示されるようになったり、歌詞の表示機能も追加されるなど大幅に機能アップしている。このへんはCOWON iAUDIO M3(その2)を参照されたい。追記Jul.26.2004,改稿Oct.31.2004)

SENNHEISER PX200
SENNHEISER PX-200写真

参考までに筆者の場合、電車通勤なので音漏れ対策の必要もあり、ヘッドフォン選びにかなり苦労した。結局、普段は折り畳み可能な密閉型のSENNHEISER PX200を使っている。比較的素直な音なので、イコライザで低音(60Hzを+6dB)と高音(12KHzを+6dB)をそれなりに持ち上げてやればいい。さすがに家で使っているモニター用のSONY MDR-CD900STと比べたらきめ細かさに欠けるが、サイズを考えたら優秀。
※参考:audio-technica ATH-ES5
特集:ポータブルヘッドフォン

・家庭のオーディオライブラリを持ち歩く

あまりPCのレビューとは関係なかったりするのだがあえて記載しておくと、何よりもすばらしいことは、家にあるオーディオライブラリを満載状態で持ち歩けること。通勤時に聴きそうな日本のポピュラーを中心に平均数分の曲を600曲程入れたがディスクの消費量は4GByteほど。これなら、たまに聴きたくなる昔の曲やクラッシックのアルバムも収容できそうだ。もっともまとめてリッピングする手間の方がバカにならないから、聴きたくなったら順次データを作っていくことになるだろう。

・ヘッドフォン以外の音質は優秀(Jun.22.2004この項大幅加筆修正)

最大256KbpsのVBRで取り込んだMP3データの音質は、ポータブルオーディオにとってデータ的にほとんど原音。もちろん貧弱なヘッドホンで再生するとすばらしいとはいいかねる音質になってしまうのだが、それを補うための機能が用意されている。単純な5バンドイコライザに加えて、BBE Sound, Inc.からライセンスを受けた高低域の位相補正(BBE)や、低域再生帯域拡張(BBE Mach3Bass)という機能は、うまく使えばそれなりに効果をあげてくれる。低ビットレートのデータには圧縮で失われた高調波補償(BBE MP)も使える。ただ、あくまでも補うものだから、ヘッドフォンの再生能力が重要であることは変わらない。付属のヘッドフォンも付属品にしては悪い方ではないが、iAUDIO M3の高い潜在能力を生かし切るためにも、筆者はさらに音質の良いものに交換することを推奨する。

・HDDを持ち歩くのはちょっと恐い?

音質や収容曲数の点で絶対的優位にあるHDDタイプのMP3プレイヤーだが、もちろん難点もある。振動に弱いHDDを携帯するのだから、ちょっと駆け足になったりすると、時々ヘッドがシリンダを間違えるのか全然関係ないところが急に再生され、妙な演奏になることがある。取り扱いにはやはり注意深さが必要だ。検証したわけではないが、底の硬い革靴やヒールとは相性が悪いかもしれない。これらの欠点を十分考慮して振動の少ない環境を確保可能ならば、このレビューを読んでいる音楽好きなあなたにとって、iAUDIO M3はすばらしい選択肢の一つになりうるであろう。

■関連情報 MP3エンコード環境の改善 AUDIOTRAK Prodigy 192 Super Pack
COWON iAUDIO M3(その2) COWON iAUDIO M3(その3) 特集:ポータブルヘッドフォン

●MP3エンコード環境の改善

iAUDIO M3を買ってからというもの、日々音楽データをたくさん使うようになって、古いソフトを使った従来の環境が不満になってきた。読込とエンコードが時間的に別々に動くので、あまり速くないこともあるが、音質的にも少なくともエンコーダーには最新のものを使いたい。そんな訳で、lame-3.96をもらってきて日本語化したCDex 1.51から呼び出すことを試してみた。なお、同様のことをCD2WAV32 R3.21でも試してみたのだが、ID3タグの取り扱いなどに難があって、筆者としては使えなかった。
※音楽CDを私的使用の範囲を超えて複製すると著作権法に反し、刑事罰・民事訴訟の対象になります。記載内容は個人の責任で利用するものとし、筆者は一切の賠償責任は負いません。

