#00 制度全体につい
     ての性能比較

  #01 内窓の設置につ
     いて

  #02 窓交換について

  #03 ガラス交換につ
     いて

  エコ住宅・エコリ
   フォームについて



  「省エネ住宅ポイント」
   制度の概要



Paoの考える「省エネ住宅ポイント」制度活用マニュアル




#00 「省エネ住宅ポイント」制度全体についての性能比較


安部政権の緊急経済対策(平成26年12月27日閣議決定)として復活した、「省エネ住宅ポイント」制度には、様々な対象工事がありますが、自分の家にはどんな工事が可能で、その費用対効果について・・・、 そしてポイントを最大限有効に使うにはどうしたら一番効率が良いのか・・・等々。これらは大変悩ましい問題です。とても一言では語れないでしょう。 それなりに自分で納得できる解答らしきものに辿り着くまでには、多少の忍耐が必要と思われます。各家々にはそれぞれに個別の事情、そして解決したい不満点などもあると思います。 以下にこの「省エネ住宅ポイント」制度全体を見たときに、どの様な項目に注目し判断していけば、その家にとってのより良い「省エネ住宅ポイント」の活用になるのか、各対象工事の内容を、 長所、短所、各工法の違い、工事費、工事日数等を、ある意味Paoの経験と独断を多少交え考察を試みました。これは自分自身の頭の中の整理の目的もありますし、 これを読んで下さる方々の悩みの軽減や、解決のヒントにでもなればと願っています。


「エコ住宅」の新築と「エコリフォーム」の概略的な性能比較


このたびの「省エネ住宅ポイント」制度のポイント対象工事には、「エコ住宅の新築」と窓の断熱改修などの「エコリフォーム」の2つがあります。 これら2つは、住宅全体で総合的に考えた場合、どのような違いがあるのか、主に断熱性能の点から、 概略を簡単に比較してみます。


1.「エコ住宅」の新築について
「エコ住宅」の新築とは、断熱性能に最も優れていると言われている、高断熱高気密仕様での住宅の新築を指します。 これは壁等の全体(外壁、床、天井、屋根など)及び窓全体に、次世代省エネ基準(平成11年基準)が適用されます。家全体での断熱性能にむらがなく、 各部屋ごとの温度差が小さくなり、家中が快適になります。概算での工事の坪単価は、60万円/坪程度からとなります。


2.「エコリフォーム」は下記が対象になります
① 窓の断熱改修・ガラス交換
② 外壁、屋根・天井や床の断熱改修(部分断熱可)
③設備エコ改修(エコ住宅設備3種類以上)
上記 ①、②、③のいずれか と併せて施工するバリアフリー改修等


既存の住宅に対し、① + ②を完璧に行えば、「エコ住宅の新築」と同程度の断熱性能に限りなく近づけることは可能ですが、「エコリフォーム」部分が、住宅全体の一部分である場合は、 「エコ住宅の新築」のような、各部屋ごとの温度差が小さくなり、家の中で極端に寒いところが無くなる、というような断熱性能までは期待できません。


「エコリフォーム」を実施した部分の断熱性能のアップは期待できると思います。


したがって断熱性能のみで、簡単に比較すれば以下のようになると思われます。


「エコ住宅の新築」>「エコリフォーム」



Paoの「エコ住宅の新築」ついて一言


将来、家の建替えや新築の予定があり、その際は出来るだけ省エネ性能の高い住宅が希望であれば、今回の「省エネ住宅ポイント」制度は大きなチャンスではないでしょうか。 そこでこの「省エネ住宅ポイント」制度よりだいぶ前からスタートしていた、「長期優良住宅」と比較すると、どの様な違いがあるのか簡単にみてみます。


「省エネ住宅ポイント」制度の「エコ住宅の新築」で求められる省エネ基準(次世代省エネ基準・平成11年基準)とは、住宅性能表示制度の省エネルギー対策等級4、 つまり長期優良住宅で求められる省エネ性能と同じものです。ただし、工務店が長期優良住宅の木のいえ整備促進事業等の補助金を受ける場合、 建て主は「省エネ住宅ポイント」の申請が出来ない決まりになっています。「省エネ住宅ポイント」も景気対策を狙った一種の補助金です。一つの住宅で二つの補助金は受けられないということです。