CDexで倉木麻衣のIf I Believeを読み込ませたところ・いつの間にか使えるCDex 1.51

以前試したときは単純なWAVへのリッピングしかできなくて使えなかったCDexだが、エンコーダーへのフロントエンドを備え、CDDBの機能まで付いて、本格的な、しかも汎用的で使いやすいソフトウェアに変貌している。難点は普通にCDDBに接続すると日本語が文字化けしてしまうことで、このへんが元々英語版であるこのソフトの限界であろう。それでも、RealPlayerで取ってきたデータがcdplayer.iniに入っているので、これを使って正常に動作させることができる。このソフト単体で使えないのが難点だが、それでもOn-the-fly MP3 Encoding設定でリッピングとMP3変換を同時処理でき、しかも最新盤lameを使えるのだから、下手な商用ソフトよりもよほど優れた環境だと言えるだろう。

・lame-3.96の使い勝手

今回の目的である最新MP3エンコーダーである。MP3は技術的に古い仕様のため、同じビットレートであれば、最新のAACやWindows Mediaよりも音質的に劣るのが難点だ。しかしながら、筆者のようにHDDタイプのプレイヤーを使う分にはビットレートを高め(筆者の場合256KbpsVBR)にすることで、音質的な問題を回避できるし、むしろ再生装置を選ばない汎用性の点でメリットの方が大きい。処理速度も筆者の環境(QualityをHigh(q=2)にしてPentium4 2.53GHzで処理)では実録音時間の数分の1であり、ほとんど気にならない。

RealPlayer10.0画面・RealPlayer 10.0

以前RealJukeBoxと呼ばれてたものが、映像版と統合されている。音楽再生に使う分には大きな仕様変更はないが、320KbpsまでのAACがサポートされたり、CDが焼ける(らしい)ので興味のある方は試してみてほしい。

筆者の場合は主にMP3の再生と、Webサイトでの映像や音楽の視聴に使用している。また、日本語のCDDBに対応していて、取り込んだデータをcdpalyer.iniに保管してくれるので、タイトル取り込みの手段としても重宝する。(希に取り込みがうまくいかなかったり、引き渡しがうまくいかないこともあるがご愛敬)

基本的には、「アーティスト\アルバム\音楽データファイル」のフォルダ構造で登録されたデータを階層的に扱うように見せながら、内部的にはMP3のIDタグやファイルの登録・演奏日などの情報を元にしたデータベース的に扱うようになっている。フォルダ構造と登録された曲のIDタグを矛盾させることもできるが、混乱の元なのでやめた方がいい。基本的にアルバム単位で演奏するスタイルで、演奏する曲のキューといった考え方はない。データを縦横無尽に演奏する方法としてプレイリストがある。曲を手動(あるいは条件指定で半自動)で登録することもできるし、抽出条件を設定しておいて自動でその都度抜き出されるものもある。いずれにせよ、アルバム以外を演奏する場合はプレイリストを作る操作があって、それを演奏するスタイルだ。

MEDIA LIBLAY画面・WINAMP 5.03

いつの間にか右のようなMEDIA LIBLARYなんてものができて、音楽データを管理する仕組みができている。「アーティスト\アルバム\音楽データファイル」という階層構造も同じだが、その階層を全て表示しながら選択できるあたりが面白い。RealPlayerと同じように演奏の記録を取ることもできて、それを元に選択できたりもするのだが、どうも出来合の条件しかなさそうだ※注演奏するときはこのMEDIA LIBLARYで選んだものをそのまま扱わず、再生用のPLAYLIST EDITORに登録するところだ。その日の気分で聴きたい曲を1曲単位で柔軟に選び、まるでカラオケの登録のようなことができる点がWINAMPの昔からの個性である。この個性、色々操作したい人にとってはなくてはならないものかもしれないけれど、アルバム単位でしか聴かないような人にとっては、RealPlayerの単純な操作の方を好むかもしれない。
(※注:この条件のことをViewと呼ぶらしい。左のLocal Mediaのうえで右クリックすると、Viewの追加・編集・削除が可能。Jul.3l.2004)

WINAMPメイン画面右がメイン画面。アーティストと曲名が表示されるのだが、残念なことに日本語化しても日本語は化けてしまう。※注メイン画面にぶら下がっているのがPLAYLIST EDITORだ。ここに入れたものが順に再生されることになる。並べ替えなども柔軟にできるので、聴きたい曲を聴きたい順に再生するという従来のオーディオ機器では煩雑だったことがかなり簡単にできる。
(※注:ModernSkinのFont Renderingタブで「マップされていないビットマップフォントを使用する」のチェックを外すとアーティストと曲名が日本語表示可能になる。Jun.19.2004)

紛らわしいことにMEDIA LIBLARYの中にもPLAY LISTというのがあって、こちらはRealPlayerにある曲単位で登録するタイプの固定的なプレイリストだ。このプレイリストは汎用的なm3u形式で出力できるので、これをiAUDIO M3に入れてやればそのまま使えるところがうれしい。

■関連情報 M3SE Pro.でのCDデジタル録音 COWON iAUDIO M3 AUDIOTRAK Prodigy 192 Super Pack COWON iAUDIO M3(その2) Nullsoft Winamp 5.1 Apple iTunes 5 Apple iTunes 5(その2)

GSA-4082写真●LG Super Multi DVD Rewriter GSA-4082B

8倍速のDVD媒体やドライブがたくさん出回ってきた昨今、8倍速対応のGSA-4082Bが1万円前後で出回っていると知って俄然興味を持った。5月半ばのことである。何せ安い上に評価も高い。たった1万円で日頃の使い勝手が大幅に上がるなら安くない。筆者の場合、確実に書き込めるソフト(B's Recorder GOLD BASIC 7他付属)も欲しかったので、Whiteのパッケージ版を買った。ソフマップにて\10,480。

・ドライブの性能は書き込み速度だけではない

8倍速だから速くなるなんてある意味当たり前だが、筆者はそれに期待したわけではない。4倍速でそんなに困っていないし、当面は安い4倍速の媒体を使うのがお得だ。それでもあえて買ったのは、色々な面で使い勝手がいいとの情報を得たからだ。静かなこと、色々な媒体への適応能力だ。前者の静かな点はわかりやすいだろう。DVD-Videoを再生するとき、以前使用していたドライブ(メルコ DVM-4242FB)より明らかに騒音が少ない。後者の適応能力にはDVD-RAMが使えると言った意味も含むが、安価なメディアへの対応能力が高いとか、(意図的に)エラーの多いCDでも読んでくれるとか、そんな意味もある。

CDexで浜崎あゆみのA BALLADSを読み込んだところ・読込能力の高さ?

右の画面(クリックで等倍拡大)は、avexのコピーコントロールCD(CCCD)をCDexで読み込んだものだ。特に何の対策もしていないにもかかわらず、全曲エラーなしで読み込めていることがわかるだろう。筆者にはプロテクトを破ろうなんて意図はないのだが、読めるものならありがたい。PCやMP3プレイヤーでいい音質で聞けるのだから。むしろ再度読み込もうとした使い古したプロテクトなしのCDの方にエラーがあったりして、筆者の管理の悪さを反省する機会になってしまった。(おかしいなぁ・・・ちょっと傷入っているだけなんだけどなぁ・・・)