長期優良住宅は省エネ性能のほか、より高い耐震性能(建築基準法の1.25倍の強さ)・劣化対策・ 維持管理への配慮などの「省エネ住宅ポイント」にはない対策が必要になります。その為、「省エネ住宅ポイント」に比べると、長期優良住宅はその認定の為の申請費用の増加や建築工事費のコストアップは、はるかに大きいものとなりす。また、金銭面においては、 長期優良住宅への税金やローンなどの優遇策よりも「省エネ住宅ポイント」は1ポイント1円と分かりやすく、その恩恵をすぐに実感できる魅力があります。
省エネ基準のみを満たす今回の「エコ住宅の新築」は、長期優良住宅より、はるかにハードルが低く設定されており、その分工事費等の負担が少なく、 広く受け入れやすい制度になっています。30万ポイントと合わせて考えると大きなチャンスではないでしょうか。


Paoの「エコリフォーム」ついて一言


将来、リフォームの予定があれば今回のエコポイントのメリットは大きいのではないでしょうか。


リフォームの場合は、様々なリフォーム工事を同時に1回の工事で済ませる方が、工事費のコストダウンや生活しながらのリフォーム工事になりますので、 煩わしさの点からも負担が軽くて済みます。


将来予定しているリフォームと合わせて、今回のエコポイントの対象となる窓や外壁等の断熱性能のアップ、 設備エコ改修(節水型トイレ、高効率給湯器等への改修)や、将来に備えた手摺設置などのバリアフリー改修等を合わせて行うことが、先のコストダウンやリフォーム工事の煩わしさの軽減、 そして今回のエコポイント最大30万(耐震改修を伴なう場合は最大45万)ポイントと合わせて考えると大きなメリットになります。


少し横道にそれた話かもしれませんが、基本的に家は長持ちするものです。やがて住人が高齢者になった時、いろんな場面で手摺の必要性を実感する時が、 必ず来ると言っても間違いではないでしょう。


どんな小さな手摺の取り付けでも、6000ポイント発行されます。
しかしこの手摺の設置などのバリアフリー改修等は、他のエコリフォーム(窓の断熱改修や外壁、屋根等の断熱改修等)と併せて実施した場合のみポイントが発行される仕組みですので注意が必要です。


例えば、窓の断熱改修を1ヵ所(既存の窓の単板ガラスを複層ガラスに交換など)と併せて手摺の設置を行えば、交換したガラス面積に応じた3000~8000ポイントと、 手摺の設置の6000ポイントが発行されます。 ぜひこの併せて実施する場合に有効なバリアフリー改修等もどうぞお忘れなく。逆に言えば、手摺が取付けたいのなら、 窓の断熱改修などを最低1ヵ所同時に行うことで、エコポイントが活用できます。



「エコリフォーム」の中での概略的な性能比較


次に、「エコリフォーム」の中で、各ポイント対象工事が、住宅全体で総合的に考えた場合、どのような違いがあるのか、同じく主に断熱性能の点から、 概略を簡単に比較してみます。
家の中で熱の出入りが最も大きい部分は窓です。ですから、まず第一は窓の断熱性能アップを検討してみては、如何でしょうか。


したがって優先順序をつければ、次のようになると思われます。


①窓の断熱改修・ガラス交換 > ②外壁、屋根・天井や床などの断熱改修


更に「①窓の断熱改修・ガラス交換」の中で同様な比較をすれば、下記のようになると思われます。


内窓の設置 > 窓交換 > ガラス交換



次に、「エコリフォーム」の中の、「内窓の設置」、「窓交換」、「ガラス交換」の各項目について、それぞれにどのような違いがあるのか、長所、短所、工法の違い、工事費等の概略を簡単に比較してみます。


「#01 内窓の設置についての考察」はこちら・・・


「#02 窓 交 換についての考察」はこちら・・・


「#03 ガラス交換についての考察」はこちら・・・



※ いま一度、下記もご確認ください。


平成11年基準では、各地の気象条件が詳細に検討され、都道府県だけでなく市町村までの地域が区分されています。
例えば東京都では、まず東京都全体としてはⅣ(4)地域に入ります。しかし奥多摩町はⅢ(3)地域に、大島町、利島村などはⅤ(5)地域に入ります。
今お住まいの場所がどの地域にあたるのかをこ確認のうえ、各ポイント対象工事の内容をお選びください。
地域区分によって、ポイントの対象条件が異なりますのでご注意ください。


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PAO建築設計で手掛けた「高断熱高気密住宅」については、下記、PAO建築設計のHPをご覧ください。
「松戸の家」及び
「建物が完成するまでの様子」(工事中の流れ)
「国分寺の家」及び
「建物が完成するまでの様子」(工事中の流れ)


サムネイル/家の熱の出入りの割合
家の熱の出入りの割合
NSG 日本板硝子カタログより抜粋


地域区分はこちら・・・
(リクシルHP)


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