■関連情報 メルコ DVM-4242FB MP3エンコード環境の改善


6月27日

Prodigy 192写真●AUDIOTRAK Prodigy 192 Super Pack

iAUDIO M3でのポータブルリスニング環境が整備されてくると、次に気になるのがPCでの再生環境である。デスクトップにそれなりのスピーカーDIATONE DS-71Pがあるにもかかわらず、iAUDIOでのヘッドフォンよりも音が悪いと来ている。悪いと思い出したらとことん調べるのが筆者の性分。スピーカーやヘッドフォンを取っ換え引っ換えし、PCの出力を、iAUDOのLine Outとも比較し、最後にはリビングのCDプレイヤー(KENWOOD DP-7060)まで持ち込んで(さすがに巨大なスピーカーや重いプリメインアンプは持ってこなかったケド)調べた。まともなLin In入力を行ったDIATONE DS-71Pは確かに帯域が狭めで古い音だが、素直でそれなりの解像度はある。ところがPCから出力される音は、何でどう聞こうがPCらしい面白くない音だ。つまりPCのマザーボードに載っているAC'97デバイスがバカだということ。せっかくいい音がPC上にあるのに、それを再生できないのは悔しい。まともなサウンドカードか外部のサウンドデバイスを増設しようと考えた。

・どんなカードの音がいいの?

今回はかなり低次元から始まった。予備知識はほとんどなし。最近PC関係の部品を買う際も、必要なときにしか行かないから、今まで気にもとめていなかったサウンドカードなんて店頭でもまともに見ていない。PC関係の雑誌も買ってはいるものの、流し読みが多かったりで注目した記事以外ほとんど記憶に残っていない。急遽過去の雑誌を読み返し、Webでも調べてみる。相変わらずCreativeの寡占状態だが、AUDIOTRAKやONKYOはそれなりにがんばっているようだ。安全を考えたら素直にCreativeのSound Blaster Audigy 2を買えばいいところなのだけれど、何となくCreativeはパスしたい。同社のドライバは機能満載、よけいなことまでしてくれるので邪魔だ。音質的にもPCゲーム向けの音作りがしてありそうで、筆者の好みではない。ONKYOのUSB外部デバイスも考えたのだが、USB1.1の帯域がネックになりそうで踏み切れない。結局オーディオ向けの音を出してくれそうで、それなりに出回っているAUDIOTRAKのProdigy 192 SuperPackとProdigy 7.1及びそのSuperPackをターゲットに久々に日本橋へ動いた。Creativeの製品はどこにでもたくさんあるがAUDIOTRAKの製品を置いている店は少ない。結局デジタルのOptical出力がある方がいいと考えて、Prodigy 192 SuperPackを選んできた。(コンデンサがProdigy 7.1より高級品ぽい感じで、基板デザインが美しいのも追加ポイントだったりするけど・・・)

・デバイスドライバのインストールは面倒

取り付けてドライバをインストールして・・・。普通インストーラーがあったりするが、同社の場合はデバイスとしてインストールする面倒な方法を各デバイスに繰り返さないといけない。親玉のコントローラーを入れたら再起動しないと子供のもデバイスが認識されないのも手間を増やしている。まあ、面倒なのは許そう。余計なものが入らないのだから。それよりも、色々なバージョンのドライバがあって、結局どれを使うとよいのか判断に困る方がちょっと問題。

・オンボードデバイスとは次元の違う音

一通りインストールした後、Windowsの起動音の違いにハッとさせられる。音楽を再生したら差は歴然。クリアで、繊細で、それでいて力強さもある。このへんは、歪みや位相特性がいいことと、周波数特性が素直で下手にいじっていないせいだろう。もちろん(スピーカーの口径が大きい)リビングのオーディオ装置のようにはいかないが、DIATONE DS-71Pの能力を最大限生かしている感じだ。TVの生視聴でも、録画したものの再生でも、この音の良さは生かされる。今までのTVの音は何だったんだと思う。すごく損していた気分。これならもっといいスピーカー付けたらもっといいんだろうななんて、欲が深まってしまうあたりが恐い。(とりあえず実家からBOSE 101MM持ってこようかなぁ。でも防磁タイプじゃないし。また金がかかりそう・・・)

・おまけではないヘッドフォンアンプ

このカードにはヘッドフォンアンプが内蔵されているのだが、こいつはおまけではない。ちゃんとリレーでON/OFFしていて、出力インピーダンスも低いものだ。これにヘッドフォン(SONY MDR-CD900ST、インピーダンスは63Ω)をつないで再生したら、まともなオーディオ装置よりもいいのではないかと思うほどの音が出る。少なくとも筆者に使っているプリメインアンプ(SANSUI AU-D607X)のヘッドフォン出力より質がいい(多分これは出力インピーダンスが低いせいだと思う)。ただ、試したわけではないのだが、PCI上の供給電圧の関係で、インピーダンス600Ωとかのヘッドフォンを駆動するのはちょっと苦しいような気もする。

Prodigy192v5.10Console・使い方は単純も基本的な発想が違う点に注意

音質以外に使ってみて驚いたことがある。Line Inなどの入力はモニタスイッチを入れないと音が出ない。これって、PCを一つの録音再生装置と見なしたら正解なんだけれど、ラジカセ的に何でもかんでも再生するWindowsの普通のミキサとは根本的な発想が違う。

右に操作用のパネルを示すが、データのサンプリングレートのスイッチが一番右側にあって、それなりに意識しないととんでもないことになるあたり、気が利いていないと言えなくもない。他にも、出力するAPIを意識する必要があったりとか、今まで気にしなかった(機能がないから気にする必要すらない)ことがたくさん。それでも、とても素直に作ってあるので、どんな仕組みで音が出ているのか勉強になる。ただ、インターフェースの独自部分が災いして、ビデオや音楽の再生ソフトでのボリュームコントロールに問題があったりするので、気軽にいい音を聞きたいという向きには他のカードやデバイスを選択した方がいいだろう。

・休止状態からの復帰でブルーバック

すばらしい音を聴かせてくれるProdigy 192だが、致命的な欠点がある。各種掲示板やメーカーサポートでも指摘されているが、ドライバが不安定なのだ。筆者の環境では、休止状態からの復帰で間違いなくブルーバックで落ちる。スタンバイからの復帰の場合も、一見普通に使えそうに見えて、急に落ちることがある。例えば、スタンバイから復帰してCanopusのFEATHERやJet VisionでTV録画後に、色々なソフトを立ち上げていたら、NTFSのドライバでブルーバックで落ちるなど、他のドライバとの仲があまり良くない雰囲気だ。通常に起動した状態ではこのような現象は発生しないので、復帰時の処理に何らかの問題があるのであろう。マザーボードP4B533-EはASUSのintel845Eチップセットで多少古いものの安定性は抜群のはずだし、もちろんBIOSも最新になっている。

メーカーサポートに記載のあるIRQの競合も回避し、各種ドライバを試してみたが、症状は多少変わっても使えない点は変わらなかった。次の手段として、休止やスタンバイの邪魔をしそうな拡張カード(SCSIカード/I・O DATA SC-NBD、TVキャプチャ/canopus MTV3000Wを外してみた。確かにスタンバイから復帰したときの安定性は良くなったようだが、それでも休止状態からはブルーバックになるか、音が出ないかで、結局まともに復帰できていない。TVの待ち受け録画時の省エネのことも考慮したら、このままでは使えない。近々根本的な対処を行うつもりである。
※結局いくら音が良くても安定しない機器は実用的ではないと判断し、Prodigy 192を見限ってIEEE 1394接続のM-AUDIOのFireWire Audiophileを購入した。(Jul.19.2004追記)

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I・O DATA SC-NBD canopus MTV3000W Pentium4 2.53GHzとASUS P4B533-E

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